思惟石

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【読書メモ】2013年3月③『箪笥のなか』

2020-06-03 09:57:11 | 【読書メモ】2013年
<読書メモ 2013年3月③>
カッコ内は、2020年現在の補足コメントです。


『箪笥のなか』長野まゆみ
珍しく女性が主人公。
川上弘美っぽい。
ラーメンを食べながら、底に龍が出るか喜ふたつの漢字が出るか、
という姉弟の会話がとてもよかった。

(親戚から譲り受けた古い箪笥を中心に、
 なんだか不思議なことが起こるのですが
 まあ、生きてりゃ不思議なこともあろうよ、って感じで
 受け入れちゃう「わたし」と弟のお話しです。

 とにかく雰囲気がいいのです!
 『メルカトル』『カルトローレ』のようなファンタジーではなく、
 文章も以前ほどレトロな表記ではないのですが、
 カギカッコを使わない会話の表現とか、相変わらずの長野まゆみ節。
 ふんわり読みやすくてちょっと不思議でいい感じ。
 現実と非現実の境目も、素敵な感じに曖昧です。

 姉弟の会話もちょっととぼけていて良い。
 不思議な存在に近しい能力を持っているのは「わたし」ではなく
 弟なのですが、
 姉の肝の座り方というか、受け入れ方もすごい。
 箪笥にお酒を飲ませるとか、淡々とやっちゃう感じも良い。
 なぜ飲ませようと思ったんだ笑

 連作短編というか、不思議の断片集というか。
 手元に大事に置いて、ちょこちょこ読むのに良いですね。
 川上弘美が好きな人は好きだと思うし、
 梨木香歩『家守綺譚』好きにも通じる雰囲気です。

 好きだな。星みっつ!)
コメント
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