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世界のクリスマスコマーシャル2022(その3)- 英国の大手スーパー、セインズベリーのクリスマス・プディング

2022-12-23 08:55:56 | 広告

イギリスではクリスマスのコマーシャルは各社気合を入れて制作しています。流通小売業は特に、この時期のコマーシャルは毎年相当な制作予算を投じるので、見応えのある作品がいっぱいです。今回は英国スーパーの大手セインズベリーの作品をご紹介しましょう。

まるでシェイクスピアの時代の歴史劇のような設定で、“Once upon a pud”(昔昔、とあるプディングのお話)というタイトルの作品です。宮殿のカウンテス(伯爵夫人なんですが、もはや女帝ですね)がクリスマスのパーティーのための料理のメニューを吟味するところからストーリーが始まります。

このお話の中心になるのは、デザートとしてのクリスマス・プディングなのですが、実は女帝は昔ながらのクリスマス・プディングが大嫌い。若手シェフがデザートを任せられるのですが、ご機嫌を損ねたら、首をはねられてしまいそうです。さてどうなることでしょうか?まずは、こちらのコマーシャルをご覧ください。



https://youtu.be/RsbUYmK-Ohg

それではこの作品を細かく見ていきましょう。



まず、最初のオープニング。昔話の始まりのように、「はるか遠くのとある国で、パーティーが計画されていました」というナレーションが入ります。この声は、英国ではお馴染みの俳優のスティーブン・フライ(Stephen Fry)です。大真面目に物語を語っているところがクスッときます。

このオープニングのお城、よく見るとドラゴンが空を飛んでいますね。



宮廷のシェフたちが、パーティで出す予定の料理を持って登場してきます。



カウンテスが新聞のようなものを見ているのが写りますが、このタイトルが“Once Upon the Times”となっています。御伽噺の出だしは、“Once upon a time”(むかし、むかし)というのが定番なのですが、この“time”を“Times”としているところが笑えます。



シェフたちのプレゼンテーションは、どれもカウンテスからOKが出るのですが、最後のデザートのクリスマス・プディングを持っている若手シェフに対しては、ダメ出しが入ります。



プディングの炎を息で吹き消した後で、「私はクリスマス・プディングは嫌いなのよ。何か違うものを持ってきなさい。さもないと…」生命は無いと言っているような雰囲気です。



若手シェフは、恐怖におののきながらも、日夜新たなメニュー開発を続けます。



そしてパーティー当日。壮大な雰囲気の宴会です。



カウンテスがデザートを持ってくるように指示をすると、それは一瞬、クリスマス・プディングに見え、パーティー会場は凍りつきます。



怒りにみちたカウンテスの顔。

しかし、それを一口食べると、カウンテスの表情が変わります。



それは、従来のクリスマス・プディングではなく、キャラメライズド・ビスケット・プディングだったのです。

カウンテスは、一言“That’s a bit of me”(これは私好みだわ)。“Bit of me”というのは俗語で、「私が求めていたもの」というような意味になります。

パーティー会場は大きな歓喜に包まれて、エンディグ。 “Taste the difference”(違いを味わってください)というスローガンが決まります。



もはや壮大な映画です。すごい数の俳優をキャスティングし、ストーリーも編集も秀逸です。

この作品でカウンテスの役を演じているのは、アリソン・ハモンドというイギリスでは超人気の女優です。テレビの有名番組のキャスターもしているようなので、誰もが知るタレントです。

この作品を監督しているのがTim Godsallというディレクターで、カンヌとか世界的な広告賞をいくつも受賞しているすごい人です。

このコマーシャルを制作している広告代理店はワイデン+ケネディ(Wieden+Kennedy)のロンドン。制作プロダクションはアノニマス・コンテント(Anonymous Content)という会社です。

あと、忘れてならないのが音楽です。中世の英国の音楽のような雰囲気ですが、実は2000年にリリースされたアメリカのロックバンド、Wheatusの“Teenage Dirtbag”という曲のエリザベス朝アレンジというのが洒落ています。この曲は、One Directionもカバーしていましたね。そういう細かなところもすごい作品です。



https://youtu.be/FC3y9llDXuM

背景を知ると何と奥が深いんでしょう。クリスマスにはとても印象的なコマーシャルです。

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