~この街でなら、明日が変わる。海が見える市立図書館で働く20、30代の4人の男女を、誰も書けない筆致で紡ぐ傑作連作中編集。「BOOK」データベースより
とても読みやすく、優しい物語です。海の見える街にある図書館で働いている4人の男女の恋物語をそれぞれの視点で語られる4編からなる連作短編集です。
1話が終わった時に、「これで終わりか?」と思いきや、しっかり繋がっているんですね。
実は、とても評価の高い小説でして・・・。
まぁ、小さな街の狭い空間の中で、年齢の近い男女が恋に落ちていくという話だけなら、それほど話題に上ることもなかったかと思われますが・・・、
4人の男女それぞれが歩んできた道のりの中に、暗い過去やトラウマを引きずっており、それが各々の人格形成や人生の選び方、言動・行動に反映されています。
別々の世界で暮らしていれば、決して交じり合うことが無かったはずの個性的な4人ですが、この街の図書館で共に働き、時間と悩みを共有することによって、緩やかに心が開かれていきます。
春香ちゃん以外は、見た目もパッとせず、性格も引っ込み思案な男女ですが、「密室効果」?ともいうべき境遇と、「この人なら・・・。」と、誰にも打ち明けた事がない暗い過去を話せる穏やかな心の持ち主たちと出逢えたことが幸いたのかもしれません。
「はいはい、そらそうなるわな」という展開ですが、そこに、こじつけのような強引さはなく、自然な形でフンワリと描かれており、「最後は誰と誰がどうなるんやろ?」と、物語に引き込まれていきました。
この物語は、4人の不完全で不器用だった人たちが、恋愛を通じて、大きく成長し、お互いに尊重しあいながら、新たな人生を切り開いていくという、結構深くてメッセージ性が強いストーリーなんですよね。
その証拠に、4人の中で一番危なっかしくて、一番心配だった春香ちゃんが、友だちの拓也君に対して言う言葉がいいんです。
拓也君のお父さんが友達の少ない人らしく、「お父さんには親友が一人しかいないんだ。一人いれば十分なんだって・・・、」とのこと。
それを踏まえて、春香ちゃんが拓也君に、「その一人に出会うまで、いろんな人と接しなさい、・・・(中略)その一人が見つかったら、大切にしなさい。自分より相手が喜ぶことを考えて大切にしなさい。」 と、(*´-`)
ドーンと盛り上がる場面や、「ええっ!!」と驚く、どんでん返し等はありませんが、爽やかに心地よいエンディングには納得でした。
心が荒んでいる時には、手に取りたい1冊ですね。
★★★☆3.5です。
とても読みやすく、優しい物語です。海の見える街にある図書館で働いている4人の男女の恋物語をそれぞれの視点で語られる4編からなる連作短編集です。
1話が終わった時に、「これで終わりか?」と思いきや、しっかり繋がっているんですね。
実は、とても評価の高い小説でして・・・。
まぁ、小さな街の狭い空間の中で、年齢の近い男女が恋に落ちていくという話だけなら、それほど話題に上ることもなかったかと思われますが・・・、
4人の男女それぞれが歩んできた道のりの中に、暗い過去やトラウマを引きずっており、それが各々の人格形成や人生の選び方、言動・行動に反映されています。
別々の世界で暮らしていれば、決して交じり合うことが無かったはずの個性的な4人ですが、この街の図書館で共に働き、時間と悩みを共有することによって、緩やかに心が開かれていきます。
春香ちゃん以外は、見た目もパッとせず、性格も引っ込み思案な男女ですが、「密室効果」?ともいうべき境遇と、「この人なら・・・。」と、誰にも打ち明けた事がない暗い過去を話せる穏やかな心の持ち主たちと出逢えたことが幸いたのかもしれません。
「はいはい、そらそうなるわな」という展開ですが、そこに、こじつけのような強引さはなく、自然な形でフンワリと描かれており、「最後は誰と誰がどうなるんやろ?」と、物語に引き込まれていきました。
この物語は、4人の不完全で不器用だった人たちが、恋愛を通じて、大きく成長し、お互いに尊重しあいながら、新たな人生を切り開いていくという、結構深くてメッセージ性が強いストーリーなんですよね。
その証拠に、4人の中で一番危なっかしくて、一番心配だった春香ちゃんが、友だちの拓也君に対して言う言葉がいいんです。
拓也君のお父さんが友達の少ない人らしく、「お父さんには親友が一人しかいないんだ。一人いれば十分なんだって・・・、」とのこと。
それを踏まえて、春香ちゃんが拓也君に、「その一人に出会うまで、いろんな人と接しなさい、・・・(中略)その一人が見つかったら、大切にしなさい。自分より相手が喜ぶことを考えて大切にしなさい。」 と、(*´-`)
ドーンと盛り上がる場面や、「ええっ!!」と驚く、どんでん返し等はありませんが、爽やかに心地よいエンディングには納得でした。
心が荒んでいる時には、手に取りたい1冊ですね。
★★★☆3.5です。