世間一般ではおそらく松田聖子の最大の名曲と評される「赤いスイートピー」が発売されたのは82年の初めです。いや、私も好きですが。
この頃になると、聖子さんは、自分のかつての声に挑んで「もがく」ということをしなくなったような印象があります。
「白いパラソル」「風立ちぬ」までは、今までの歌と同じく、「歌い上げ」に近いようなところを聴きどころとしていました。だから、ハイトーンのところでは、「出ていた」頃の聖子さんと比べてしまって、どうしても不満が残ってしまいました。しかし、「赤いスイートピー」は、それほど歌い上げないのです。
ひっそりと聴かせるところを大切にして、リスナーの近くに歩み寄り、語りかけるような歌です。でも、もともとの声のよい人でしたので、聴き心地がよい。もちろんユーミンの曲ですから、クオリティは高い!
ああ、聴いていて苦しくなくなってきたなあ、と感じていたところで発売されたのが、「渚のバルコニー」でした。
これもよい曲でしたが、私はこの曲が流行っていた時に、感動のあまり涙を流しそうになったことがあります。
シングルで録音されている「渚のバルコニー」はGメジャー、いわゆるト長調です。しばらく聖子さんはテレビで、その調のまま歌っていたのですが、あるとき、聖子さんは、これを半音高い調にして、きれいに歌ったのです。
歌い終わったあとの、聖子さんのさわやかな笑顔が今も忘れられません。この笑顔の意味がわかったファンは、きっと私一人ではなかったはずです。
聖子さんが、吹っ切れた瞬間だったのです。私には、「皆さんお待たせしました。声が、出るようになりました!」と報告してくれているように聴こえました。1年以上苦しめられてきた、声との格闘を克服した喜び。
…これが錯覚でなかったことは、この直後に発売されたアルバム「パイナップル」が証明してくれました。数多い聖子さんのアルバムの中でも、私はこれが最も優れたアルバムだと思っております。
このアルバムを聴いた従兄妹が、こんな感想を言いました。
「長時間聴いていても、耳が疲れない。聴き心地がいい。」
「声が涼しい。さわやか。」「声がかわいい。」
それは、私も同じ感想でした。アナログからデジタルに、音楽が変わる時代でもありました。「スコール」「ノースウィンド」はアナログの名作。1作1作は良品なのですが、情熱ゆえか、1枚聴き終わると、多少、疲れが残るのです。
「パイナップル」は、これから日本が向かうべき音楽の方向性を示した意味でも記念碑的なアルバムですが、何よりも、聖子さんの声が軽やかで、鈴を転がすような音色。なによりかわいらしいのです。
デビュー当時の声は、もう戻ることはありませんでした。しかしこの時聖子さんは、全く新しい発声法を自力で開発したのです。現在の聖子さんの声の基盤です。
後にこの声は、誰からともなく「キャンディボイス」と呼ばれるようになりました。直後に発売された「小麦色のマーメイド」を頂点として、聖子さんは第2の黄金期を迎えることとなります。
この頃になると、聖子さんは、自分のかつての声に挑んで「もがく」ということをしなくなったような印象があります。
「白いパラソル」「風立ちぬ」までは、今までの歌と同じく、「歌い上げ」に近いようなところを聴きどころとしていました。だから、ハイトーンのところでは、「出ていた」頃の聖子さんと比べてしまって、どうしても不満が残ってしまいました。しかし、「赤いスイートピー」は、それほど歌い上げないのです。
ひっそりと聴かせるところを大切にして、リスナーの近くに歩み寄り、語りかけるような歌です。でも、もともとの声のよい人でしたので、聴き心地がよい。もちろんユーミンの曲ですから、クオリティは高い!
ああ、聴いていて苦しくなくなってきたなあ、と感じていたところで発売されたのが、「渚のバルコニー」でした。
これもよい曲でしたが、私はこの曲が流行っていた時に、感動のあまり涙を流しそうになったことがあります。
シングルで録音されている「渚のバルコニー」はGメジャー、いわゆるト長調です。しばらく聖子さんはテレビで、その調のまま歌っていたのですが、あるとき、聖子さんは、これを半音高い調にして、きれいに歌ったのです。
歌い終わったあとの、聖子さんのさわやかな笑顔が今も忘れられません。この笑顔の意味がわかったファンは、きっと私一人ではなかったはずです。
聖子さんが、吹っ切れた瞬間だったのです。私には、「皆さんお待たせしました。声が、出るようになりました!」と報告してくれているように聴こえました。1年以上苦しめられてきた、声との格闘を克服した喜び。
…これが錯覚でなかったことは、この直後に発売されたアルバム「パイナップル」が証明してくれました。数多い聖子さんのアルバムの中でも、私はこれが最も優れたアルバムだと思っております。
このアルバムを聴いた従兄妹が、こんな感想を言いました。
「長時間聴いていても、耳が疲れない。聴き心地がいい。」
「声が涼しい。さわやか。」「声がかわいい。」
それは、私も同じ感想でした。アナログからデジタルに、音楽が変わる時代でもありました。「スコール」「ノースウィンド」はアナログの名作。1作1作は良品なのですが、情熱ゆえか、1枚聴き終わると、多少、疲れが残るのです。
「パイナップル」は、これから日本が向かうべき音楽の方向性を示した意味でも記念碑的なアルバムですが、何よりも、聖子さんの声が軽やかで、鈴を転がすような音色。なによりかわいらしいのです。
デビュー当時の声は、もう戻ることはありませんでした。しかしこの時聖子さんは、全く新しい発声法を自力で開発したのです。現在の聖子さんの声の基盤です。
後にこの声は、誰からともなく「キャンディボイス」と呼ばれるようになりました。直後に発売された「小麦色のマーメイド」を頂点として、聖子さんは第2の黄金期を迎えることとなります。
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