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やっぱりいい!『マリアビートル』by伊坂幸太郎

2016年12月09日 | 小説レビュー
~酒浸りの元殺し屋「木村」。狡猾な中学生「王子」。腕利きの二人組「蜜柑」「檸檬」。運の悪い殺し屋「七尾」。物騒な奴らを乗せた新幹線は疾走する! 『グラスホッパー』に続く、殺し屋たちの狂想曲。「BOOK」データベースより


グラスホッパーの続編?というか、グラスホッパーに出てきた人物が再登場するので、「あぁ〜、あの時の!」と声を上げたくなります

さて本編は、東京発→盛岡行の新幹線「はやて・こまち」の車両に乗り合わせた、殺し屋たちの間で繰り広げられる頭と身体を駆使したバトルの物語です。

たくさんのキャラクターが登場しますが、それぞれのキャラが立っていて戸惑いません。物語も交差しますが、とても綺麗に整理されているので、道に迷うことなくエンディングにたどり着けます!

ただのハードボイルド活劇に留まることなく、「何故、人は煽動されるのか?(ルワンダ虐殺事件)」、「何故、人を殺してはいけないのか?(酒鬼薔薇事件)」などが引用されており、とても考えさせられます。

グラスホッパーは、わりとシリアスに物語が進行し、最後にも「う〜ん・・・」と、考えさせられましたが、マリアビートルは、内容もポップで明るく、「機関車トーマス」の逸話にも和まされ、ラストでは晴れ間が差すような気持ちにさせてくれます。

伏線回収も見事で、スピード感もあり、ジグソーパズルが出来上がる映像を早送りで見ているように気持ちよく綺麗にまとめられています。

さすがは伊坂幸太郎氏!素晴らしい作品です。

★★★☆3.5です。