住みこみ*著書:『住みこみ』(2007年/ラトルズ刊) 戸田家の一年を写真とエッセイで綴った本のタイトルです。

人の暮らしは時間と共に変化します。それを調整しつつ自在に手を入れられる、ゆるやかな設計を心がけています。

素材

2009-07-17 13:39:45 | 建築


木製ハシゴの上に登って楽しそうにしているのは、遊んでいるわけではありません。仕事です!

現在進行中のリフォームの件でGALLUP(ギャラップ)にやって来ました。ギャラップは世界中から様様な古材を中心とした素材や建材を輸入・販売している会社で、それらが250坪の倉庫内にところ狭しと積まれているのがこの店です。当事務所でも、2005年に吉谷桂子・博光邸で古材を床材として使用して以来、利用させてもらっているお店です。

今回はギャラップの中山さんから「アメリカより扉が大量につきました」との連絡を受け、早速建て主に連絡をとり、熱心な大工の岡部さんと監督の和田さんと、ついでに(訳あって)娘も加わり、建て主に同行したという訳。素材の話になってくると、これはこう使うんだ!これはこう使えるかも知れない?これ何??みたいに話し始めるとついつい熱が入る。

(上写真左)米国消防士が使っていた、長さ5mぐらいの木製梯子。所々鉄で補強が入っているものの基本的に木の一本もの!実際登ってみると、よじれるのがわかる。火の中で木のはしご、昔の消防士はある意味勇気がある。
(上写真中)一見何の変哲もない倉庫の扉を開けるとそこは夢の世界。It's a Small World!
(上写真右)倉庫内部。普段は立ち入り禁止であるが特別に入らせてもらう。建て主に百数十種類あるパソコンのリストの中から気になる扉を選出、それらを店の人に並べてもらい、みんなであれやこれやと話をする。この雑談が大事だと思う。背景の古材の山が「宝の山」に見えるか否かは価値観の別れるところ


「毎日使うところだから、本当に気に入ったものを作って欲しい。」そんな建て主の熱意に突き動かされるように、熱心に説明してくれる末綱さん。そしてそれらをメモし、直接手に取り感触を確認し、時に撫でたり、頬ずりしたり(はないか・・・)、臭いを嗅いだりしている面々。
何もないところからイメージを作り、素材を選び、形にしてゆく事は、作り手にとっても大変な事ではあるが、何よりまして、建て主の苦労と熱意があってこそと思うのだ。だって既製品であれば現場に行かずともカタログで選べば済む事を、今回のように素材の事だけでも、わざわざ厚木まで足を運ばなくてはいけなかったりするのだから・・・


楽しそうに話をしている大人をよそに、店の片隅をお借りして宿題をしている娘。娘いわく、「秘密の子供部屋見つけた!」と。ここは我が子にとっても「It's a Small World!」なのかもしれない。

最後に、ちょっと打ち明けちゃうと、仕事とは言え、それは「大人の遠足」のようだった・・・

=戸田晃建築設計事務所=


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