素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

MDが聴けない!

2021年02月21日 | 日記
 退職した1年目は、かなり精力的に動いた。その1つが♬ニュー・ミュージック・ベストヒット♬というカセットテープの全集(全17巻)をデジタル化することであった。
 「カセットテープは劣化してダメになる。」「カセットテープでは車で聴くことができない。」「今ならまだ音質は保持できている。」「作業の時間はたっぷりある。」などという思いに突き動かされた。
 当時、CDよりコンパクトなMDに魅力を感じていた。愛用していたのもPanasonicの MD STEREO SYSTEMと銘打ったカセットテープ、CD、MDに対応しているものだった。部屋にこもって取りつかれたみたいに作業をした。
 息子の車のカーステレオもMDがついていたので実家への行き帰りに楽しむことができた。しかし、これから伸びるでであろうという予想に反してMDの存在はすたれていった。中途半端なコンパクトさが受け入れられなかったのかと思う。
 そうなるとMDを聴くための機器も作られなくなり店頭から姿を消していった。私の方はMDは息子の車でドライブする時CDは家でという感じで不自由してこなかった。

 コロナ禍の中、車で出かけることもめっきり少なくなり、MDを聴く機会も減った。ある日ふと仕事のBGMに♬ニュー・ミュージック・ベストヒット♬を流したくなった。そこでCD専用みたいになっていたPanasonicの MD STEREO SYSTEMに何年かぶりにMDを入れてみた。すると勝手にejectしてきて受けつけないのである。目が点になった。「どういうこと?」と他のも試したが結果は同じ。腑に落ちないが現実を受け止めるしかない。
 【MD NO DISK】の表示が虚しい。聴けないとなると無性に聴きたくなる。通販でMDを聴くことができる機器を検索してみたら絶滅危惧種に近いものがあると判明。息子は今年の12月に来る車検の前に新車に乗り換えようと思っている。と言っていた。そうなると車でも聴くことができなくなる。追い詰められると脳はフル回転する。息子の部屋の隅っこにある煙草のヤニでセピア色になっているカセットデッキが思い浮かんだ。私と真逆で息子は筋金入りのヘビースモーカー。部屋の壁も天井もヤニで染まっている。とても苦手な空間である。でも背に腹は代えられず勝手に侵入してヤニだらけのデッキを手にした。大当たり。MD機能がついていた。長らく使った様子もないので「どうかな?」と不安だったが見事に再生してくれた。逆転ホームランを打ったような気分だった。夜に仕事から帰った息子に交渉。あっさりとゆずってくれた。20年近く使ってないそうだ。「今さら何で?」という顔をしていたが詳細は話さなかった。足元を見られ高値をふっかけられるのもしゃくだからだ。ヤニを可能なかぎり落とし私の部屋におさまった。いつでも聴くことができるというだけで心落ち着くものである。
 私より先に壊れないでほしいものだ。

コメント
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