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高校生に読んで欲しい「夜のピクニック」by恩田陸

2016年01月31日 | 小説レビュー
~『高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。
それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。
甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために――。
学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。
吉川英治文学新人賞、本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。』「BOOK」データベースより抜粋

僕は基本的に「あっ!と驚く大どんでん返し!」小説が大好きなんですが、何故かこの本を選んでしまいました。

前半、かなりダラダラとしますが、中盤からは一気に走ります。

青春群像小説と一言で片付けてしまえば、それまでなんですが、主人公(甲田貴子と西脇融)の友人たちを通して語られる言葉の意味が心に響きます。

特に現役の高校生には読んで欲しいと願いますね。

やり残したこと、「もっと、こんな風に気付けたら」と、今さらながら思っています(^_^;)

主人公に対して親友が語ります、「・・・あえて雑音をシャットアウトして、さっさと階段を上がりきりたい気持ち痛いほどわかる。雑音はうるさいけど、やっぱり聞いておかないきゃならない時だってある。お前にはノイズにしか聞こえないだろうけど、このノイズが聞こえるのって今だけだから、あとからテープを巻き戻して聞こうと思った時にはもう聞こえない。いつか絶対、あの時聞いておけば良かったって後悔する日がくると思う・・・」と。

このセリフはいいですね!いくつになっても 「今しか出来ないこと、今だから感じられること」というのが必ずあると思います。

現役高校生の長女にもオススメしておきましたよ!

物語も朝から夜に、そして夜明けから朝にと、まさに太陽が昇るように、鮮やかに、爽やかにエンディングを迎えます。

主人公の二人はそれなりに良いキャラクターですが、それよりも脇を固める、親友の男女、クラスメイト、お調子者、親友の弟などが、とっても効果的に配置されており、楽しめると思いますよ!

★★★☆3.5です。