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旅行記、世相独言

ディベート合戦、煙草は場外で -ワシントン-(異文化体験15 日米舌戦の旅2)

2011年08月21日 13時08分52秒 | 異文化体験_北米
(写真はクリックで拡大します)

ディベート合戦、煙草は場外で -ワシントン-  1993.8.27

 ディベート合戦の場 ワシントンDC

 ラガーデイア空港を午前8時半に飛び立ったデルタ航空のシャトル便は、1時間後にワシントン・ナショナル空港に着陸。アメリカ・ガス協会(AGA)の理事長は、ロビー活動も含めなかなかにやり手と聞いている。副理事長は私の交渉の相手で、気の良いおじさんである。AGAから今夕の食事の誘いも無かったし、こちらも気の進まない出張だけに夕刻には早々とワシントンからニューヨークに戻るつもりである。

     
(左)ワシントン・ユニオン駅(AGAの建物はこの近く)   (右)AGAのロゴマーク

 10時にAGAとのミーティングがスタート。デリケートな問題だけに通訳を用意して貰った。そもそも何故日本で縦断パイプライン(PL)の入札が始まろうとしているという情報がAGAにもたらされたのかが、はっきりしない。会員の一部からそのような情報が寄せられ、実態調査もせずに日本に圧力を加えようとするあたりが米国らしい行動である。

 そんな事実はないと説明すれども、相手はなかなは信用する気配も無く、日本の天然ガスパイプライン網の実態説明から始めることにした。今回は少しお硬い話で恐縮です。

 1)東京、大阪、名古屋周辺を中心に、ローカルなパイプライン網しか存在しておらず、縦断パイプライン網を整備するためには、経済性を確保するためにエネルギー業界が賛同し、共同PJとして整備、運用する必要性があり、必ずしも足並みが揃っていないこと。

 日本の国内パイプライン網(網には程遠い)

 2)米国のPLと違って日本のPL整備は、太平洋ベルト地帯の都市部を繋ぐだけに、保安コスト等も乗っかり工事費が少なくとも米国の数十倍以上はかかること、

 
         原野を伸びるロシアの天然ガスパイプライン敷設工事風景

 3)また過密地帯を通るだけに一日あたりの工事進捗がパイプを転がすだけの米国と違って数十分の一以下であること。

     
(左)ロシア~ヨーロッパへの天然ガスパイプライン網 (右)カナダ国内の天然ガスパイプライン網

 4)更にライト・オブ・ウエイ(敷設ラインに対し公益を優先させる権利)を有する米国に対し、日本には似たような概念として土地収用法があるが、発動された例が極めて少ないこと、等々時間を忘れての議論となる。

 日本より遥かに遅れて天然ガスを導入した韓国のパイプライン網

 JGAの専務理事は大学で弁論部出身とあって、日本語同士のディベートであればそれなりの迫力はあるが、何せここはワシントン。通訳を介してのディベートでは効果はいまいちか?

 昼食をはさんで、延々6時間半に及ぶ議論に、最初に降参!まいった!と言ったのは通訳!、朝から夕刻まで休むことなく続く議論に音をあげた。
 次にまいった!のは喫煙家の小生、全館禁煙とあって1時間ごとに小休止を提案すれども、あまりの議論の堂々巡りに一人席を抜けて建物の外で、その都度2服。

 16時半になって、相手方理事長も「分かった!動きが出れば米国も参画出来るよう配慮して欲しい」でやっとけり。


 シャトル便の元祖 シャトル・イースタンの初期広告

 17時半のシャトル便で、ワシントンからニューヨークにとんぼ返り。46番街の「AWOKI(青樹)」という日本レストランで「ああ、しんど!」と一応の所期の目的を達成した慰労会を催す。

 それにしても、米国人とは何といい加減な人種なのだろう。AGAだけがそうなのかなあ?



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