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シンガポールのニューノーマルに向けてのロードマップ

2021-07-10 18:30:48 | シンガポール
2021年7月に入って、シンガポールのニューノーマルに向けての歩みが明確になってきた感じがあります。こちらが、シンガポール政府が発表した新たなビデオ。タイトルは、”Let’s Test, Trace and Vaccinate”。ニューノーマルへの三つの重点事項「検査、追跡、ワクチン接種」をアピールするキャンペーンになっています。



飛行機に乗ると、離陸前に、安全のためのセーフティービデオが流れますが、このビデオはまさにその体裁で、しかもラップミュージック風に作られています。シンガポールチャンギ空港のJEWELを背景に、キャビンアテンダント風の女性が、「ご登場ありがとうございます」と、語りかけます。これからニューノーマルという目的地に向かっての旅が始まるというわけなのですが、その旅立ちにあたって、安全確認をきちっと守ってほしいということなのです。



この女性は、アネット・リー(Annette Lee)というシンガポールのシンガーソングライターですが、ナレーションで”There’s no better place than Our Little Red Dot”というフレーズがあります。”Our Little Red Dot”というのは、シンガポールのニックネーム、「小さな赤い点」ということで、国の小ささをちょっと自虐的に表現した言葉ですが、こんな素敵な場所はないと言っています。



飛行機だと、機長が挨拶したりしますが、バスの運転手が、3つの注意を。英語、中国語、マレー語、タミール語というシンガポールの4つの公用語で「3」という言葉を表しているのもシンガポールらしいですね。



そして車の運転手が窓から叫びます。この人、シンガポール人ならば誰もが知っているお馴染みのコメディー俳優のマーク・リー(Mark Lee)。”Win Liao Lor. Hurry Up. Faster Share”—シングリッシュです。英語と中国語が混ざったような感じですが、「もうわかったから、急いで、早くシェアしよう」というような感じですね。“Win”は英語で、相手が勝ったこと、つまり自分は降参を意味します。”Liao”は中国語(ホッケン語)の“了”ですね。最後の“Lor”はシンガポール人が語尾につける、”Lah” とか”Lo”とかと同じ感じです。この“Win Liao Lor”というのはマーク・リーの定番のセリフです。



調理場の女性が強い火力で炒め物をしていますが、”Firing Up Our Testing”という言葉が入ります。”Fire Up”というのは「燃え立たせる」という意味もありますが、「始動させる」というという意味もあります。検査をどんどん始めようということなのですね。



そして腹筋をしている青年。この人はNg Ming Weiというテコンドーの選手。「検査はどんどんやっているから心配ないよ」と言う言葉に、「いろんな種類の検査が可能になった」という女性の声が被ります。この青年の後ろで、笑っているおじさんは彼の父親。Tik Tokの面白動画で有名になったコンビです。(TikTokのアカウントは@mingweirocks )



医療関係者の女性が登場します。簡易検査で、家でも検査ができるようになったとアピール。この女性、シティ・カリジャー(Siti Khalijah)という女優。



自転車の二人がトークンを常にポケットに入れておこうと言っています。追跡アプリはスマホでできるのですが、スマホのない人もトークンを持っていれば大丈夫ということです。



ラッパーが登場して、常にスマホをオンにして、チェックインの際は追跡アプリを使おうと歌います。この人は、ユン・ラジャ(Yung Raja)というインド系ヒップホップシンガー。シンガポールは実にインターナショナルですね。



そして、もよりのワクチンセンターでワクチン接種をと呼びかけます。



シンガポールのラッフルズホテルの名物インド人ドアマンまで登場します。



そして、リーシェンロン首相の演説。これは5月31日の演説ですが、この中で、検査、追跡、ワクチン接種という方針が明確に登場しています。まるで曲の一部のような感じに聞こえますね。

明るく、ポジティブに、一致団結して、ニューノーマル再開に向けて進んでいこうというメッセージです。

ちなみにこちらが直近の感染者数のグラフ。何度か小クラスターは出ているのですが、感染拡大はコントロールされているという感じです。



そしてこちらは、ワクチン接種の状況。



1日に7万6000人の接種が行われていて、人口の3分の2が少なくとも一回の接種を終えている。7月の26日までには、人口の半数が二回の接種を終える予定とのことです。年齢別のグラフは少なくとも一回接種の人の比率ですが、70以上は逆に比率は低いですね。

ワクチンはデルタ変異株に対して効力が弱いと言われていますが、有効性は69%となっていますね。

日本だと、この数字だけで、ワクチンは効き目が弱いと決めつけていますが、実はシンガポール毎日発表されるこちらの数字。



過去28日間での重症者と死者の数、そして、その内、ワクチンを一回だけ打った人の数と、二回打った人の数、打っていない人の数。重症者のほとんどはワクチンを接種していない人というのがわかります。一回だけだと重症になる可能性もあるということなのですね。数は少ないですが。

統計数字をどのように取り上げるかですが、ワクチンの有効性をネガティブにアピールしたければ、感染者のうち、ワクチン二回接種者の数などをクローズアップするのでしょうが、そういうことはしていません。ワクチン接種は、感染を100%防げるわけではないかもしれないけれど、少なくとも重症化は確実に防いでいる、だからワクチン接種をすることが、医療の状況を助けるし、社会を健全に保つことにつながるというメッセージです。

日本はいたずらに、ワクチン接種に関するネガティブな情報を拡散し、副反応の怖さを強調し、ワクチンは効き目がないばかりか、身体に悪影響を与える、そしてワクチン接種が原因で死に至るケースが続出しているという誤情報の広がりを放置しています。また、ワクチン接種の重要さよりも、ワクチンを打たない選択の自由が強調されていますし、補償がなければ感染を防ぐ責任を放棄してもよいという雰囲気になっています。

つまり、日本は、積極的なコロナ対策を取らず、ワクチン接種が進まず、オリンピックがあろうが、緊急事態宣言が発令されようが、感染者は減らず、未来永劫コロナに怯えながら、経済も国民も疲弊し、世界から取り残されていくつもりなのかなと思えてしまいます。



シンガポールは、7月の12日から、これまで2人までだった会食の人数が5人になります。また結婚式は事前の検査を前提として、250人までが認められます。ジムも2人から5人に、授業も30人から50人までに拡大します。



さらに、7月末までにワクチン2回接種者が50%を超えた後は、会食は8人まで、コンサートや結婚式などは500人まで拡大されることになるようです。そして、ワクチン接種完了が重要な決め手となっていくのです。ニューノーマルに向けて、シンガポールは着実に動き出している感じです。

今後はいろんなところでワクチン接種完了者が優遇されていくことが考えられます。イベントの参加の条件などにもなっていく可能性があります。ハンバーガーショップのShake Shackでは、7月1日から、ワクチン接種者にはポテトが無料になるというキャンペーンを始めています。こういうのはいろんなところで増えていくことでしょう。

日本は、ハイリスク国になっているので、シンガポール入国時には、入国許可を申請する必要があり、さらにホテル隔離が必要になっています。早く感染者数を少なくして、ハイリスク国の指定を外してもらいたいものですね。日本の皆さん、よろしくお願いします。

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