近年、母校野球部が試合をする球場は、八王子と神宮にほぼ固定されている。
先日、春季都大会の組み合わせが発表されたが、初戦から決勝まで、6試合すべて八王子だった。
JR八王子駅からのアクセスが良くないため、個人的にはあまり好きな球場ではないのだが、
2年前の夏にまとめて紹介したように、市内の飲食店は層が厚いので、帰りの食事は楽しみだ。
今回タイトルのお店『ちとせ』は、昨年の春大会観戦後に初めて利用した中華食堂である。
高校時代、同級生が近所に住んでいたので、存在自体はだいぶ前から知っていたが、入店経験はなし。
当時は、ラーメン専門店が増え始めた頃で、いわゆる街中華の魅力に気づかなかった。未成年ゆえ、一杯やろうとも思わなかったし。
昔から変わらぬ、黄色いテント看板がちとせさんの目印。
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店内はL字カウンター席のみ、働いているのはお母さんと、息子さん夫婦。
お母さんは補助に回り、調理はほぼ息子さん夫婦が担当。奥様も鍋を振るので提供はスピーディー。
息子さんはバイクで出前もこなしている。長年使用していると思われる、焦げ茶色の出前用お盆が渋い。
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メニューはこちら。縮小してあるので見にくいだろうが、「ラーメン」430円など、どの商品も安い。
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ネットで調べてみたところ、どうやら15年くらいお値段据え置きの模様。
最近の諸経費の高騰はもちろん、そもそも消費税率も変わっているのに、いいのだろうか。
初訪問時はまず、唯一の酒メニュー「ビール」500円に、「自家製ギョウザ」350円と「ワンタン」450円をオーダー。
キリンラガーの中瓶を飲んで待つこと数分、屋号と電話番号が記されたお皿に乗せられた餃子と、
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同時に出すべく調理したと思われる、ワンタンが入った丼がやってきた。
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餃子は1人前5個。野菜とお肉は半々だが、肉の主張がやや強めで、醤油などの調味料ナシでもイケる。
一方のワンタンは、刻み玉ねぎと青菜と一緒に、黒スープの中に沈んでいる。
「八王子ブラック」とも称される真っ黒なスープが、ちとせさんの特徴である。
富山ブラックと呼ばれる富山県のラーメンは、結構しょっぱいらしいが、こちらのスープは、
さっき載せたメニュー表の左上で、「大豆と小麦の発酵熟成による自然色であり、塩分もひかえめ」と説明。
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ロクに仕事もしておらず、愛想も人相も悪いため、近隣住民には相当嫌われていそうな私だが、
スープも人間も、「見た目だけで判断してはいけない」のである。一緒にされては、ちとせさんも迷惑か。
しょっぱくないとはいえ、醤油由来の旨味や、魚介ダシと合わさった、独特のほろ苦さも感じられる。
色自体も濃いため、白かったはずのワンタンも、画像のように茶色く染まる。
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ワンタン自体は、お肉少なめの昭和スタイルで、以前食べた「ひもかわうどん」のようにズルズル啜った。
ビールを2本飲み終え、シメのお食事として、中華屋さんでは珍しい「開花丼」600円をチョイス。
玉子でとじられた具材が、手際よく丼に盛り付けられ、お新香とともに提供される。
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他人丼とも呼ばれる開花丼は、牛肉の場合もあるが、こちらは豚肉。「肉野菜炒め」などでも使用するからね。
お肉は火が通り過ぎておらず、ちょうどいい煮え具合で、ダシも程よく効いている。
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残っていたワンタン黒スープと一緒にたいらげ、食後は当然満腹に。これで600円は安すぎる。
あとで知ったが、こちらの店主はお蕎麦屋さんで修業したらしい。だから丼ものもウマいのか。
数ヶ月後、夕方の時間帯に2度目の訪問。中休みがないのはありがたい。
今回も最初にビール、おツマミとして、写真の「スタミナ炒め」550円をオーダー。
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「肉多めの野菜炒め、ニンニク風味」というスタイル。確かにスタミナがつきそうだ。
ご飯にも合いそうな濃い味付けで、ビールが進んでしまい、すぐにもう1本お替わり。
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食欲増進効果があるとされるビールだが、最近はトシのせいか、お腹が膨れてしまう逆効果も。
なので早くもシメのお食事。前回から気になっていた、「カレーラーメン」480円を注文。ラーメン+50円とは破格だ。
ただし、同じ八王子市の『いち川食堂』のカレーそばのように、醤油ラーメンにカレーをかけるのではなく、
丼にカレーのスパイスらしきものを混ぜて作成するようで、見た目はほぼ、醤油ラーメンと同様のブラック仕様。
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よ~く見ると、スープの周辺(輪郭)がうっすらと黄色いが、カレーの香りもそれほど強くない。
ただ、スープを飲んでみると、予想以上にスパイシー。辛さは変更できるようだが、標準でも結構ピリっとくる。
麺はカレー色…ではなく、さっきのワンタンと同じく、漆黒スープの色に染まっている。
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具材は、上記画像右下のうずらの他、玉ネギ、絹さや、メンマ、ノリ、チャーシュー。たぶん、普通のラーメンも同様だろう。
特筆したいのがチャーシュー。昭和チックなパサパサの味気ないヤツかと思いきや、
バラ肉を濃い味付けで煮込んでおり、とろけるように柔らかく、しかも抜群にウマい!
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※あと、レンゲがかわいい
カレーの印象が薄かったので、次回は「小カレー」ライス350円と麺類を頼もうと決意。
いつもそうなのかはわからないが、夕方の時間帯は出前注文が多く、何度も電話がかかってきた。
前回と違う席に座ったので、レジ下に配置されている、現役稼働中の黒電話をズームで撮影。
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電話を受け、素早く調理し、息子さんが出かけていく…のが何度も繰り返されるため、
厨房真横のドアは常に開きっぱなしで、正直寒かったのだが(苦笑)、働いている皆さんは暑いだろうからガマンだ。
そして昨日の日曜日。ランチタイムを過ぎた14時台に、3度目の訪問。
そんな時間にもかかわらず、店外には行列ができていた。人気あるんだなあ。
前の客が入店し、私が列の先頭になったところで、初めて間近で見た入口ノレンを、思わず撮影。
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数分後、食べ終えた先客に代わり私も着席。今回は醤油スープ以外を試したくて、
「五目そば」650円か「みそチャーシュー」750円かで悩んだ挙句、五目そば+小カレーのセットを注文。
塩スープ好きで五目そばマニアでもある私が、浮気しようとした理由は、さっき絶賛したチャーシューの存在である。
豚コマだけでチャーシューが入らない場合もある五目そばだが、こちらのは…おお、ちゃんと入っていた!
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同時に提供された、小カレーとの画像はこちら。小カレーは、ハーフどころか3/4くらいはありそう。
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五目そばは、キャベツ、モヤシ、人参、玉ネギ、椎茸などの野菜類に、チャーシュー、豚肉、ナルト、ゆで玉子、
さらには伊達巻きにお麩と、五目どころじゃないたくさんの具材を、塩スープでまとめている。
麺はカレーラーメンと同じ中細麺。さっき書き忘れたけど、歯応えのある良質の麺だよ。
薄緑の塩スープも、黒い醤油スープのように塩分控えめだと思うが、デカい椎茸から、ダシがかなり出ている。
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いろんなお店で五目そばを食べてきたが、椎茸がメイン(?)なのは珍しいね。
カレーソースは、具材少なめのどろっとしたタイプで、五目そばのスープを混ぜて、少し伸ばしてみた。
ついでに、玉子などもゲスト参戦。伊達巻きカレーって、かなり斬新だよね。
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具だくさん五目そばと、全然小じゃない小カレーで、すっかり満腹になったが、お会計は千円ポッキリ。
食べログなどでは、黒いスープばかりが強調されているが、こちらの最大の特徴は、長年変わらぬ安価である。
黒いスープのラーメンや、黒電話で受ける出前で人気を博しているちとせさんだが、
こんなに安くてお店の収支が黒字になるのか、余計なお世話だろうけど、少々気がかりである。
3月に入り、またまた食材の値段が上がった。どうか無理せず、時勢に見合った価格で営業を続けてほしい。
<おまけ> お店近くの石材店にいたドラちゃん石像
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ちとせ
東京都八王子市南新町8
JR八王子駅より徒歩約13分
営業時間 11時~20時
定休日 土曜
先日、春季都大会の組み合わせが発表されたが、初戦から決勝まで、6試合すべて八王子だった。
JR八王子駅からのアクセスが良くないため、個人的にはあまり好きな球場ではないのだが、
2年前の夏にまとめて紹介したように、市内の飲食店は層が厚いので、帰りの食事は楽しみだ。
今回タイトルのお店『ちとせ』は、昨年の春大会観戦後に初めて利用した中華食堂である。
高校時代、同級生が近所に住んでいたので、存在自体はだいぶ前から知っていたが、入店経験はなし。
当時は、ラーメン専門店が増え始めた頃で、いわゆる街中華の魅力に気づかなかった。未成年ゆえ、一杯やろうとも思わなかったし。
昔から変わらぬ、黄色いテント看板がちとせさんの目印。
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店内はL字カウンター席のみ、働いているのはお母さんと、息子さん夫婦。
お母さんは補助に回り、調理はほぼ息子さん夫婦が担当。奥様も鍋を振るので提供はスピーディー。
息子さんはバイクで出前もこなしている。長年使用していると思われる、焦げ茶色の出前用お盆が渋い。
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メニューはこちら。縮小してあるので見にくいだろうが、「ラーメン」430円など、どの商品も安い。
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ネットで調べてみたところ、どうやら15年くらいお値段据え置きの模様。
最近の諸経費の高騰はもちろん、そもそも消費税率も変わっているのに、いいのだろうか。
初訪問時はまず、唯一の酒メニュー「ビール」500円に、「自家製ギョウザ」350円と「ワンタン」450円をオーダー。
キリンラガーの中瓶を飲んで待つこと数分、屋号と電話番号が記されたお皿に乗せられた餃子と、
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同時に出すべく調理したと思われる、ワンタンが入った丼がやってきた。
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餃子は1人前5個。野菜とお肉は半々だが、肉の主張がやや強めで、醤油などの調味料ナシでもイケる。
一方のワンタンは、刻み玉ねぎと青菜と一緒に、黒スープの中に沈んでいる。
「八王子ブラック」とも称される真っ黒なスープが、ちとせさんの特徴である。
富山ブラックと呼ばれる富山県のラーメンは、結構しょっぱいらしいが、こちらのスープは、
さっき載せたメニュー表の左上で、「大豆と小麦の発酵熟成による自然色であり、塩分もひかえめ」と説明。
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ロクに仕事もしておらず、愛想も人相も悪いため、近隣住民には相当嫌われていそうな私だが、
スープも人間も、「見た目だけで判断してはいけない」のである。一緒にされては、ちとせさんも迷惑か。
しょっぱくないとはいえ、醤油由来の旨味や、魚介ダシと合わさった、独特のほろ苦さも感じられる。
色自体も濃いため、白かったはずのワンタンも、画像のように茶色く染まる。
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ワンタン自体は、お肉少なめの昭和スタイルで、以前食べた「ひもかわうどん」のようにズルズル啜った。
ビールを2本飲み終え、シメのお食事として、中華屋さんでは珍しい「開花丼」600円をチョイス。
玉子でとじられた具材が、手際よく丼に盛り付けられ、お新香とともに提供される。
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他人丼とも呼ばれる開花丼は、牛肉の場合もあるが、こちらは豚肉。「肉野菜炒め」などでも使用するからね。
お肉は火が通り過ぎておらず、ちょうどいい煮え具合で、ダシも程よく効いている。
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残っていたワンタン黒スープと一緒にたいらげ、食後は当然満腹に。これで600円は安すぎる。
あとで知ったが、こちらの店主はお蕎麦屋さんで修業したらしい。だから丼ものもウマいのか。
数ヶ月後、夕方の時間帯に2度目の訪問。中休みがないのはありがたい。
今回も最初にビール、おツマミとして、写真の「スタミナ炒め」550円をオーダー。
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「肉多めの野菜炒め、ニンニク風味」というスタイル。確かにスタミナがつきそうだ。
ご飯にも合いそうな濃い味付けで、ビールが進んでしまい、すぐにもう1本お替わり。
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食欲増進効果があるとされるビールだが、最近はトシのせいか、お腹が膨れてしまう逆効果も。
なので早くもシメのお食事。前回から気になっていた、「カレーラーメン」480円を注文。ラーメン+50円とは破格だ。
ただし、同じ八王子市の『いち川食堂』のカレーそばのように、醤油ラーメンにカレーをかけるのではなく、
丼にカレーのスパイスらしきものを混ぜて作成するようで、見た目はほぼ、醤油ラーメンと同様のブラック仕様。
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よ~く見ると、スープの周辺(輪郭)がうっすらと黄色いが、カレーの香りもそれほど強くない。
ただ、スープを飲んでみると、予想以上にスパイシー。辛さは変更できるようだが、標準でも結構ピリっとくる。
麺はカレー色…ではなく、さっきのワンタンと同じく、漆黒スープの色に染まっている。
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具材は、上記画像右下のうずらの他、玉ネギ、絹さや、メンマ、ノリ、チャーシュー。たぶん、普通のラーメンも同様だろう。
特筆したいのがチャーシュー。昭和チックなパサパサの味気ないヤツかと思いきや、
バラ肉を濃い味付けで煮込んでおり、とろけるように柔らかく、しかも抜群にウマい!
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※あと、レンゲがかわいい
カレーの印象が薄かったので、次回は「小カレー」ライス350円と麺類を頼もうと決意。
いつもそうなのかはわからないが、夕方の時間帯は出前注文が多く、何度も電話がかかってきた。
前回と違う席に座ったので、レジ下に配置されている、現役稼働中の黒電話をズームで撮影。
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電話を受け、素早く調理し、息子さんが出かけていく…のが何度も繰り返されるため、
厨房真横のドアは常に開きっぱなしで、正直寒かったのだが(苦笑)、働いている皆さんは暑いだろうからガマンだ。
そして昨日の日曜日。ランチタイムを過ぎた14時台に、3度目の訪問。
そんな時間にもかかわらず、店外には行列ができていた。人気あるんだなあ。
前の客が入店し、私が列の先頭になったところで、初めて間近で見た入口ノレンを、思わず撮影。
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数分後、食べ終えた先客に代わり私も着席。今回は醤油スープ以外を試したくて、
「五目そば」650円か「みそチャーシュー」750円かで悩んだ挙句、五目そば+小カレーのセットを注文。
塩スープ好きで五目そばマニアでもある私が、浮気しようとした理由は、さっき絶賛したチャーシューの存在である。
豚コマだけでチャーシューが入らない場合もある五目そばだが、こちらのは…おお、ちゃんと入っていた!
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五目そばは、キャベツ、モヤシ、人参、玉ネギ、椎茸などの野菜類に、チャーシュー、豚肉、ナルト、ゆで玉子、
さらには伊達巻きにお麩と、五目どころじゃないたくさんの具材を、塩スープでまとめている。
麺はカレーラーメンと同じ中細麺。さっき書き忘れたけど、歯応えのある良質の麺だよ。
薄緑の塩スープも、黒い醤油スープのように塩分控えめだと思うが、デカい椎茸から、ダシがかなり出ている。
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いろんなお店で五目そばを食べてきたが、椎茸がメイン(?)なのは珍しいね。
カレーソースは、具材少なめのどろっとしたタイプで、五目そばのスープを混ぜて、少し伸ばしてみた。
ついでに、玉子などもゲスト参戦。伊達巻きカレーって、かなり斬新だよね。
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具だくさん五目そばと、全然小じゃない小カレーで、すっかり満腹になったが、お会計は千円ポッキリ。
食べログなどでは、黒いスープばかりが強調されているが、こちらの最大の特徴は、長年変わらぬ安価である。
黒いスープのラーメンや、黒電話で受ける出前で人気を博しているちとせさんだが、
こんなに安くてお店の収支が黒字になるのか、余計なお世話だろうけど、少々気がかりである。
3月に入り、またまた食材の値段が上がった。どうか無理せず、時勢に見合った価格で営業を続けてほしい。
<おまけ> お店近くの石材店にいたドラちゃん石像
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ちとせ
東京都八王子市南新町8
JR八王子駅より徒歩約13分
営業時間 11時~20時
定休日 土曜