浜島辰雄／ものづくり中部の革新者たちⅢ　最終回

2022-10-29 06:40:17 | ものづくり・まちづくり

ものづくり中部の革新者たちⅢ　より　浜島辰雄を紹介します。

去る2022（令和４）年９月10日（土）に名古屋都市センター（金山南ビル内）　11階「まちづくり広場・企画展示コーナー」で行われた、第17回パネル展での学びを振り返ります。

ここから　http://csih.sakura.ne.jp/panerutenn.html

最終回の今回は、浜島辰雄　　

浜島辰雄 (1916 2013)

愛知用水の為なら死んでもよい覚悟　地域住民の汗涙血の結晶を地図に一

■生い立ち
浜島辰雄は1916(大正5)年、愛知県愛知郡豊明村 (現・愛知県豊明市) の裕福な農家の5男として生まれた。 1935(昭和10)年に愛知県安城農林学校、 1939(昭和14)年に三重大学農学部の前身である三重県高等農林学校を卒業した。
卒業後、南満州鉄道に入社、調査部に配属されダムの建設計画作成に従事した。その後、名古屋陸軍幼年学校教官などを勤めた。
戦後、愛知県田口農林学校を経て母校の安城農林学校教諭となった。

■愛知用水概要図の作成
1948(昭和23) 年 7 月 18 日の中部日本新聞に「発展する知多の夢~その名も愛知用水」の記事を読んだ浜島辰雄は、久野庄太郎を訪ね、意気投合し行動を開始した。
二人は、先ず水路の設計から始め、水がゆっくり流れるようにするためには、平均勾配が三千分の一 (3kmごとに1m下がる割合) である。そのためには取水口の標高は90m余となり、岐阜県八百津町兼山の地点 (標高:95 5m) から知多半島先端までを現地踏査、愛知用水概要図を完成させた。
この計画図は、縦3、6m、横1、6m で、縮尺 25,000分の1の地形図に記載された。実在の愛知用水と比較しても基本的には大差ないものである。現
在、大府市にある愛知用水土地改良区で保管されている。ルートは兼山取水口から愛知県に入る。愛知県内では、犬山市から愛知池 (東郷調整池)
を経て知多市にある佐布里池に入る。
ここから名古屋南部工業地帯コンビナート工業用水として利用されている。さらに知多半島先端の美浜調整池に達する。最終的に海底導水管を通して篠島、日間賀島、佐久島に送水されている。

■愛知用水事業の推進
1948(昭和23)年、知多半島の1市25町村すべてが参加した愛知用水開発期成会が設立された。有志15名で農林省や吉田首相に陳情し、翌年から農林省による現地調査が始まり大きく前進した。浜島辰完成した水源の牧尾ダム出典: 『愛知用水概要』 1961雄は昭和27年に教師を退職、愛知用水事業に専念した。
1952(昭和27)年に愛知用水事業で建設された施設の維持管理を行う組織として愛知用水土地改良区を設立、昭和30年に愛知用水公団が設立され、昭和32年に国際復興開発銀行と借款契約書を締結、総工費422億円のうち490万ドル(=約17億円) を世界銀行から借りた。
愛知用水事業は我が国初の大規模総合開発事業で、木曽川総合開発事業の一環として始まり、水源となる牧尾ダム建設工事に着工、併せて幹線・支線水路などの建設に着手した。その後、苦難の工事が続いたが工事開始わずか5年後の1961(昭和36)年9月に通水が開始され、知多半島はかんがいの恵みに浴する地域になった.
愛知用水通水後の1965(昭和40)年に知多浄水場の近くに佐布里池が建設された。これにより名古屋南部工業地帯のコンビナートにも、工業用水が供給された。

このシリーズは今回で終了します。
中部地方には、今につながる研究・開発を進めた多くの偉人・先人がいることを知りました。

先人に感謝しつつ、このことを皆で共有し、これからの社会のために、少しでも貢献できる人材の育成に努めたいと思いました。

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