いろはに踊る

 シルバー社交ダンス風景・娘のエッセイ・心に留めた言葉を中心にキーボード上で気の向くままに踊ってみたい。

妖怪 66編

2005年09月05日 07時57分28秒 | 娘のエッセイ
 今、私と彼が夢中になっているもの、それは、巷でも大人気のUFOキャッチ
ャーなるゲームである。ルールは簡単、ただボタンを押してシャベルを動かし、
ぬいぐるみを取るだけだ。

いろいろな種類のぬいぐるみがあるが、中でも私達のお気に入りなのは、ウルト
ラマンシリーズとゲゲゲの鬼太郎シリーズ。数ある戦利品のうちで、かわいいくっ
て仕方がないのは、苦労して取ったウルトラマンと一反もめんちゃん。

特に一反もめは、難易度五の強者である。ゲゲゲの鬼太郎シリーズには、他に
も目玉おやじや砂かけばばあ、子泣きじじいなど多々あるが、どれもその名に

似合わぬオチャメな顔をしている。ああ、怖いはずの妖怪も、ぬいぐるみになる
とこんなにかわいらしくなってしまうのね。悲劇……

 最近、やたらとオカルト番組が多い。夏でなくとも多い。それらの番組を見て
いる時、私にはいつもある記憶が蘇ってくる。

人は誰でも感受性の最も強い思春期には、霊感が強くなるそうである。そんな
思春期のまっただなか、中学二年生の時に体験した出来事だった。

 その頃、私は桃子というクラスメイトと親しくなった。彼女は元々霊感が強い子
で、様々な体験をしているらしかったが、私と一緒にいるようになってからは、
それが増えたそうだ。

私にも同じことが言えた。彼女といると、何故か不思議な事ばかりが身近に起こ
った。ある日、桃子は放課後の教室の窓際の一番後ろの席で、だらんと腕を垂
らしていた。

「何にをしているの?」と聞くと、「座敷わらしが私の手で遊ぶの」と言う。
私も同じ事をすると、自然と手が動いた。
「座敷わらしだ!」ふたりでそうしてしばらくの間、座敷わらし?と遊んだのだっ
た。

 あれから十年以上経つ。今の私には、まったく不思議なことは起こらない。
純粋な心の持ち主にしか見えないという『座敷わらし』は、もう私の手と遊んで
はくれない。
コメント (1)
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