元気に動き出した「精工舎 並スリゲル」。
針も文字盤も取り付けることなく、馴らし運転から始めます。
ところで、「スリゲル」の語源は未だ解明されていませんが、明治以降、外国時計が日本に
輸入され始めてから、何らかの外国語が転訛して出来た日本語で有るということは分っています。
ユンハンスのように3面にガラスが嵌め込められた細長い長方形のケースに入った時計の事を
一般的にスリゲル時計と呼ぶようになったのですが、今ではサイドに角窓若しくは丸窓が有れば
スリゲルと呼んでいます。
一本掛けのハープの飾りが付いた振り子も只今、元気に振れています。
外装の黒漆もクリーングの後、磨きを掛け大分輝きが蘇りました。
後は欠品状態の「上宮部」と「下方擬宝珠」。
捜すか、はたまた造るか・・・。それは、確かに悩みでは有るものの気長に構えて悩むのも
楽しみのひとつかも知れません。
今の段階では明治35年、111年という年月の荒波に流れ去ることなく、目の前で元気に時を
刻んでいるだけで喜ばしい限りなのです。