住みこみ*著書:『住みこみ』(2007年/ラトルズ刊) 戸田家の一年を写真とエッセイで綴った本のタイトルです。

人の暮らしは時間と共に変化します。それを調整しつつ自在に手を入れられる、ゆるやかな設計を心がけています。

廊下の話し

2013-02-01 15:23:14 | 建築


家の中に無駄な空間が結構あると思う。我が家の様に細長い敷地に建つうなぎの寝床風の家の廊下や、間口が狭く奥行きが長いマンションの廊下など。そこは空間と空間を繋ぐ、移動する動線という点では、一概に無駄とは言いきれないかもしれないが、もう少し有効に利用出来ないだろうかと感じている。

先日竣工した「(仮称)ギャラリーコリド-のある家」は築30年のマンションのリフォームだったのですが、玄関を入って一番奥にある居間の扉までの廊下の長さが13m弱。リフォーム前は薄暗くて単調でただ通り過ぎるだけの長すぎる空間でした。おもしろいことにそこを通る人は、ちょっと恐いトンネルを少しでも早く通り抜けようとするかのごとく、みんな早足になっていました。

そこで、この廊下に少しでも長く滞在し、出来れば楽しい空間に出来ないだろうか?という発想からギャラリ-コリドー(コリド-とは回廊・廊下の意味)が生まれました。画像は竣工直後だったのでまだ何も飾ってませんが、向かって右側の壁には思い出の絵画、お子さんの書いた絵、家族の写真。はたまた家族の賞状なにかも掛けられるかもしれません。年を積み重ねるごとに少しずつ数も増えてゆきます。そしてお子さん達は自分だけの隙間をみつけては読書にいそしむかもしれません。

仲の良いご家族は、いつしかここから笑い声が聞こえてくるでしょう。この場所は廊下であり、家族のギャラリーにもなるのです。



これは我が家の2階の廊下。奥の右側に見える白いカーテンの向こうには長いパイプハンガ-が・・・そこは廊下でもあり、ウォークインクローゼット ならぬ、ウォークスルークローゼットです。左側の窓は中庭に面しているので、こっそり鳥に見つからないようにバードウォッチングも出来るのです。

=戸田晃建築設計事務所=