獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

東村山市議転落死事件~創価学会側の主張(1)(追記あり)

2023-04-14 01:26:39 | 東村山女性市議転落死事件

前回は、学会寄りの主張をするジャーナリストについて書きました。

中でも、公明党から費用の支払いを受けていたJTCの井原武人氏は、山本芳実あるいは佐倉敏明の名前で多数の文章を発表しています。
その中のいくつかは、創価学会、元本部職員の北林芳典氏のホームページ(地湧の電子書庫)のリンクで、読むことができます。

このうちのひとつに、「東村山市議転落事件」のことを言及していましたので、引用したいと思います。

佐倉敏明「創価学会報道に見る 週刊誌のウソと捏造」(エバラオフィス、1996.03)

□はじめに
■第一章〈ドキュメント〉東村山市議転落死の真相
□第二章 オウムと学会を一緒にしたこじつけ報道
□第三章 証人喚問を「魔女狩り」に使う雑誌
□第四章 自民党の広告ページと化した選挙報道
□第五章 すべては宗教法人法を通すために
□第六章〈特別講座〉週刊誌のウソの見抜き方
□あとがき

 


■第一章〈ドキュメント〉東村山市議転落死の真相

 

典型的な「週刊誌報道の犯罪」

 “週刊誌報道の犯罪”の典型ともいえるような報道が、また行われた。東京都下の東村山市女性市議マンション転落死をめぐる一部週刊誌の報道である。
 昨年(九五年)九月一日。東京都下の東村山市で、マンションの六階の踊り場から、同市の女性市議・朝木明代さんが、落ちて死亡するという不幸な出来事があった。
 まだ警察の捜査の段階で、「事故」か、「自殺」か、またなんからの「事件」に巻き込まれた可能性があるのか、何も明白になっていないこの時期に、複数の週刊誌がこの出来事への創価学会との関与を臭わせるような報道を行った。
 なかには、女性市議が創価学会によって殺害されたと断定する見出しを打った週刊誌(『週刊現代』――創価学会は同誌の編集・発行人と朝木市議の夫と娘を名誉毀損で告訴)もあった。
 市議の転落死に創価学会が関与していたのではないかという憶測は、彼女がかねてから反創価学会のリーダーとして、派手な反創価学会運動を展開していたというところから生じている。だが、それだからといって「市議の死」と「創価学会」を結び付けるのはあまりに乱暴で、まして記事はあくまでも憶測であり、そこにはなんら裏付けとなる一つの根拠もない。
 作為的な目的にしたがってマスコミが寄ってたかって学会員を犯人に仕立て上げるばかりか、あろうことか、またまたその週刊誌を“証拠書類”として国会で議員が“恫喝”する事態まで起こった(まさに北海道の交通事故の被害者を加害者とすり替えて報道した『週刊新潮』を手に国会で質問した自民党議員を思い起こさせる)。この一連の女性市議転落死報道は、またもや、はからずもこの国のマスコミと政治家の低俗ぶりを明らかにしたものといえよう。
 その後の警察の捜査で、転落死は「自殺」と発表されたからよかったものの、そうでなければ、煽り立て、騒ぎ立て、罪もない個人・団体を犯人に仕立てていくマスコミ攻勢がまだまだ続いていたに違いない。
 日本に、まっとうなマスコミははたしてあるのだろうか。真のジャーナリズムは存在するのだろうか。こうした報道姿勢に接するたびに、暗澹たる気持ちになるのは筆者一人ではあるまい。偏向報道に狂奔する週刊誌をマスコミと呼ぶことはできない。それは単に他人をおもしろおかしくからかったり、イジメたりして、メシの種にしているゴシップ屋でしかない。
 ともあれ、九五年一二月二二日、警視庁は、朝木市議の転落死を「自殺」と断定した。
 以下に警視庁が自殺と断定した理由を、詳しく紹介しよう。
一、現場の状況
 1 同市議は身長一六〇センチあり、踊り場の防護壁を乗り越えることができる。(自力で防護壁に上がることができる=筆者註)
 2 防護壁の上面に指の擦れた個所が三か所あり、指先方向は階段のほうに向いている。(ぶら下がった痕跡がある=筆者註)
 3 他人から突き落とされた痕跡は認められない。
 4 ビルの外壁すれすれに着地しており、他人からの力が加わっていれば、外壁から離れて遠くに落ちるはずである。
  A 外壁とフェンスの間は六〇センチしかない。
  B 頭にも損傷はない。(頭から落ちたのではなく、ぶら下がった痕跡からも足から落下した=筆者註)
二、発見時の状況
 1 午後一〇時三〇分。ビル一階のハンバーガー店長が「大丈夫ですか?」と声をかけ、さらに「落ちたんですか?」と聞いたところ、同市議は「大丈夫です」と答えた。
 2 午後一〇時三五分。同店長がふたたび「大丈夫ですか?」「痛くないですか?」と声をかけると、「ハイ、大丈夫です」と答えた。さらに「救急車を呼びましょうか?」と聞くと、「いらない」と答えた。
三、遺体・聞き込みによる状況
 1 着衣に争ったときにできる破れや綻びがない。
 2 死亡者の身には争った跡や外傷がない。
 3 現場周辺での不審な人や車の目撃がない。
 警視庁は、以上の理由から、朝木市議の転落死については他人が介在した様子が見受けられないとし、「自殺」と断定したのである。警察の捜査は、これで終了した。
 自殺と結論が出た現在、ふり返ってこの事件をながめてみると、週刊誌の「ウソと捏造」が面白いほどよくわかる。


当初から意図的だった週刊誌記事

 この転落死に関する週刊誌の第一報は、『週刊文春』と『週刊新潮』(ともに九五年九月一四日号)だった。
 『週刊文春』は「反創価学会女性市議の『怪死』」との見出し、『週刊新潮』は「女性市議『転落死』で一気に噴き出た『創価学会』疑惑」という見出しを付け、すでに「事件」の方向を「何者かによる他殺」というイメージ付けを行い、そこに創価学会の関与を執拗なまでに強調している。
 両誌の記事に共通するのは、第一発見者であるマンション一階のハンバーガー・ショップ店長のコメントである。
 店長が、通路に仰向けに倒れている女性を発見し「大丈夫ですか?」と声をかける。すると、「大丈夫です」という返事があった。ここまでは、警察の調べと同じなのだが、問題は次の記述である。
 「『落ちたんですか』
 『……いいえ』
 女性は小さな声でそう言って首を横に振った」(『週刊文春』)
 「こちらが“落ちたんですか”と、聞くと“いいえ”と言う。あとは何を聞いても応答はありませんでした……」(『週刊新潮』)
 両誌によれば、店長の「落ちたんですか」という質問に、女性は「いいえ」と明確に答えていることになる。つまり、ここでこの女性は“落ちた”のではなく、何者かによって“落とされた”ということを暗示させているのだ。
 しかし、先に紹介した警察の発表を見てほしい。
 店長が、「落ちたんですか」と聞いたところ、朝木市議は「大丈夫です」と答えている。そこには決して「いいえ」など同市議が否定した事実は、ない。
 そのことを筆者が再度警察に確認すると、
 「この点については何度も聞きました。『いいえ』とは言っていません。発見者は、(市議が)『ウーン』と唸って首を動かしたので、「落ちたのではない」と言いたいのかなと思ったと言っていました。つまり、あくまでもこの部分は、発見者の印象です」
 という答えが返ってきた。
 さらにおかしいのは、両誌とも、そのあとで店長が「救急車を呼びましようか?」と聞くと「いらない」と答えたという重要な会話にはまったく触れていないことだ。ここに何かの意図が感じられないだろうか。故意に隠しているとさえ思われるのだ。
 救急車を呼ぶことを断わったという事実は、朝木市議の死への覚悟を語りかける。その部分の話を記事にすることで、自殺という線が強調される。それを両誌は嫌ったのだろう。何がなんでも、この事件を「怪死」というイメージに仕立て上げ、そこに創価学会の影を感じさせたいという意図が最初からあったのではないか。
 だからこそ、「落ちたんですか」という店長の質問に、警察での度重なる調べにもなかった「いいえ」という朝木市議の言葉を“捏造”したのだろう。
 週刊誌の取材に応じた東村山署の千葉副署長は、この「救急車」の部分に関して。
 「取材に来られた記者にはきちんと説明しているのに、なぜかその部分を書かないんです。それどころか逆に“怪しい”と強調した書き方が目立ってました」
 と、これらの記事に対する感想を語っていた。警察では、第一発見者であるハンバーガー・ショップ店長と市議のやりとりのなかで、最初からこの救急車の部分を重要視していたのだ。市議が、ハッキリと救急車を断わった事実。他殺、あるいは事故であっても、救急車まで断わるだろうか。「痛い、助けて!」と叫ぶなりして救助を求めるのが自然であろう。
 また、現場の状況は隣が駐車場でその仕切りの低い柵がすぐ近くにある。そのため、六階から放り投げられた場合、どうしても柵の向こうに落ちてしまう。朝木市議は、隣との仕切り柵とマンションの間の狭い場所に落下、それでも柵に右半身をぶつけている。
 もちろん、飛び込んでの自殺なら頭から落ちるはずだし、この場合も放物線を描いて柵の外側に落ちる。いったいどういう状態で落下したのか?
 警察犬、検死官、地方検事、それに担当刑事数人を動員して調べ、五階と六階の階段の手すりの外側に彼女の手の擦った跡があるところから、警察は次のように見ている。
 「一度、自殺しようと手すりの上にあがったが、決心がつかないうちに態勢が崩れた。キャーと叫んで(五階の住人が声を聞いている)思わず手すりにつかまったがズルズル滑って真下に落下した」
 これでは他殺説の出る隙などない。

(つづく)

 


解説
著者の主張は、警察の発表に沿ったものになっています。
ちなみに、創価学会の外郭企業である潮出版社が発行する雑誌『潮』の記事には、ジャーナリストの山本芳実氏の筆になる創価学会側にたって遺族を誹謗する記事が掲載されています。この記事で言及されています。

乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』Ⅴ章 その3

以前の記事に書いたように、山本芳実は本書の著者、佐倉敏明氏の別名ですので、書いている内容は同じです。

さて、本書の今回の記述に関して、乙骨氏の『怪死』での内容と食い違う部分を選び出してみます。

第一発見者であるマンション一階のハンバーガー・ショップ店長のコメントである。
 店長が、通路に仰向けに倒れている女性を発見し「大丈夫ですか?」と声をかける。すると、「大丈夫です」という返事があった。ここまでは、警察の調べと同じなのだが、問題は次の記述である。
 「『落ちたんですか』
 『……いいえ』
 女性は小さな声でそう言って首を横に振った」(『週刊文春』)
 「こちらが“落ちたんですか”と、聞くと“いいえ”と言う。あとは何を聞いても応答はありませんでした……」(『週刊新潮』)
 両誌によれば、店長の「落ちたんですか」という質問に、女性は「いいえ」と明確に答えていることになる。つまり、ここでこの女性は“落ちた”のではなく、何者かによって“落とされた”ということを暗示させているのだ。
 しかし、先に紹介した警察の発表を見てほしい。
 店長が、「落ちたんですか」と聞いたところ、朝木市議は「大丈夫です」と答えている。そこには決して「いいえ」など同市議が否定した事実は、ない。
 そのことを筆者が再度警察に確認すると、
 「この点については何度も聞きました。『いいえ』とは言っていません。発見者は、(市議が)『ウーン』と唸って首を動かしたので、「落ちたのではない」と言いたいのかなと思ったと言っていました。つまり、あくまでもこの部分は、発見者の印象です」
 という答えが返ってきた。

事件発生の経過は、乙骨氏の『怪死』の方が詳しいですね。
乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』Ⅰ章 その2

これによると、第一発見者はアルバイト店員(女子短大生)ですね。
アルバイト店員の報告を受けた「モスパーガー」の店長が、再び現場に赴きます。
当初、酔っぱらいかと思ってい店長は、「大丈夫ですか」と声をかけた。これに対し女性は、「大丈夫です」と答えたという。ところが、よく見るとフェンスが大きく歪んでいることから、店長は、もしかしたら落ちたのかもしれないと思い、「落ちたんですか」と尋ねたところ、女性は首を振りながら「いいえ」と答えたという。

 


両誌とも、そのあとで店長が「救急車を呼びましようか?」と聞くと「いらない」と答えたという重要な会話にはまったく触れていないことだ。ここに何かの意図が感じられないだろうか。故意に隠しているとさえ思われるのだ。
(中略)
警察では、第一発見者であるハンバーガー・ショップ店長と市議のやりとりのなかで、最初からこの救急車の部分を重要視していたのだ。市議が、ハッキリと救急車を断わった事実。他殺、あるいは事故であっても、救急車まで断わるだろうか。「痛い、助けて!」と叫ぶなりして救助を求めるのが自然であろう。


朝木さんが救急車を断った事実はあったのでしょうか。
乙骨氏の『怪死』では次のように書いてあります。
乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』Ⅴ章 その3


これによると、店長は、駐車場の管理人との間で「救急車を呼びましょうか」との会話をかわしたことは認めるが、朝木さんに「救急車を呼びましょうか」と問いかけた事実はないと断言しているとのことです。

両者の意見は食い違います。この点は重要です。

店長に確認すれば、どっちが嘘を言っているのかわかるでしょう。

もっとも、事件後しばらくしてから警察は、第一発見者、第二発見者に、口止めをしているらしいのです。

乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』Ⅴ章 その2

事件後、直子さんは知人の紹介で、第一発見者のアルバイト店員と接触しているが、 その際、アルバイト店員は、警察が自らの捜査結果と符合するよう供述を誘導したこと、また、遺族やマスコミと接触しないよう強要したことを聞いたという。
実際、私をはじめとするマスコミ陣も、第一発見者のアルバイト店員および第二発見者である「モスバーガー」店長に直接取材を試みたが、いずれも拒否され、第二発見者の店長に対する取材は、「モスバーガー」オーナーが取り次ぐという形で行われた。アルバイト店員は接触したマスコミ関係者に対し、取材に応じられない理由を「警察になにもいうなといわれていますので」と答えており、マスコミの接触に極度に脅えていた。遺体を朝木さんだと確認した東村山署の須田係長は、防衛医大病院の滝野医師に対し、マスコミの取材に応じないよう口止めしているが、警察は、第一発見者、第二発見者にも、同様に口止めをしているようなのである。

警察と創価学会の癒着、おそるべし。

 

獅子風蓮

 


PS)
「『落ちたんですか』
 『……いいえ』
 女性は小さな声でそう言って首を横に振った」(『週刊文春』)
正直いつも、事件の最初のこのくだりを読むと、疑問がわくのです。
朝木さんはもし本当に誰かに突き落とされたのなら、どうして「突き落とされた」と言わなかったのか。
もっと言えば、犯人を特定する言葉をどうして発しなかったのか?
おそらくそうとう混乱して、パニック状態にあったのかとも思うのですが、もっと具体的な言葉を残しておいてくれたらという気持ちは残ります。


この記事を書いた後、こんなブログを見つけました。

沖浦克治殺人犯人疑惑は自首して(2023-01-31)

一部引用します。

創価学会に脅迫されて転落された朝木明代市議の無念は晴らしたいですが、瀕死の状況で、朝木明代市議が創価学会の名を出されなかったのは、おそらく沖浦克治氏の言う通り、転落した朝木明代市議を、沖浦克治氏が助けようとしたのを知っていたからで、御本人もどう言っていいのか解らなかったからなのでしょう。そして残念な事に、そのまま御亡くなりなられてしまわれたのです。
もちろん、それでも御無念な事には変わりなく、
(清水氏の文章から引用)

例によって清水大悟氏の文章ですから、慎重にとらえる必要があるとは思います。
でも、こういうことなら、すべてが納得いくのです。
「『落ちたんですか』
 『……いいえ』
 女性は小さな声でそう言って首を横に振った」
このエピソードも納得がいきます。
彼女は、落ちそうになった自分を沖浦克治氏が助けようとしたこと、でも力尽きて転落してしまったことを説明したかったけど、転落のショックで言葉にできなかったのかもしれません。
朝木さんの遺体の腕に内出血の跡があったことも、これで説明がつきます。

ここはやはり、直接沖浦克治氏の話を聞いてみるしかなさそうですね。

是非、これを読んでいただけたら、コメントをください。

 

獅子風蓮