住みこみ*著書:『住みこみ』(2007年/ラトルズ刊) 戸田家の一年を写真とエッセイで綴った本のタイトルです。

人の暮らしは時間と共に変化します。それを調整しつつ自在に手を入れられる、ゆるやかな設計を心がけています。

”現場”から”住まい”へ

2009-10-27 17:09:08 | 建築
(南大沢・南風の家-引渡しとそのまま竣工写真撮り)

10月26日(月) 重陽
10月23日から24節気 霜降(そうこう)霜が降り始めるころ。日増しに気温は下がり、紅葉は里へ降りる。
72候 第52候 霜始降(しもはじめてふる) 初霜が降り始めるころ。

重陽(ちょうよう):五節句の一つで、旧暦9月9日(今年は10月26日)のこと。旧暦では菊が咲く季節であることから菊の節句とも呼ばれる。陰陽思想では奇数は陽の数であり、陽数の極である9が重なる日であることから「重陽」と呼ばれる。奇数の重なる月日は陽の気が強すぎるため不吉とされ、それを払う行事として節句が行なわれていたが、九は一桁の数のうち最大の「陽」であり、特に負担の大きい節句と考えられていた。後、陽の重なりを吉祥とする考えに転じ、祝い事となったものである

昔は不吉で、後に祝い事とは面白い。。。平安時代に習って、先日、施主にいただいた梅酒に菊の花を浮かべて飲もっと! 

昨日は「南大沢・南風の家」の引渡し式でした。おめでとうございます。

引渡し式はそのものズバリ、現場が建設会社の管理下から施主に引き渡されるもの。あたりまえであるが、この日・この瞬間から我々は勝手に中に入れない。今まで我々が施主に向かい「ありがとう。また来てください」と言ってたのが今度は言われる立場に・・・あれほど通い、出来上がる事を夢見たお宅なのに、完成した途端にどうして入れなくなっちゃうんだぁ~(笑)

このくらいの思いがちょうどよい。終わってホッとする気持ちと、寂しい気持ちが入り混じるくらいがちょうどよい。

引渡しが無事終り、竣工写真撮影開始。

カメラマンはいつもお願いしている、古田陽子さん!? ええ~? 
そうです。[緑と共に暮らす家]オープンハウスで、お菓子担当のあの人です。そして昨日に続き、これも”編集”なんだって。。もちろんいわゆる編集の仕事もしている。新建築「住宅特集」の記事なんかも書いている。

古田さんの場合、妙に説得力がある。新しい編集のカタチ。かも。。。

そして、その撮影の場になぜかみんないる。手伝っちゃったりもしている。現場監督が照明を持ち、施主がものをどかし、設計者が扉を開け閉めしたり・・・それはまるでそれぞれが”現場”から”住まい”に変わっちゃう前に、最後の”現場”を楽しみ、そして名残惜しんでいるようでもあった。



今回のお宅、新築なのにリフォーム とちょっと変わった経緯である事は何度かブログでお話をした。施主とお話をして、最初は中古のマンションを探していたが、不動産売買が低迷している昨今、想定していた金額で新築が購入できた事が大きな理由であったとの事。

このお宅に携わり、例えば上写真の、正面左側の壁紙をはがしたままのコンクリートや、



カバーをはずしたまま、壁紙の余ったものを挟み込んだスイッチ(施主が建築廃材から拾い出しはめていた)や



いつも開け閉めする居間の扉に、大好きなアンティークを使用する。

など。。。

”古い家をいじる”という事が何だかトレンドの様に思えるが、そうした価値観の人たちにも”新築”に手を入れる今回のケースは、選択肢のひとつになりうるように感じた。

この空間は、今後施主によってどのように育ってゆくでしょう?楽しみでなりません。

そしてHPでもお知らせしましたが、11月1日(日)施主のご好意により、この「南大沢・南風の家」のオープンハウスを開催する運びとなりました。詳しくは下記HPで


=戸田晃建築設計事務所=




最新の画像もっと見る

コメントを投稿