素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

初心

2023年06月25日 | 日記
 今日の毎日新聞・日曜クラブの「新・心のサプリ」で海原純子さんは「初心を忘れない」ことの大切さを取り上げている。乗り合わせたタクシーの運転席の傍らに幼い男の子がふたり仲良く笑っている写真が置いてあるのを目にした海原さんは、お孫さんかなと思い「かわいいですね」と声をかけると運転手さんからは「息子たちなんです」という答えが返ってきた。そして「この仕事を始めた時に撮った写真なんです」と言葉を続けた。初心を忘れたくないから写真をいつも仕事の時に運転席近くに置くのだという。「上の子は今年大学を出て下の子はもう高校生です」と聞いて海原さんは、毎日こんなふうに思いながら仕事をしている人がいると知って、とてもいい気持を分けてもらったと書いている。

 海原さんは「初心を大事にしよう」などと思ってもすぐに忘れてしまいがちだと言う。そこで、別の方法で初心を取り戻すことを心がけていると紹介している。それは、自分が専門分野にしていることと離れた専門分野の論文を読んだり、講義を聴いたりすることだという。完全に初心者としての体験をすることで、自分の専門分野に新しい視点を加えることができる。という海原さんの話は、私自身の経験に照らし合わせてうなづける。

 私が初心を忘れないために、本棚に置いてきたのは写真ではなく、4回生の時の教育実習の記録綴である。10月1日から27日までの1ヶ月間に行った、教科指導、学級指導、クラブ指導、などすべての記録が綴られている。今、読むと少し恥ずかしい部分もあるが全てを出し切った熱い思いは伝わってきて折にふれてカンフル剤となった。

 また、働き始めてから車の必要性を痛感して通った自動車学校の経験も大切なものだった。「教えられる立場」に立つことで、分からないことできないことに直面した時の教官の言葉、態度などに学ぶ点が多かった。

 「だれでもみな、その仕事に取り組みだしたころは、生き生きとしているものなのだ。変えてしまうのは年月ではない。年月とは違う怪物にのみ込まれないように気を付けないと、自分に言いきかせた」という海原さんの締めくくりの言葉に共感する。

 
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