まわる世界はボーダーレス

世界各地でのビジネス経験をベースに、グローバルな視点で世界を眺め、ビジネスからアートまで幅広い分野をカバー。

スティーブ・ジョブズについて思うこと

2011-10-08 14:35:14 | Life

スティーブ・ジョブズ氏が亡くなった。
我々はすごい人と同時代を生きたのだ、
とあらためて思う。

1955年2月24日生まれ。
私は1955年7月生まれなので、
彼とはほぼ同じ時間を生きた。

「今日が人生最後の日なら、
今日の予定はお前が本当に
やりたいことなのか?」
と彼は鏡の自分に常に問いかけたとか。
だからこそ彼は世界を変えるような
偉業を成し遂げた。
一方、自分は何を成し遂げたのだろう。
今日が人生最後の日だとしたら、
何も大したことを残せなかった事を
反省せざるをえない。

私は大学を卒業しそこねて、留年し、
今の会社にアルバイトで入って
そのまま正社員になった。
愛知県の教員になるかもしれなかったのに、
それ以来ずっと広告業界に身を置く事に
なった。

1984年にアップル・コンピューターの
マッキントッシュのテレビコマーシャルが
広告業界で話題になっていた。

映画監督のリドリー・スコットが監督した
このCMは、テレビでは一度しか放映され
なかったのに、広告賞を総なめし、
伝説のコマーシャルとなった。
それがこちらの作品。



最後のナレーションで流れるスーパーは
日本語にするとこんな感じ。
「1月24日、アップルコンピュータ社は、
Macintoshを発表します。そのとき、
1984年が小説『1984年』のようにはならない
ということが、きっとお分かりになるでしょう。」

イギリスの小説家ジョージ・オーウェル
が書いた「1984年」を下敷きにしている。
英文科にいた私は、偶然にもこの小説を
テキストにした授業を取っていた。
ビッグブラザーが管理する全体主義の世界。
それがそのままこのコマーシャルになっている。
スクリーンに映っているビッグブラザーは、
当時コンピューター界を牛耳っていた
ビッグ・ブルー(=IBM)の象徴。
それをマッキントッシュが打ち壊す。
ここから世界が変わった。
本当に変わった。

まだ20代のスティーブ・ジョブズが
マッキントッシュを発表するスピーチの
動画がある。この最後のほうにこのCMが
上映される。それを紹介しよう。



まだ28才くらいだと思われるが、若い!
「1984年」のCMが上映された後の喝采もすごい。
このコマーシャルを作ったのは、シャイアット・
デイ(Chiat/Day)という西海岸の広告代理店。
ここのクリエイティブは私の憧れだった。
今はChiat/Dayは、TBWAに吸収されている。

私がいた会社は、すぐにマッキントッシュを
購入した。それ以来、私は現在もマックユーザー
を続けている。クラシック2、iMac、
MacBook G4、MacBook Pro、MacBook Air、
何台のマックを使ってきたんだろう。
今はiPhoneやiPodも使っているが。

そして、紆余曲折の末、再びアップルに
戻ってきたスティーブ・ジョブズが、
再びシャイアット・デイ(当時すでにTBWA)
を使って作ったコマーシャルがこちらの
"Think Different"。



日本語版もあるが、英語のオリジナルの
ナレーションのほうが素敵な気がする。
スティーブ・ジョブズ氏がスタンフォード大学の
2005年の卒業式のスピーチの最後に締めくくる
言葉「Stay hungry, stay foolish」
(ハングリーであれ、馬鹿であれ)に通じる
メッセージでもある。

今、このコマーシャルをリメイクするとしたら、
スティーブ・ジョブズ氏自身こそ、この中に登場
すべき人物なのだろう。

このコマーシャルが登場したのは1997年。
この年、私は42才。シンガポールで働いていた。
オフィスにはデスクトップのマックがあった。

それから14年。スティーブ・ジョブズ氏は
いなくなった。しかし彼のスピリットは
アップルの製品の中に生き続けている。
彼がいなかったら、パーソナルコンピューター
はこんなに普及しておらず、スマートフォンは
存在せず、今のようなこんな便利な世界は
実現してなかったのかもしれない。

「今日が人生最後の日だとしたら」と
天国のスティーブ・ジョブズはまだ自分に
問いかけているのかもしれない。

ありがとう、スティーブ・ジョブズ。

こちらもよろしくお願いいたします

にほんブログ村 海外生活ブログ アジア情報へにほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする