イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

興味深い命名のレリッシュを値引き棚で発見、かわいいラベルと、味はまさかの...

2022年07月06日 06時52分52秒 | 英国の食べ物、飲み物

スーパーマーケット、セインズベリーの値引き棚に雑然と置いてあったラベルのかわいらしい瓶詰めを手に取って、びっくり。思わず買ってしまいました。

英国に住んでいる日本人の友人に「おいしいから食べてみて」と言われて、興味を無限にかきたてるその名前をしっかりと頭に刻み込み「いつか探して食べてみよう」と思っていた幻の珍味、ベーコン・ジャム bacon jam です。

どこにでも売られているわけではないものの、インターネットで探せば簡単に見つかったはずでしたが実は...そこまで熱心に探したわけではありません。名前を聞いたのはもう何年も前です。忘れていました。

さっき見てみたセインズベリーのオンラインショップでも3ポンド(454円)で売られていましたが☆の数の評価(5☆が満点)のレビューに、まだだーれも投票していません。知名度は今ひとつということではないでしょうか。

よく行くセインズベリーのデリカテッセンの棚で売られていたのを見たおぼえがありません。売ってみたけど不況で売れない(105gで3ポンドは、珍しいものを試してみるにはちょっと高いです)という事情で値引き棚落ち...したとか?

1ポンド99ペンスの値引き価格で買いました。ラッキーです!

eat 17 というこの会社のオリジナルではなく、検索すればレシピもたくさん出ています。

ジャムというだけあって、砂糖がたっぷり使われています。

果実の代りにスロークックしたベーコンが使われている...要するに「レリッシュ relish」ですね。ピンクのラベルにもそう書かれています。

レリッシュは肉やチーズの付け合わせに使う、細かく刻んだ野菜や果実をお酢に漬け込んで砂糖で煮詰めた甘酸っぱいソースのことです。アメリカ合衆国や英国では数限りなく種類があります。

ベーコン・ジャムはオーストリア発祥で、アメリカではおなじみのレリッシュとして親しまれているようです。

ジャムというぐらいですから、まずクランペット crumpet という朝食用のパンに塗って食べてみました(ワクワク)

...これは、まさかの懐かしい味!!

もう何十年も口にしていない、日本の「肉まんのなかみ」と全く変わらない味でした!

肉まんのなかみには豚肉と刻んだナッパが入っていたように思いますが、ベーコン・ジャムには、タマネギが入っています。黒砂糖で甘く煮詰めたタマネギとベーコンがネットネトに攪拌されているようです。

夕食後のおやつにチーズ(英国産、チェダー Chedder )にたっぷり塗ってみました。

やっぱり肉まんの味です!

ベーコン・ジャムについて教えてくれた友人は、バンに塗ってハンバーガーと食べると美味しいと、またまた興味をそそる食べ方を教えてくれました。

ハンバーガーやホットドッグの発祥の地、アメリカでよく知られた、レリッシュ本来の食べられ方ですね。

よし、やってみよう。肉+肉でかなりくどそうですが。

肉まんの味のレリッシュ、大満足です。

ただし、正価の3ポンド払ってしょっちゅう買って食べたいかと言われると疑問です。夫はベジタリアンですし、娘はあけた瓶のなかみを見て「いらない」と言いましたし。私一人で食べきれなかったらかなりもったいないですから。

ベジタリアンの夫はローレーというフランス産のチーズを食べながら、ベーコン・ジャムとチェダーを食べる私をイヤそうな顔で見ていました。肉の匂いはしません。

食べた後、2回ともひどく喉が渇きました。

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なぜここで出てくる日本情緒?!オーストラリア産のカブキワイン!クモが不吉?

2022年07月05日 07時00分00秒 | シブい!日本語表記、日本関係なら何でもクール!

オーストラリア産のワインです。

The Good Luck Club という謎めいた名前のカベルネ・スービニョン。

「七八」??

裏側には...

The Bad Luck Club と書かれています。(どっちなんだ?)で、「四」って???

英語の「ハイク(俳句)」らしいものが書かれています。

I Like A Haiku.

Life Is Kinda Cruel And Kind.

As Is Kabuki.

ちゃんと音節が五・七・五になっていますが、似た音を並べてなんだか英語の詩みたいなひびきです。それにしても情緒がないような...そうだ、季語も抜けている(私は俳句の良しあしが分らないのですが)!

「俳句が好き。

人生は残酷って言うかやさしいって言うか。

まるで歌舞伎みたい。」...なんだ、これは?!どなたかこの訳をうまく五・七・五にまとめてください。

 

日曜日に、イヌ連れ大歓迎のパブ(昨日の記事参照)がある高級住宅街の中のこぎれいな商店街の中の、ワイン専門店に寄りました。

いつもはスーパーマーケットでお手頃ワインを買う夫ですが、ホリデーで旅行に行った時のようになぜだか財布のひもがゆるんで、この店でしか買えない直輸入モノを試してみることにしたようです。

スーパーマーケットで買うよりもかなり高めの予算を決めて、ワインのことが全く分からない(体質上、アルコールを受け付けない)私に好きな赤ワインを選ぶように言ってきました。

もちろん私はラベルのデザインで選びました!

デザインコンセプトはチンプンカンプン、しかも「バッド・ラック・クラブ」って何でしょうか、縁起でもない?「ひどい目にあっちゃっている僕たち」とかいう意味です。

でも浮世絵風のイラストがとてもきれいですよね。コンピューターを使ったアートワークだと思います。日本人アーティストの作品かもしれません。

ところで、夫と一緒に日本の大型スーパーマーケットやデパートのワイン売り場に行ってみたことがあるのですが、日本で売られているワインのラベルって、国産も輸入物も、ほとんどが格調高くて上品でつまらないデザインのものばっかりでした。

ワインナリーの紋章だとかイニシャルだとか古城の絵だとか、ヨーロッパの伝統を感じさせるようなものが日本市場向きなのかな、と思ってしまいました。

英国で出回っている世界各国の、特に買って帰って家で飲むタイプのワインのラベルは人目を引いてこそ!というような奇抜だったりへんてこりんだったり...とにかく工夫が凝らされていることが多いのです。

それにしても、なぜ浮世絵、なぜカブキ、なぜハイク...?

夫が飲んだ感想は「値段のわりにはどうってことはない」

栓がコルクではなく、アルミキャップってところも(値段のわりには)安っぽいような...

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イヌ連れにはありがたい、イヌを飼っていないイヌ好きには眼福、高級住宅地のイヌ歓迎パブ

2022年07月04日 07時00分47秒 | 英国のイヌ

今日の話題はイヌです。

シティ・オブ・マンチェスターと境界を接したストックポートの美しい住宅街ヒートン・ムーア Heaton Moor のメインストリートにある、イヌ連れ大歓迎のパブです。

プロ― The Plough (ウマで引く鋤)という昔からあるパブのようです。

昨日(日曜日)そばにある教会のホールで、友人がアート作品を売るイベントに店を出していたので、応援がてら夫と見に行った帰りに寄りました。

私たちが買ったドリンクをもって座った入り口わきの皮のソファ(一番最初の写真)のとなりには3匹のイヌ連れグループがいました。

2匹のシーツーの飼い主の女性と、フレンチブルドッグのリオの飼い主の男性と、犬を連れていない女性1人が背の高いテーブルについていました。

どうやら、フレンチブルドッグのリオの飼い主は、このパブの経営者らしい女性とご夫婦(あるいは未婚のカップル)のようでした。(ややこしい!)

パブの経営者らしい女性はリオのことを、写真を撮る許可を男性に求めた私に「自分の飼い犬だ」と言っていましたから。

休日に、奥さんの職場であるパブにイヌ連れでお友達と一緒に飲みに来たみたいでした。

バー(飲み物をサーブするカウンター)の端の「お犬様バー Doggy Bar 」には常連客の同伴イヌのポラロイド写真とともにリオの肖像画(あるいは単によく似たフレンチブルドッグのイラスト)がかかっていました。

犬3匹のそばに座りたくて、ゆったりした皮のソファーに座った私たちです。

名前を聞くのを忘れたシーツ―2匹はよそのテーブルのことなどお構いなしですが、フレンチ・ブルドッグのリオがつぶらな目でじっと見つめ続けていたのは....

私たちが注文した揚げたてのチップス(ポテト・フライ)です。

高級住宅街にある、よくあるオシャレな内装の昔ながらのパブ、さすがの高級感です。

イヌ用のビスケットが自由にとれるようになっているし、間取りもゆったりしています。

ここでしか飲めないというハウス・エールが気に入った夫は3杯も飲みました。値段は言いたくないと言われ追及しませんでしたが、高かったそうです。

私が値段を知らずに注文した、これまたどこにでも売られているわけではない、たっぷりのチェリー果汁をくわえたというミネラルウォーター(思わず写真を撮ったかわいい缶入り)の値段は教えてもらえました。5ポンド(818円)!

私たちが座ったソファー席と、入り口をはさんで並んだ小さなテーブル席の客は小さくてすらっとした黒っぽいイヌを連れていました。

私はひそかに「カメレオン犬」と名付けました。

ものの見事に、背景の黒い暖炉に同化しています。ご丁寧にもキャラメル色の足先は床の色に同化しているしどこにイヌがいるのかわからないでしょう?(あ、わかるか...)

この犬種不明の落ち着いたイヌは反対側のシーツー、フレンチブルドッグトリオと違って、一人ぼっち。じっとしているのに完全に飽きちゃっているようでした。音無しで生中継放映されているウィンブルドンテニス選手権にも興味なさそうでしたし、やはり私たちの動きを目で追っていました。

 

イヌ連れ歓迎の、おしゃれで高給取りの比較的若い層の住民が住む高級住宅街の地元パブ、犬の散歩がてらフラッと入れる人気スポットみたいですね。

お手洗いに行く途中に見てきた、奥の食事スペースにもプードル混の小型犬とポメラニアンがおとなしく床に寝そべっていました。

商売繁盛でけっこうなことです。もちろんイヌがきらいな人はイヌだらけの飲食店には入らないでしょうけど、イヌを飼っている住民の割合が高いことなどを充分にリサーチしたうえでの方針決定だと思います。

中流階級層に人気がありそうな小型犬を、イヌ連れ入店禁止の店の外につないでおけば、盗まれることがとても多いと言います。盗んで売り飛ばすだけではなく、身代金を要求するという悪質な犯罪もあるそうですし、いっしょに入れるパブは需要大でしょう。

(身代金要求があれば、イヌの窃盗ではなく営利誘拐ですよね)

好奇心旺盛のカメレオン犬は私たちが店を出る時にひき紐がのびるギリギリまででてきて見送ってくれました。

さすがの保護色もドア・マットに同化するのは無理のようです。

黒い横顔に、キャラメル色の「だるまさんのヒゲ」のような、あるいはスポーツ・シューズメーカー、Nike のロゴの翼マークがあるイヌです!

この正面写真ではわかりませんよね。このイヌの写真は飼い主に断らずに撮りました。

夫の飲酒運転を気にかけている方がいそうですので、私が運転して帰ったことを言い添えておきます。

 

 

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史跡の町ストックポートの興味深い歴史スポット、地下牢の残る極小裁判所!

2022年07月03日 04時54分30秒 | ストックポートとその周辺

ひさしぶりの、ストックポート日報、「ストックポートの観光案内」で再開です。

2週間以上も前の話で恐縮ですが...

ストックポート、タウンセンターの景観保存エリア、オールド・タウン Old Town の中心、マーケット・スクエア Market Square にある知る人ぞ知る観光スポット、ストックポート・ダンジョン Stockport Dungeonです。

通りかかったら公開されていたのでもちろん入ってみました。

(最初の写真は用事があって戻った、その翌々日に撮りました)

「ダンジョン」というのはおどろおどろしい暗黒の中世のひびきのある「地下牢」のことです。

このダンジョンは軽犯罪者を裁く地方裁判(Court Leet)に出廷する被告人を閉じ込めておいた「留置場」のような場所です。

ストックポート・ダンジョンの正式名は Stockport Court Leet And Dungeon 。

地上階は判事 leet のいる(簡易?)裁判所 Cout Leet として、地下は留置所 dungeon として15世紀から18世紀まで使われていたそうです。

上階の店の部分は18世紀から19世紀にたてられたそうです。

1790年にCourt Leet 制が廃止されて以来、裁判所スペースは長く穀物倉庫として使われてきたそうです。それ以後、オフィスやら貸し店舗やらテナントはたびたびかわって、最近20年ほどは史跡として市が管理していたようなのです。

中に入って(入場無料)...

階段の下が...

ジャーン!地下牢です。

お芝居の小道具めいた重りの付いた足かせとか、IKEAででも売られていそうな可愛らしいランタンとか演出がクサくないでしょうか。

まあ、それをいうのなら ジベット Gibbet (絞首刑にされた罪人の死体をさらす鉄のカゴ)にガイコツ、死肉をついばむカラス...の子供を怖がらせるためとしか思えないおどろおどろしい展示物!と天井にはコウモリ...

Leet (判事)もガイコツ。

英国の史跡遺産の観光スポットではおなじみの、さらし台 Pillories が当然のように置いてありました。

「刑罰史」の資料としてではなく観光客を喜ばせるための小道具であることは明らかです。

子供たちをさらし刑にして大喜びで写真を撮る親がやっぱりいました!

白いコウモリ!

マジメな史跡スポットであるはずのストックポート・ダンジョンなのに!... ハロウィーンのパーティ会場にでも使われてそのまま飾りつけを残しておいた、とかでしょうか。

観光客のウケをねらった通俗路線を徹底するか、史跡としての価値をマジメに押し出すか市の観光担当部署は方針を決めかねているのではないかと思います。

マジメな刑罰史や、好奇心をかきたてるストックポートで起きた有名な犯罪史(18世紀のヒ素入りパイ殺人とか)についての資料を展示したコーナーもありました。

実は、ストックポート日報 発刊直後に、外観の写真をのせただけの短い記事にして取り上げたことがあります。

ストックポートに移り住んでわずか数年後、20年近く前に赤ちゃんだった娘を連れて通りかかった時にもぐうぜん一般公開されていたので入ったことがあるのです。人通りの少ない平日でした。

直前に塗りなおしたらしい、つるんとした白い漆喰壁が新しく、清潔な印象が記憶に残っています。(写真は撮りませんでした)。

古い建物の地下室にはつきもののアーチとアーチの間のくぼみ部分は、その当時 漆喰壁でふさがれていたため見られませんでした。

当時、市の観光促進担当らしい職員に「入ってみないか」と声をかけられ、階段ではなく、床に開いたハッチ(木の押し上げ扉)を開けて梯子段で地下牢に降りた記憶があります。もう一人だけいた年配女性の見学者にバギーに乗せた赤ちゃんを見ていてもらいました。

地下牢は今回見たのと同じ場所だったかはずですが、塗りたての白壁でほの暗い電灯もついていたので清潔な印象でした。

裁判所機能を放棄したあと、穀物を保管したというアーチとアーチのあいだの 部分にまた...

頭蓋骨と血に濡れた手!

 

案内のボランティアの女性の説明によると、考古学上の研究が現在も進行中だとか。

後世に付け加えられた壁を取り除いたら16世紀、17世紀に建造された部分も発掘されたそうです。

建築物に関する資料展示はまだ先になるようでした。

「史跡の町」として街おこしをするつもりらしいストックポートにとって、学術/史跡資料として貴重なこのダンジョン、使えます!(ハロウィーン風展示は真剣に何とかした方が良いと思うのですが、案外ほほ笑ましくもあります)

コート・リートの建物わきの...(この写真も公開日の翌々日に撮りました)

地下牢公開用の新しく取り付けられたらしい小さな扉を開けて...

ボランティアの案内役の男性が通りがかりの人に地下牢を見せてあげていました。

道から見える位置にもやっぱりガイコツ!!

コート・リートが穀物倉庫 mealhouse として使われていたころについたその名も Mealhouse Brow というこの細道はマーケット・スクエアと下のリトル・アンダーバンクを結ぶ急な坂道です。

 

この窓は店舗として使われていた20世紀初頭に加えられたショーウィンドウのようです。

写り込んでいるのは斜め向かいのガラス張りのマーケット・ホール Market Hall です。

実は用事があって時間つぶしに入ってみたため、展示資料をゆっくり見る時間はとれませんでした。

もう一度、できれは誰かといっしょに行きたいです。さらし台に脚を突っ込んだ写真を撮ってもらわねば!

現在、1か月に1回か2回公開されているようです。興味のある方は Stockport Dungeon で検索すれば観光ウェッブサイトが開くはずです。

 

 

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