獅子風蓮のつぶやきブログ

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乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』Ⅱ章 その4

2023-02-19 09:53:15 | 東村山女性市議転落死事件

乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』(教育史料出版会1996年5月)
より、引用しました。
できるだけ多くの人に読んでいただく価値がある本だと思いますので、本の内容を忠実に再現しています。
なお、漢数字などは読みやすいように算用数字に直しました。

なお、乙骨さんにはメールで著書を引用している件をご報告したところ、快諾していただきました。
ありがとうございます。

(目次)
□まえがき
□Ⅰ章 怪死のミステリー
■Ⅱ章 疑惑への道のり
□Ⅲ章 対立の構図
□Ⅳ章 たたかいの軌跡
□Ⅴ章 真相を明らかにすることは民主主義を守ること
□あとがき

 


(つづき)
「草の根」に対する攻撃の数々

◆襲撃
万引き事件以後、朝木さん、矢野氏をはじめとする「草の根」周辺はにわかに騒然としてくる。暴行、脅迫、放火などの違法かつ異常な攻撃が次々と発生したからである。最初に起こったのは矢野氏に対する暴行事件だった。事件は、万引き事件での送検からわずか4日後の7月16日に起こった。
そのときの状況を矢野氏はこう語る。
「7月16日の午前3時すぎ、草の根の事務所から自宅に帰ろうと自転車で市内を走っていたところ、道路に寝ている男を2人連れの男性が介抱し、道路脇に寄せている現場にさしかかった。酩酊しているのかと思い、停車してようすを見てから、行き過ぎようとしたところ、寝ていた男がいきなり起き上がり、襲いかかってきた。最初は、胸ぐらをつかんで挑発するだけ、抵抗しないと分かると、『サツにちくるなよ』などといい、ヘッドロックしたうえで、顔面や頭を激しく殴りつけてきた。50メートルほど引きずりまわされたが、近くの民家の犬が激しく吠え始めたため、犯人は、私の自転車をたたきつけたうえで、自分の自転車ですばやく逃走した。しかたなく自転車を起こして、自宅に向かって走りはじめ、数百メートル行ったところ、再び、後ろから犯人が現れ、襲ってきた。正直、ゾッとし、急いで逃げようとしたが、体当たりされ、再び暴行を加えられた。2度日は前にも増して激しく殴られ、蹴られしたため、“殺される”と思い、『助けてくれ』と何度も声を出したところ、近くの公園にいた若者のグループが駆けつけてきてくれたので、ようやく助かった。一度ならず二度までも執念深く襲ってきている。酩酊を装いながら、素早く動いたことといい、酔っぱらいを装って待ち伏せていたとしか考えられない」
この事件で矢野氏は、前歯を折るなど、頭部・顔面挫傷で全治2週間のケガを負った。事件当夜、東村山署の当直担当は朝木さんの不可解な転落死のときと同じく須田係長だった。

◆威嚇・待ち伏せ
朝木さんの怪死から20日ほどたった9月21日、矢野氏は、偶然、東村山駅前の飲食店で、仲間5人と酒を飲んでいる暴行犯を発見し、東村山署に110番通報。男は、東村山薯に連行され、取り調べを受けるが、なぜか同署はまもなくこの男を釈放している。
翌日、釈放された男は、「草の根」事務所に現れ、矢野氏を威嚇するように睨みつけている。
さらに10月3日には、仲間数人と矢野氏の自宅前で、矢野氏を待ち伏せるなど異常な行動を見せている。
こうした事態を踏まえて、矢野氏は、東村山署に対し、徹底した捜査と男の身元の開示を要求したが、東村山署はかたくなにこれを拒否している。
ちなみに、この男は市内多摩湖町に住む事件当時十八歳の少年I・S。本人は、以前、創価学会員の友人にすすめられて題目を唱えたことは認めるが、創価学会員ではないと否定している。
未成年ではあるが、被害者が暴行事件の犯人と断定する人物を、警察はなぜ拘束しないのか。
また、その後も野放しにしているのはなぜか。万引き事件という軽微な犯罪を「20日もかけて捜査」する一方で、暴行というより悪質を犯罪を捜査しない東村山署の対応は不自然である。

◆脅迫
矢野氏に対する暴行事件のあった7月16日の翌17日朝には、「草の根」事務所の周辺4カ所に、
「こんな議員をトップ当選させたパカな東村山市民よ早く目を覚ませ市の恥『草の根』をこの街から排除しない限り東村山は全国の笑い者になる 議会の進行を妨害するだけで、何の建設的意見も持たづ(ママ)能力もない『草の根』を即刻、追放しよう」
とのビラが張られている。以後、
7月19日:朝木さんの自転車のブレーキが壊されており、知らずに乗った朝木さんがブロック塀に衝突し、手を負傷。
7月22日:「市の恥『草の根』をこの街から排除しない限り東村山は全国の笑い者になる」
というビラがまかれる。
8月2日:市内を自転車で走っていた矢野市議の前後をトラックが挟み、引きずり回し、事故寸前となる。後ろの軽トラックに乗っていた男が幅寄せし、フラッシュを焚いて威嚇。
この男は、朝木さんの葬儀終了後の9月5日にも矢野氏に対し8月2日と同じょうな威嚇を加えたが、控えていた車のナンバーから、市内在住の創価学会男子部S・Hであることが判明。8月30日に出されていた被害届をもとに、東村山署が9月14日に事情聴取を行っている。この
S・Hが学会員であることを、当初、創価学会は未確認としていたが、9月下旬、西口浩広報室長が正式に学会員であることを認めている。
8月10日:市役所で『草の根』を誹謗するビラがまかれる。
8月19日:直子さんのポケベルに、死を意味するのか、「4444……」という脅迫メッセージが、1日12回も入る。
8月20日:朝木さんの自宅の門柱上に、灯油を染み込ませた新聞紙の入ったコンビニエンスストアーの袋が置かれ、火がつけられていた。東村山署のこの日の当直担当も、須田係長だった。
こうした経緯から朝木さんは、須田係長を「創価学会員では」と疑っている(『週刊新潮』の取材に対し、本人は否定)。
8月26日:「草の根」事務所に黒色火薬とともに「ばく死」と書かれた脅迫状が届く。
8月28日:朝木さんが参加する予定だった高知のシンポジウム主催者の連絡先の携帯電話に、「シンポジウムを中止しろ。このままだったらただですむと思うなよ」との男性の声と、「講師が五体満足で来られると思うなよ」との女性の声の脅迫電話が入る。ちなみに8月21日に高知県下で行われた創価学会の地区部長会では、F副県長が、「ヤイロ鳥のシンポジウムを断固粉砕する」と発言していた。

◆「いつ殺されるかわからない」
こうした脅迫は、朝木さんの死後も相変わらず続いており、矢野市議の暴行犯I・Sが東村山署の取り調べを受けた9月21日には、「草の根」の事務所に次のような脅迫ファックスが送信されてきている。
「矢野聴積、朝木を自殺に追いやったのはお前なのは判っている。小細工ばかりしないで正直に白状しろ。
万引事件で自分たちの『草の根』が傷付いたと、朝木を虐めて精神的に追いやったのはお前だ。
(中略)
お前が本当の意味でたった一つ社会に貢献できることは、お前が死ぬことだ。死ね。
何なら、お前の死を手伝ってやってもいいぞ。
                   死ね矢野。
  東村山を近代社会に進化させる会より」
一連の暴行や悪質な嫌がらせを朝木さんはどのように感じていたのだろうか。
「母は、身の危険を強く感じていたようです。『自分はいつ殺されるかわからない』と口癖のように話していました。ですから、もし、自分が死ぬようなことがあったら、葬式は無宗教で、香典ももらわないように」ともいっていました」(直子さん)
いずれも単純ないたずらとは考えにくい。朝木さんをはじめとする「草の根」を恨む組織的背景が感じられる。だが、東村山署は、こうした背景を考慮せず、事件発生直後から一貫して朝木さんの死を、「事件性は薄い」と見る立場に終始しているのである。

 

 


解説
この事件で矢野氏は、前歯を折るなど、頭部・顔面挫傷で全治2週間のケガを負った。事件当夜、東村山署の当直担当は朝木さんの不可解な転落死のときと同じく須田係長だった。

まったく酷い事態です。
これでは、東村山警察署の一部の人間(須田係長と千葉副署長)が創価学会の組織と連携して、朝木議員や「草の根」を潰すために暗躍していたと思われてもしかたがありませんね。


獅子風蓮


乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』Ⅱ章 その3

2023-02-19 01:48:37 | 東村山女性市議転落死事件

乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』(教育史料出版会1996年5月)
より、引用しました。
できるだけ多くの人に読んでいただく価値がある本だと思いますので、本の内容を忠実に再現しています。
なお、漢数字などは読みやすいように算用数字に直しました。

なお、乙骨さんにはメールで著書を引用している件をご報告したところ、快諾していただきました。
ありがとうございます。

(目次)
□まえがき
□Ⅰ章 怪死のミステリー
■Ⅱ章 疑惑への道のり
□Ⅲ章 対立の構図
□Ⅳ章 たたかいの軌跡
□Ⅴ章 真相を明らかにすることは民主主義を守ること
□あとがき


◆背後に組織の影
第三には、朝木さんの書類送検が報じられた直後に、「朝木市議万引きで書類送検」「議会の私物化の次は商品の私物化」という次のような内容のビラが、「草の根」の事務所をはじめ、市内各所に大量に張られた事実である。

「●今年4月の市議選でトップ当選した朝木氏。同選挙では娘も当選したが、同じ政治グループの次点候補に議席を譲渡。勝手な議席の操作が『議席の私物化』であるとして社会問題になったばかり●そんな朝木氏、懲りずに今度は『商品の私物化』●朝木氏の愚弄な行為に『議員失格!』との声が続出」

素早くビラを作成し、市内に配布するだけのノウハウと組織力をもった者でなければできる芸当ではない。


◆“替え玉”
第四には、事件報道があった直後から「草の根」の事務所に、創価学会貝を名乗る人物からの「組総ぐるみの謀略」であるとの電話や、「万引事件には『替え玉』を使っている。それを調べること」と記された市民の投書が寄せられていることである。

「東村山市民新聞を読ませていただきました。
週刊誌などでも朝木議員さんが事件にまきこまれでいることを知って驚いています。
事件と関係があるかどうかわかりませんが思いだしたことがありますので、一応、お知らせしておこうと思います。
私は、6月19日の午後3時15分に友達とイトーヨーカドーの入口で待ち合わせていましたが、朝木議員さんによく感じの似た人が私の前を通り、花屋さんの前で若い女性が運転する車に乗って駅方面に走って行きました。
よく見ると朝木議員さんではないことがわかりますが、私が一瞬、朝木議員さんと思ったくらい感じが似ていましたので、万引きされたといっているお店の人も人違いしたのではないでしょうか。事件のあったという時間に近い時間のことでしたので、もしかしたら関係があるかもしれないと思いました。
朝木議員さんが万引きするはずは絶対ないと思っています。事件の解決にお役にたてばと思って、書きました。どうぞ頑張って下さい。
  7月29日       本町住民より」

9月4日午前、朝木さんの告別式が東村山中央公民館と府中街道をはさんで向かい合わせの葬祭式場で行われたが、このとき、中央公民館前には、異様な態度の中年女性が多数見かけられた。
彼女らは、葬儀に参列するわけでも、焼香するわけでもなく、ひたすら対面する中央公民館の前から葬儀の模様を監視、あわせて取材に来たマスコミ陣に対し、朝木さんの悪口を言いふらすという異常な行動に終始したのである。その中年婦人たちのなかに、一人、朝木さんによく似た人物がいたことが、遺族、「草の根」関係者によって目撃されている。
「あまりに態度がおかしかったので、VTRで投影しておいたのですが、そのなかに、母にとてもよく似た人物が映っています」(朝木さんの長男・巌さん)


◆流言飛語
また、第五として、万引き事件が発覚後「朝木は以前から万引き癖がある」との流言飛語が、創価学会関係者や「議席の私物化を許さない会」の関係者から、さかんに流されていることが指摘できる。そうした流言飛語の一つに、以前、朝木さんがイトーヨーカ堂で万引きをしたことがあるとの話があった。さっそく、複数のマスコミ関係者がイトーヨーカ堂店長に確認したが、店長は、そうした事実はないと断言している。
その後、朝木さんの自宅がある東村山市諏訪町の商店街でも朝木さんは万引きをしていたとか、朝木さんばかりではなく、長女の直子さんや長男巌さんにも万引き癖があるなど、朝木一家は万引き一家だったとのとんでもない噂も流されている。
こうした事件をめぐる“奇っ怪”な動き以外に、事件そのものにも、いくつかの疑問が指摘できる。
例えば、この事件には物証がない。犯人はTシャツを盗む際に、ビニール袋をたくしあげたとT・Sさんは話している。ビニールには指紋がつきやすい。だが、盗られたというTシャツは証拠品として押収されているものの、ビニール袋は押収されていない。朝木さんが容疑を否認したとしても、指紋が検出されていれば言い逃れはできない。その意味では、まっさきにビニール袋を証拠品として押収すべきだが、押収されていないのである。千葉副署長は、「通常、万引きで送検までするケースはまれ。それを20日以上かけて捜査し、送検したことの事実の重みを考えてほしい」(「週刊朝日」95・7・28)と述べるが、指紋が検出されたとは発表していない。あるいは、起訴、公判に備えての「隠し玉」だったのかもしれないが、朝木さんは否認しているのだから、指紋が検出されていれば、それを示して供述を迫るなり、身柄を拘束するなりできたはずである。その意味では指紋は検出されていないと考えられる。

◆不自然な供述
また、朝木さんを犯人だとするT・Sさんの供述にも、不自然な点が指摘できる。
95年7月28日号に続いて万引き事件を報道した『週刊朝日』8月4日号記事もそうした雰囲気を伝えている。
「万引きされた店の主人は、本誌の取材に、
『朝木さんの顔はよく知っている。前に来店したときも商品がなくなっていたので、注意して見ていた』
と話した。だが、事件直後に、別の人には、
『自分は朝木さんだとわからなかったが、店にいた客が朝木さんだと教えてくれた』
と話していた、という。
朝木さんの顔を知っている理由についても、
『毎日、朝木さんの事務所の前を通るから』
と説明したが、朝木さんは事務所の前にポスターを張ったことはない、という」
T・Sさんは、私の取材に対し、朝木さんを前から知っている理由として、「子どもの通っている化成小学校の入学式で見ている」ことを挙げ、
「前に自転車で来たときも、荷物を自転車のカゴに入れるなど挙動不審な動きがあり、あとで調べたら商品がなくなっていた。そこで、今回は注意して見ていた」
と語っている。
『週刊朝日」記者の取材に対する話と、私の取材に対する答えは微妙に違っている。まして、「自分は朝木さんだとわからなかった」となれば、マスコミに対する説明やその後一貫して朝木さんが、“常習”であるかのように話す内容と大きく矛盾をきたすこととなる。
T・Sさんならびに夫で店主のT・Hさんは、自分たち夫婦は「創価学会員ではない。創価学会とはまったく関係ない」と強調する。以前、聖教新聞を購読していたことについても、客に頼まれてつきあいとして限定的にとっただけだと説明する。
私に対してT・Hさんは、
「事件後、亡くなった母の葬儀の席上、叔父に、『H、お前はいつ創価学会になったんだ』と叱責され、本当に悔しい思いをした。私も被害者なんです」
と創価学会との距離を強調する。
しかし、その一方で、創価学会が朝木さんを憎悪するのと同様、朝木さんに対しては、敵意をむき出しにする。私が、「あるいは替え玉ということもあるのでは」と水を向けでも、
「いや、犯人が朝木であることは間違いない。替え玉なんてとんでもない。絶対に見間違いではない」
と一歩も譲らない。
なぜ、これほど朝木さんを敵視するのか、私にはよく分からない。だが、Tさんの店のパート店員の一人が学会員であること、また、万引き疑惑の情報が、その店員から95年4月の統一地方選挙で初当選した公明の新人女性議員を通じて、朝木さんと同期の公明女性議員に入り、その経由で「議席の私物化を許さない会」に入っていることが確認されている。

◆“急いで”送検
東村山署が本格的な事情聴取を行わないままに送検したことも疑問である。千葉副署長は、マスコミの取材に対し、
「通常、送検する場合は、3回以上事情聴取を行うことになっているので、今回も、3回の事情聴取を行った。なんら問題はない」
と語っている。だが、朝木さんに対する事情聴取は、形だけは3回になるものの、調書をとったのはたった1回でしかない。したがって実質的な事情聴取は1回しか行われていないのである。
その事情聴取について朝木さんは、生前、私にこう語っている。
「6月30日に、警察からちょっと来てほしいという連絡があったので気軽に出かけました。というのも、万引き事件が発生する前日の18日に、5月2日の器物損壊事件(「市議の当選返上を考える会」でT氏が起こしたテープレコーダー損壊事件)の告訴での事情聴取が終わったばかりだったので、なにかまだ追加があるのかと思ったからです。警察で担当の白石刑事課長代理に、『まだ、なにかあるの』と声をかけたところ、白石さんは、『朝木さん、今日は逆なんだよ。あなたが万引きしたという被害届が出ているんだよ』というんです。『エーッ』という感じでしたね。そのときは30分ほど事件の説明があったので、それを聞いただけで帰ってきたのですが、かなり頭にきましたね。そこで7月3日にこちらから警察に抗議に行き、「びっくりドンキー」のレシートを提出、アリバイを説明しました。2回目の事情聴取は、その翌日の7月4日に行われ、
経歴調書が作成されましたので、最後に『万引き事件はデッチ上げ。被疑者扱いされること自体、人権侵害であり、名誉棄損に当たるので、真相糾明のために捜査に協力する』と供述しています。
調書を取られたのはこれ1回です。その後、7月10日になって「どうしても来てほしい。時間はいつでもいい』というので7月12日午前に警察署を訪問、レシートに食い違いがあるので、それについては調べるということで帰ってきました。ですから、当然、これから本格的な事情聴取があるものと思っていました。ところが、午後になって突然、送検したというので、本当にびっくりしました」
千葉副署長は、マスコミに対し、前出のとおり、
「通常、万引きで送検するケースはまれ。それを20日以上かけて捜査し、送検したことの事実の重みを考えてほしい」
と語っているが、朝木さんの発言から類推すると、東村山署は、3回の事情聴取という形式だけ整えたうえで、“急いで”送検したようなのである。
もっとも、全国紙の地元記者は、千葉副署長から、事前に検察と打ち合わせを行い「早く送れ」との指示を受けて送検したとの話を聞いており、その事実を直子さん、矢野氏に明かしている。

◆「お礼はワイロ、受け取りません」
もともと朝木さんは、議員報酬のお手盛り値上げを8年間にわたって返上。万引き事件の直前にも、6月分ボーナスの割り増し分約20万円を返上している人物である。また、「お礼はワイロ、受け取りません」をキャッチ・フレーズとして、政治活動を続け、建築紛争で住民の味方をし、有利な結果を引き出しても、いっさい謝礼は受け取らない主義を通すなど、金銭に対しては“潔癖”といっていいほどの厳格な姿勢を貫いていた。
実際、私も、何度となく喫茶店で取材をさせてもらったが、たかだか千円未満のコーヒー代でも、謝礼の意味をこめて出そうとすると、いつも「ワリカン、ワリカン」と笑って言われ、おごったことは一度もなかった。そうした人物が1900円のTシャツを万引きするなどとは考えにくい。だが、中年の女性には更年期障害をはじめ、さまざまな身体的、心理的ストレスがある。そうしたストレスが引き金になって、あるいは万引きをしないとも限らないという。そこで、私は、朝木さんに、その点を率直に聞いたことかある。
「失礼だが、朝木さんくらいの年齢にをると、更年期でカーッとなって万引きするという例があると聞く。正直に答えてほしいが、自分でそうした徴候を感じることはなかったか」
朝木さんは、困ったなというような笑いを浮かべながら、
「他人に聞いていただいた方がいいと思うけど、自分としてはそういうことを感じたことはない」
と答えている。この点については、直子さんをはじめとする家族や、「草の根」事務所に出入りする複数の人に確認したが、いずれも、朝木さんがヒステリーになったり、躁鬱状態を示すような場面は、見たことがないと話している。もちろん、過去に盗癖や万引き癖はまったくなかった。

◆「真相究明の為、徹底的に闘います」
ところで、東村山署の千葉副署長は、この万引き事件を朝木さんの死を自殺と判断するうえでの動機と位置づけており、あたかも朝木さんが起訴を悲観し、追い詰められていたかのように主張する。実際、東村山署幹部はマスコミ関係者に対し、
「朝木は9月5日に地検に呼ばれ、そこで万引きを認めれば起訴猶予、否認すれば起訴することが決まっていた」
との情報をリークしている。
そしてこれまた実に奇妙な話なのだが、「議席の私物化を許さない会」のメンバーが、8月23日、週刊誌の記者に対し、「朝木が起訴されることが決まった。知っているか」と連絡してきた事実がある。
この週刊誌記者は、さっそく朝木さんに電話し、「起訴されると聞いたが、すでに検察の事情聴取を受けているのか」と質問。朝木さんから、
「まだ事情聴取もされていないのに、起訴されるわけない」
との話を聞いている。
矢野氏が語る。
「私に対する暴行事件のあった7月16日の翌17日に、万引き事件を依頼している高田治弁護士が、地検の事件担当である信田検事と面談しています。その際、信田検事は私の暴行事件を報じる新聞記事を提示し、『この事件は万引き事件と関連がありそうですね』と述べ、『村山の事件には、なにか大きな裏がありそうだ。一つにまとめた方がいい。どうも万引き事件は枝葉のようですね』と発言したと聞いています。それがいきなり起訴ですか。まだ一度も事情聴取されていないのに、起訴などありえるわけない。仮に起訴されたとしても、朝木さんは、とことん戦うつもりでいました。悲観して自殺するなんて考えられません」
事実、朝木さんは、8月14日、支持者に残暑見舞いの葉書を出しているが、そこには次のように記されている。
「残暑お見舞い申し上げます。
真相究明の為、徹底的に闘います。
   1995年8月14日」
朝木さんは、万引き事件について徹底して闘う決意を明らかにしていた。決して東村山署や反「草の根」グループが主張するように追い詰められていたわけではなかったのである。むしろ焦っていたのは、千葉副署長が「職を賭す」と発言していた東村山署であり、「草の根」攻撃を続ける創価学会・公明をはじめとする反「草の根」勢力だったとの見方も可能だ。


解説
「万引事件には『替え玉』を使っている。それを調べること」と記された市民の投書が寄せられている

もし、『替え玉』が事実なら由々しきことです。
事情を知る学会員はまだ複数おられるはずです。
関係者は、事実を墓場まで持って行かないで、良心に従って公表してください。
匿名のコメントでも構いません。

獅子風蓮