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インド と中国はこんなにも仲が悪い

2020-09-05 17:10:56 | インド

以前、インドの3Dアニメ政治マンガ (Politoon)が面白い!という記事で、インドのPolitoonをご紹介したのですが、India Today Group (英語チャンネルのIndia Today とヒンディー語チャンネルのAaj Tak)で2013年から始まった"So Sorry!"というのと、2017年からIndia TVが始めた"OMG!"という二つのシリーズがあります。政治ネタを面白おかしく紹介するというのが趣旨なのですが、インド の中国に対する敵対意識もたびたび描かれています。今回はそのテーマに絞って、ご紹介してみたいと思います。

まずは今年の6月27日の動画です。

So Sorry | Chhattees Ka Aankda (根深い憎悪)
2020/06/27


この動画は、『少林寺三十六房』という1978年の香港映画をベースにしています。中国の習近平らしき男が、少林寺に入門し、特訓を受けています。第一房、第二房、第三房と修行は進んでいきますが、失敗ばかりです。すべての技を習得できたのかどうかはわかりませんが、最後の第36房で待ち受けているのは、インド のモディ首相。カンフーマスターの貫禄たっぷりです。モディ首相の背面に"Aatma Nirbhar"という文字が見えます。

じつはこれは、モディ首相が今年の5月に発表したスローガンで、"Self-Reliant"つまり「自立する(インド )」を目指そうというような意味になります。

習近平は、鎖のついた斧でモディ首相を攻撃してきます。それを両手で挟み、斧を蹴り返すモディ首相。怒った習近平は、空を飛び、鎖斧を放ちます。空高く舞い上がり、空中で、印を結ぶようなポーズを決めたモディ首相の手からは、かめはめ波のような電磁波が!吹き飛ばされる習近平。万里の長城らしき場所まで飛ばされてしまうんですね。すると空に三つの雲が。モディ首相と、プーチン大統領、トランプ大統領、そして安倍首相が、習近平を見下ろしての嘲り笑い。焦る中国というストーリーです。安倍首相はまもなく首相ではなくなるので、早めにこの動画を紹介しておかなければと思った次第です。



安倍首相は、長期政権のおかげで、こういう所にまで登場できるまでになりました。笑い方がぎこちないですが、お疲れ様でした。

ところで、この動画のタイトルの"Chhattees"というのは、ヒンディー語で数字の36を意味しています。なぜこれが『根深い憎悪」という意味になるかと言いますと、36をインド のアルファベットのディーバナーガリで表記すると、次のような感じになります。



左が3で、右が6なのですが、ほとんど左右対称です。お互いに背中を背け合っている感じですね。これから、36は敵対心や憎しみあっていることの象徴のようになったわけです。『少林寺三十六房』の36をもってきたのもよく考えられていますね。中国が大嫌いというのも、こういうディテールにも表現されています。

So Sorry | ドラゴン対エレファント
2020/06/06


龍にのった習近平と、象に乗ったモディ首相の対決です。両者ともに武装しています。習近平は、スマホブランドのシャオミやOPPO、TikTokやアリババなどの中国ブランドのロゴで攻撃し、象の動きを封じます。モディ首相は、ハイテク武装させたライオンを呼び寄せ、それに乗り移ります。龍の炎の攻撃には、象の水攻撃で対抗します。両者とも、龍もライオンもバージョンアップした形で、空中で睨み合うというところで動画は終わります。

これは今年の6月6日あたりに作られたのですが、5月末頃から、インド のラダック地区と中国側のアクサイチンの間にあるガルワン渓谷で、インド と中国が対峙し、緊張感が高まっておりました。6月15日には、インド 側で20人の死者が出るという軍事衝突がありました。(中国側の死者は未発表)そんな緊張状態を背景にして作られたのがこの動画です。相互の取り決めで、武器は使用しないということになっているとかで、戦闘は、取っ組み合いの喧嘩状態(石などは使用され、中国側は鉄の棒を使用したとの情報も)だったそうです。国境紛争で死者が出たのは45年ぶりのことだそうです。

中国とインド は、ジャンムカシミール、ヒマチャルプラデシュ、ウッタラカンド、シッキム、アルナーチャルプラデシュの5つの州で中国と国境を接しており、ネパールやブータンや、ヒマラヤ山脈が両国の間にあるのですが、虎視眈々と領土を広げたい中国は、東シナ海や南シナ海、香港だけでなく、中印国境でも軍事力を増強しています。こちらの地図で、中印国境問題が生じているところをマークしてみました。



左からラダック地区(左のポイントがガルワン渓谷、右下がパンゴン湖です)、ネパールとブータンの間にあるシッキムとブータンのドクラム高地、そして一番右がアルナーチャルプラデシュ州です。

ラダック地区の睨み合いはいまだ継続していて、8月29日から31日にかけてもパンゴン湖の近くで緊張状態があったようです。

パンゴン湖といえば、インド 映画の名作『きっとうまくいく』のラストシーンで、主人公たちが再開する美しき青い湖です。







4300メートルくらいの高地にある、天空の湖なのですが、こんな場所で戦闘が行われているなんて、なんか悲しくなりますね。

さて、こちらは、OMG!の動画。ラダックでの軍事的睨み合いの対抗措置として、インド が6月末にTikTokなどの中国アプリを禁止するのですが、そのあたりのことを表現しています。

OMG: This is how we can defeat China
2020/06/13



次の動画も6月末に中国製のスマホアプリを禁止することで中国に対抗しようとするインド の姿勢を表現しています。

OMG: PM Modi's digital strike rattles China
2020/07/11



次の動画は、国境付近の強化を行う姿勢が示されています。

OMG: India prepares to corner China
2020/06/26



こちらの動画は、モディ首相が、製造業、日本の技術、労働者の質、きちんとした広報などを使って、強力な磁石を作り上げ、中国から投資をインド に引き付けていることをアピールしています。

So Sorry | Dragon's Fear | India China
2020/08/02



つい最近の動画だけ集めてみましたが、インド の中国に対する敵対心は以前から続いています。今後もまた似たような動画はアップされていくものと思いますので、面白いのが出てきたらまたご紹介させていただきます。しかしながら、中国もインド もお互いに軍事大国なので、軍事衝突は避けていただきたいものです。

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