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『英仏百年戦争』 100年かけて国家をつくろう!

2024-12-12 16:59:16 | 日記
『英仏百年戦争』佐藤賢一

昔々、英仏のあたりはヴァイキングに年がら年中
襲撃されておったそうな。
10世紀、フランスはノルマンディをヴァイキングに差し出して
陸に上がってもらいました(ノルマン人)。
11世紀、イングランドはノルマン系デーン人のヴァイキングに
ぼこぼこにされた挙句、デンマーク王がイングランド王を
兼ねる時代もありました。
うーん、ノルマン人強いわ…。

という話しではない。
英仏百年戦争です。

始まりはフランスのいち豪族である
ノルマンディ公ギヨームが、
ヘイスティングスの戦い(1066年)において
イングランドを征服してしまったことである。
やっぱりノルマン人強いな…。

(同時期に南イタリアに行く勢もいて、そっちでも
ぶいぶい言わせる。ノルマン人大移動!)

当時のイングランドは王国とはいえ田舎。
ノルマンディ公領の一部が「王国」みたいな状態で、
イングランド王なのにフランスに住んでフランス語を話しています。
そんなプランタジネット朝の有名人といえば
リチャード獅子心王(フランス名リシャール)。
ですが、英仏百年戦争で重要なのは弟のジョン失地王。
フランス領土を失地しまくった結果、
イングランドを本拠地にせざるを得なくなるという。
都落ちじゃあ…。

そんなジョン王から4代下って、エドワード3世。
フランスではカペー朝からヴァロワ朝へ代替わり。
エドワード3世のフランスでの立場はアキテーヌ公。
地元じゃ王様なのに。
母ちゃんフランス王の娘なのに(つまり俺はフランス王の孫)。
もうフランス王になってもよくない?

というわけで王位継承権を主張して百年戦争スタート。

歴史って突然始まるわけではなく、
それなりの積み重ねがあって始まるんだなあ、と。
コテンラジオで学びましたが、本題に入るまでがそこそこ長いね笑

あとはイギリスで人気の黒太子(ブラックプリンス)が活躍したり、
フランス王ジャン2世が優雅な捕虜生活送って
息子のシャルル5世が苦労したり。

後半に登場するヘンリー5世は、
もはやフランス語を解さない英語オンリーの
イングランド王。
狂王シャルル6世の娘と結婚したことで
フランス王の王位継承者となり、
百年戦争もここに終結となったそうです。
そうなの?!

シェイクスピア『ヘンリー5世』の影響だそうで、
作者はこれを「シェイクスピア症候群」と呼んでいます。
司馬史観みたいなものかな。

歴史を見れば英仏二重王国にはなっておらず、
もちろんヘンリー5世はフランス王ではない。
シャルル6世より先にヘンリー5世が亡くなっちゃったので
条約が反故になったんだな。
歴史の不思議よ。

で、ジャンヌ・ダルクが登場して退場して、
シャルル7世がノルマンディ、アキテーヌ占領。
百年戦争も終了!
うーん、長い戦い…。

当初はイングランドもフランスも「国家」という意識はなく、
軍資金の調達もできない有様。
イングランドはヘンリー5世がフランス王になりそびれた辺りで
アンチ・フランス、イングランド万歳的な流れで
ナショナリズムが誕生したそうです。
(この時期に、チョーサーが英語で『カンタベリー物語』を執筆。
ラテン語からも卒業し、英語が母語である意識も高まる)

フランスはもうちょい遅く、
ジャンヌ・ダルクが「フランスを救え!」と叫ぶ辺りで
ナショナリズムが芽生え始めたのではないか、と。

結論として、英仏百年戦争を通じて
イングランドとフランスは国家になったのだという話しでした。
納得感がすごい。

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