まわる世界はボーダーレス

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インドではTikTokやPUBGなどのアプリは使用禁止

2020-09-13 18:17:05 | インド

日本ではあまり報道されていないのですが、インドでは、中国製のスマホアプリの使用が禁止になっています。前回のインド 映画「きっとうまくいく」のあの湖で睨み合うインド と中国という記事でも触れたのですが、6月15日のガルワン渓谷で45年ぶりに死者を出した中印衝突がきっかけになっています。



かねてから国境問題では緊張感が継続していたのですが、死者を出してしまったということで、インドの怒りが頂点を極めたという感じです。両国とも核兵器は持っているのですが、軍事衝突になった場合の結末は悲劇でしかないということは理解しているので、感情にまかせて軍事行動には出たくはありません。でも国民感情としては、アンチ中国熱が高まっています。中国製品ボイコットの運動もインド 各地で盛り上がっています。



ということで、インド 政府は、中国製のスマホアプリを禁止することにしました。アメリカのトランプ大統領も、よく言っていますが、これらの中国製のアプリを通して情報を中国に吸い取られているということで、セキュリティー上の観点からも中国製のアプリを禁止することは国民を説得しやすいということもあったのでしょう。

スマホ本体も、実はほとんど中国製なのですが、スマホを禁止してしまうと、消費者が困ってしまいます。なのでアプリをということかと思います。2020年のQ2のスマホ出荷台数のブランド別シェアを見てみますと、こんな感じです。



サムスンがずっとトップだったんですが、中国のXiaomiが首位になっていますね。3位以下のVIVO、REALME、OPPOはみな中国ブランドです。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000071.000033140.html

で、6月29日に59のアプリを禁止します。禁止したアプリの一覧はこちらです。



後日、これらの関連アプリやクローンなど47のアプリを追加します。

そして、9月2日、インド 政府はさらに118のアプリを禁止します。こちらがその一覧です。



すみません。画像の文字が小さすて読めませんね。一つ一つ精査したいという方は、こちらのサイトでご覧ください。
Checkout the full list of 118 Chinese apps banned in India today

中国製のアプリを使っているインド人は3億人もいるということで、TikTokの月間アクティブユーザーは1億2000万人もいます。TikTokにとってはどれっくらいの打撃になるのかわかりませんが、インド 丸ごとが市場として消えると、これは大変な事態です。最近、日本でやたらTikTokのCMを目にしますが、日本市場だけは死守したいということなんでしょうね。広告戦略の悲壮感が伝わってきます。



他のアプリは、グーグル系のものや、Facebook、インスタグラム、YouTube、WhatsAppなど世界的にメジャーなものがいろいろあるので、代替アプリを探すのは比較的容易かもしれません。しかし9月2日に禁止リストに入ったもので、PUBG(インド 人はパブジーと発音しているのが多いです)というゲームはインド人に多くのファンがいるので、これは簡単に代替というのがあるのかどうか…



このところ、アメリカからインド への投資がかなり増えているのですが、このへんも政治的な思惑がいろいろとありそうですね。IT系のサポートは、インドのエンジニア抜きには考えられないので、アメリカにとってインド はとても重要な国なのですが、投資が増えるというのもうなづけます。

TikTok禁止を背景に、インド発のショートムービーアプリや、SNSアプリも急激にユーザーを伸ばしているようです。



トレル、ボロインディヤ、ロポソ、シェアチャットなどですが、インド発のアプリがこの後、どのような発展を遂げるのか、注目していきたいと思います。
これらのアプリに関しての詳細はまた追ってレポートしてみたいと思います。

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