~中原道正・小夜子夫妻は一人娘を殺害した犯人に死刑判決が出た後、離婚した。
数年後、今度は小夜子が刺殺されるが、すぐに犯人・町村が出頭する。
中原は、死刑を望む小夜子の両親の相談に乗るうち、彼女が犯罪被害者遺族の立場から死刑廃止反対を訴えていたと知る。
一方、町村の娘婿である仁科史也は、離婚して町村たちと縁を切るよう母親から迫られていた―。「BOOK」データベースより
初めて東野圭吾氏の作品に触れたのが。2014年10月07日、『さまよう刃』でした。ストーリー展開に衝撃を受けたのはもちろんですが、東野圭吾氏が描く、ヒューマンミステリーの魅力に取り憑かれ、それから早5年・・・、今作が記念すべき30作目でした。
本当に間違いの無い、ハズレのない作家さんといえば、東野圭吾氏がナンバーワンでしょう!今作も例外ではなく、非常にスラスラと、そしてグイグイと引き込まれ、一気に読了しました。
「日本の死刑制度の是非について」、読者に問いかける内容であり、殺人被害者と加害者の両側からの視点を簡潔にわかりやすく、そして真摯に捉えた作品でした。
人の命、人生、そして遺族の人生をも奪ってしまう殺人。その重罪を犯した被告人は裁判にかけられ、
少し調べてみたところ・・・。
~殺人罪は、死刑から懲役5年までという幅広い法定刑が定められています。
さらに、刑法第66条に、「犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、
その刑を減刑することができる。」という酌量減刑の規定がありますから、
執行猶予付の判決が出ることもあります。
平成28年版犯罪白書によりますと、平成27年の地方裁判所における殺人罪
(314件のうち)の死刑・懲役等の科刑状況は、死刑が2件、無期懲役が7件、
15年を超え30年以下が44件、3年を超え15年以下が167件、3年以下が94件
です。死刑の割合はかなり低く抑えられていることがわかります。
「弁護士法人デイライト法律事務所HPより」
様々なケースがあるのでしょうが、人の命を奪っておきながら、殺人罪で告訴されながら、死刑宣告を受けたのが314人中2人(0.006%)です。これでは、被害者遺族の感情は報われません。
今作は、8歳の一人娘を無残にも殺されてしまった夫婦のその後の生き方、感情の起伏などが詳細に綴られています。
そして、一つの殺人事件の裁判だけでなく、更なる悲劇を生んでしまった、もう一つの殺人事件の裏側に隠された過去の大きな秘密について、様々な伏線を張り、そして最後に一気に回収するという、東野圭吾氏一流の展開が読者を引き付けます。
オチとしてはそれなりですが、ここまで引っ張る筆力・展開力はさすがですね!
日本の刑罰制度について、大いに考えさせられる作品でした。
★★★☆3.5です。
数年後、今度は小夜子が刺殺されるが、すぐに犯人・町村が出頭する。
中原は、死刑を望む小夜子の両親の相談に乗るうち、彼女が犯罪被害者遺族の立場から死刑廃止反対を訴えていたと知る。
一方、町村の娘婿である仁科史也は、離婚して町村たちと縁を切るよう母親から迫られていた―。「BOOK」データベースより
初めて東野圭吾氏の作品に触れたのが。2014年10月07日、『さまよう刃』でした。ストーリー展開に衝撃を受けたのはもちろんですが、東野圭吾氏が描く、ヒューマンミステリーの魅力に取り憑かれ、それから早5年・・・、今作が記念すべき30作目でした。
本当に間違いの無い、ハズレのない作家さんといえば、東野圭吾氏がナンバーワンでしょう!今作も例外ではなく、非常にスラスラと、そしてグイグイと引き込まれ、一気に読了しました。
「日本の死刑制度の是非について」、読者に問いかける内容であり、殺人被害者と加害者の両側からの視点を簡潔にわかりやすく、そして真摯に捉えた作品でした。
人の命、人生、そして遺族の人生をも奪ってしまう殺人。その重罪を犯した被告人は裁判にかけられ、
少し調べてみたところ・・・。
~殺人罪は、死刑から懲役5年までという幅広い法定刑が定められています。
さらに、刑法第66条に、「犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、
その刑を減刑することができる。」という酌量減刑の規定がありますから、
執行猶予付の判決が出ることもあります。
平成28年版犯罪白書によりますと、平成27年の地方裁判所における殺人罪
(314件のうち)の死刑・懲役等の科刑状況は、死刑が2件、無期懲役が7件、
15年を超え30年以下が44件、3年を超え15年以下が167件、3年以下が94件
です。死刑の割合はかなり低く抑えられていることがわかります。
「弁護士法人デイライト法律事務所HPより」
様々なケースがあるのでしょうが、人の命を奪っておきながら、殺人罪で告訴されながら、死刑宣告を受けたのが314人中2人(0.006%)です。これでは、被害者遺族の感情は報われません。
今作は、8歳の一人娘を無残にも殺されてしまった夫婦のその後の生き方、感情の起伏などが詳細に綴られています。
そして、一つの殺人事件の裁判だけでなく、更なる悲劇を生んでしまった、もう一つの殺人事件の裏側に隠された過去の大きな秘密について、様々な伏線を張り、そして最後に一気に回収するという、東野圭吾氏一流の展開が読者を引き付けます。
オチとしてはそれなりですが、ここまで引っ張る筆力・展開力はさすがですね!
日本の刑罰制度について、大いに考えさせられる作品でした。
★★★☆3.5です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます