イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

「パイ」の名がつくつぶしたジャガイモをかぶった素朴な家庭料理2種、英国料理の知名度考察とビッグ・ベン

2022年02月02日 08時00分00秒 | 英国の食べ物、飲み物
英国らしい料理の代表格、フィッシュ・パイ fish pie です。


マンネリ気味のストックポート日報で以前にもご紹介したことがあるのですが、忘れた頃にもう一度。

日本ではなぜかあまり知られていないように思います。
英国の料理といえば、フィッシュ&チップス、あるいはロースト・ビーフがずば抜けて知られているのはなぜなのか...私なりに考えてみました。

フィッシュ&チップスはたしかにどこの町でも売られていて手軽に食べられます。
とりわけ観光地ではフィッシュ&チップス・レストラン(チッピー)をよく見かけます。
ロースト・ビーフがそれほど手軽に気軽に食べられるとは思えないのですが、「英国に行ったらやっぱりパブに行かなきゃ」と思っている日本人観光客、多いですよね。
ロースト・ビーフはパブの定番料理なのでした。

観光客へのアクセスが容易なこの2つの料理は先に英国旅行に行ってきた経験者から「本場の、おいしかったよ」と情報の引継ぎがあって知名度が上がったのではないかと私は考えています。
日本人はサカナもビーフもだいすきですしね。



英国人自身が、英国料理の代表格のうちの二つととらえているこのフィッシュ・パイと下のコテージ・パイ(シェパード・パイ)は純然たる家庭料理なため、観光客が試すチャンスはあまりなさそうです。


どちらも、ゆでてつぶしたポテトをかぶせて20分ほど焼いたオーブン・ロースト料理です。

パイ皮が使われていないのに「パイ」。

ゆでてつぶしたポテトをかぶったもうひとつのパイ、コテージ・パイ cotage pie(あるいはシェパード・パイ shepard pie といってもよい?) です。


夫がベジタリアンなので、肉のミンチに食感を似せてあるマイクロ・プロテインというキノコ類を使った人口のニセ肉を使って作りました。

コテージ・パイ(田舎家のパイ)は牛肉を使い、シェパード・パイ(羊飼いのパイ)はラム(コヒツジ)肉を使います。
レシピは同じです。



作り方はどちらも簡単。
コテージ・パイ / シェパード・パイ
タマネギのみじん切り、牛肉かラム肉のひき肉をよく炒め、ニンジンとグリーンピースをくわえます。
缶詰のトマトを加えて煮つぶし、インスタントの「ビーフ・ストック」か「ラム・ストック」を味付けに加えます。日本では「万能西洋料理の味付け=コンソメスープの素」を使えばいいと思います。

フィッシュ・パイ
小麦粉を同量のバターで炒めて牛乳でのばした白いトロ~ンとしたソースにタラ、サケ、ニシン、エビなどの魚介類とニンジン、グリーンピースなど好みの野菜を入れて一煮立ち。
ソースの味付けはインスタントの「フィッシュ・ストック」を使いますが、やはり「コンソメスープの素」が便利でしょう。

耐熱皿に上記の煮込んだ材料を入れ、ゆでてつぶしたポテトを厚くのせ、200℃のオーブンで20分ぐらい焼きます。
ポテトの層がこんがり色づいたら出来上がり。

日本の洋食屋やファミリーレストランなどではクリームでのばしたトロリとなめらかな「マッシュ(ポテト)」が出てきますが、英国の家庭で作るものはなぜかたいていバサバサ、ホロホロしています(家庭によるかもしれません)。

分量?家庭料理ですから味見をしながら適当でいいのですが...
調べてみたら、ポテト1㎏、トマト缶400g、牛乳は400ml で4人前できるようです。
私もいつもそのぐらいの目安で作っています。

いずれも夫婦2人では食べきれない量ですので、残りはシリアル用のボールに1人分ずつ移して、小皿をのせて冷蔵し、電子レンジであたためて翌日のおひるに食べることにしています。
オーブンで焼くだけ、の状態で大量に作って冷凍する家庭がとても多いそうです。

味はじゅうぶんついているのに、夫が子供っぽく「HPソース」をかけたがります。


英国家庭料理に欠かせない、夫が子供の頃からのおなじみのテーブル・ソースのHPソース HP sauce
日本の「ブルドッソース」よりかすかに酸っぱみがあります。

昔ながらのガラスびん入りHPソースのラベルのイラストは、改修工事の足場がついたままのビッグベン Big Ben(ロンドン、ウェストミンスターの国会議事堂に属する時計塔、エリザベス・タワーElizabeth Tower の愛称)です。

2019年に書いたHPソースについての記事を読んでください!!☟

おなじみのテーブルソースのラベルのデザイン...国政の中心、ロンドンの観光名所の現在の状態を見事に反映!!


今は亡き老ネコ、ホレイシオと未完の状態の衛兵のエッグ・コージー(ゆで卵の保温キャップ、時々記事に登場します)が写真に写っています

2017年にはじまったビッグ・ベンの世紀の大改修工事は今でも継続しています。

時計盤表面と機械部分の修復は去年の夏ごろに完成したと聞いていましたが、現地に行く機会のない多くの人に公式にご披露したのは花火の打ち上げをバックに年明けの映像で、ではなかったでしょうか。

建設当初のオリジナルデザインを考慮してピッカピカの白と驚きのロイヤルブルー!


(新聞記事から勝手に写真を借りました)

ちなみに、HPソースのプラスチック容器入りのラベルは改修工事の開始後も通常の足場と囲いなしの通常のビッグベンのイラストを使い続けています。

わが家ではプラスチックごみ問題を考慮して、できるだけプラスチック容器入りの調味料やテーブルソースを買わないようにしています。
いわゆる庶民派スーパーマーケット(おなじみ、アスダのような値段が安い店)ではガラス瓶入りを販売していません。




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消費落ち込みのクリスマスあとの2月、関連性は全くないスーパーマーケット希望の3行事、消費者の財布のひもはゆるむのか

2022年02月01日 07時13分51秒 | 英国の、生活のひとコマ
明けましておめでとうございます。


今日は、旧暦のお正月だったのでした。
昨日買い物に行ったスーパーマーケット、セインズベリーの中国、日本料理の材料売り場のインスタントの中華ソースのプロモーション用ディスプレイです。
もちろん、旧暦のお正月便乗プロモーションです。

今年はトラ年だったって、知りませんでした。
春巻きやチャーシューなどパーティに便利な出来合いの中華が買える冷凍食品売り場には、金字で漢字が書かれた赤い短冊やら赤いランタン(の切り抜き写真)などもっと華やかなディスプレイがあったかもしれません。

チャイニーズ・ニューイヤー Chinese New Year として知られる旧正月は一部の英国人には格好のパーティの口実になっているようです。

それより...


入ってすぐにドドンと目に入ってくるのが、バレンタインデー Valentine's Day のキャンペーン。



昨日で1月も終わり、今日から2月なのでした。

ああ、はいはい。マンネリストックポート日報ではほぼ毎年バレンタインデー Valentine's Day について記事にしていますね。

ヴァレンタインデーはクリスマスが終わって消費者の懐が寂しく(買い控え、不景気)寒くて暗い2月に各種産業にとっては一点の灯りをともすビジネスチャンスのようなのでした。

恋人同士や夫婦がロマンチックなプレゼントとカードを贈り合う日です。
スーパーマーケットなどのプロモーション売り場では男性が女性に贈るロマンチックなプレゼントのほうが、女性が男性に贈る親密なプレゼント(靴下やシェービングクリームなど)よりずうっと種類が多く見た目も華やかで充実しています。

女性が男性にチョコレートを贈る、あるいは愛の告白をすることになっている日本とは全く違う習慣です。

2月14日当日は赤いバラや香りの高いフリージアなどの花束で、入り口付近の売り場は埋め尽くされます。

買い物はセインズベリーですませましたが、歩いて数分の場所にあるおなじみの庶民派スーパーマーケット、アスダにもよりました。


店舗内に郵便局の出張所があるためです。

アスダにもヴァレンタインのプロモーション売り場が設けられていました。
規模はグッと小さいし...

女性用のプレゼントの例として♡のプリント(ともしかしてトラ柄?!)のパジャマに♡の棒付きチョコレートに、あまり上品とは言えないセクシーな(これもトラ柄?!)アニマルプリントの下着...


男性用のプレゼント例として、ゲームやスパイダーマンなどのマーベル・ヒーロー・コミックがモチーフになったパジャマにビール...


「庶民派」スーパーの名に恥じない庶民派セレクションのバレンタインデー・プレゼントの数々。

話が少し跳びますが、どうやらイングランドではコロナウィルスのパンデミックは終焉を迎えたらしいのです。
専門家や、政治家の意見は割れるようですし、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの3国は今でも感染拡大防止のための行動規制を多少残しているのですが、ここイングランドでは完全撤廃です。

マスクの着用も任意になりました。
奨励されているものの、法的強制力はありません。

比較的お値段が高めのスーパーマーケット、セインズベリーの平日の午後のマスク着用率は60%といったところでしょうか。
思ったよりマスク着用率は高かったのです。
私のようにお買い得品漁りが好きな客もいっぱいいますし、「どちらかというと収入が高めの人が好んで行くイメージ」の店だから人々の公共意識も高いのかもしれない...と言う偏見に満ちた分析はあたっていないかもしれません。

庶民派のアスダのマスク着用率は、半分ちょっとぐらいだったでしょうか。
セインズベリーと違って買い物をするために長くいたわけではないのでかなり不確かな分析ですが。

アスダのバレンタインデー・プロモーション売り場のとなりに...


パンケーキ・チューズデイ pancake Tuesday のプロモーション売り場がありました!

インスタント「パンケーキ(ベーキングパウダーを使わない薄いホットケーキ)の素」やレモン汁やチョコレートスプレッドや専用のフライパンなどがいっしょにディスプレイされていました。

今年のパンケーキ・チューズデイはまだ先!3月1日だそうです。

イースターまでの40日間の節制期間(Lent)の前日に、卵と脂を食べきってしまうために大量のパンケーキを食べまくる(おいしいものの食べおさめ)という英国の奇習のひとつが面綿と受け継がれてきたキリスト教由来の行事というか慣習の日です。

一年で最も消費者の財布のひもがゆるい季節(日本的表現)、クリスマスが終わった後の英国の小売り店業界は本当に「時化」なのです。
クリスマスに使った前借(Chrismas debt)の支払いが始まる人もいるようですし。

暴食需要が期待できる4月のイースターまでひとがんばり、スーパーマーケット業界は必死です。
パンケーキ・チューズデイのためだけに専用のフライパンを毎年買う人なんてほとんどいないでしょうにね。

そのあとは、初夏から夏の終わりまでの長期にわたる南国へのホリデー(バカンス旅行)、盛夏のガーデン・パーティ需要などで次のクリスマスまで食いつなぎ、でしょう。

いつも使っているファブリック・コンディショナー(繊維の柔軟剤)の、ただ一つ、売れ残っていたクリスマス限定版を買いました。


ふだんは値下げになった時をねらって買うことが多いのですが、正価が4ポンドぐらいします。
1月の最後の日まで売れ残っていたクリスマス限定版は何と驚きの1ポンド!で買えました。
夫はイヤな顔をしましたが、オレンジ、クローブ、シナモンの人工的ないい~香り!使うのが楽しみです。

イースターまでもつんじゃないかな。





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