昔住んでいた家の天井の杉板の、片隅にひとつ足跡があった。そして、その板は微妙にずれている。子供の時はそれがとても怖かった。
わゎ~~誰かが、天井裏から出入りしている。しかも、天地さかさまに歩いている!いくらクレバーな私でも(ウソ!)、その頃はそうとしか思えなかったのだ!
今思えばなんて事ない。しっかりギザギザのついたいかにも”足跡”は、現場で使用する安全靴か何かの足跡で、その足跡のついたまま施工しちゃったんじゃあないかと容易に想像できる。
話は違うが、先日竣工したお宅で、その引渡し何日か前、大工の岡部さんとその現場を味わう最後のチャンスとばかりに、仕事が終わった夜にいろいろ雑談していた時の事。バルコニーからふと室内を見ると、暗い照明とそれに映し出されたリビング収納のモンキーポットの木目が、月夜に照らし出された海の風景だった。
「ちょっと波だっているな~。台風が近いせいかな~?」そう、台風が近づいている頃だったのです。。
住宅は、設計者やつくり手が全く想像しないところで、お気に入りの場所や、怖い場所、はたまた物語が生まれるものである気がする。
もちろん、”天井に足跡”はとんでもない事であるが、家の記憶として今となっては何だかいとおしいとさえ思う。私のように、子供の時に味わっちゃったものだから、それが一種、原風景になっていた事に、その風景?を見て気が付いた。
このお宅も、住み手にとってこれからどんな風景や場所、そして物語が生まれるんでしょうね~
明日、「南大沢・南風の家」オープンハウス。みなさまお待ちしております。
=戸田晃建築設計事務所=
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