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チャイコフスキー・ツィクルスⅢ/名フィル 市民会館名曲シリーズ-2-

2011-11-06 07:01:04 | 音楽雑感&関連サイト
チャイコフスキー・ツィクルスⅢ/名フィル 市民会館名曲シリーズの個人的な感想を紹介します。

チャイコフスキーは、 1893年の今日、11月6日に53歳で亡くなりました。



2曲とも暗譜で振ったゲルゴフの指揮は・・・

で前回終わっています。

まずは、交響曲第3番 ニ長調 "ポーランド" op.29
 長調の楽章に始まる唯一の交響曲であり、慣習に反して5楽章で構成されていることで知られています。
 しかし、チャイコフスキーの交響曲の中では、最も知られていないのではないでしょうか?
 少なくとも、私はそうです。

 チャイコフスキーは、絢爛豪華なオーケストレーションが持ち味で、早期から比較的完成度の高い作品を送り出していました。
 私はけっこう好きな交響曲第1番が26歳。
 
 26歳というと、決して早くないように思いますが、彼は、幼少から音楽教育を受けていません。法律学校に通い法務省に勤務していた公務員なのです。
 志新たに21歳で音楽学校に通い始めたと聞けば、26歳のデビューは早いのではないでしょうか。

 そして第3番は35歳の作品。

 翌年、名曲の第4番。さらに次の年は「白鳥の湖」、そして「弦楽セレナーデ」「1812年」と、大ヒット曲を量産していき、巧みなオーケストレーションや「リズムの天才」ぶりを聴かせます。

 これらに比べて、第3番は、一部その片鱗は感じますが、私には未熟さが感じられてなりません。
 名盤と言われるのが出ないのはそのためではないでしょうか。

 今回の演奏も、全体を大きく捉えて、2~4楽章を抑えて、5楽章へエネルギーを振り向けたような演奏でした。
 
 第1楽章は、約12分15秒。私の持っているCDと比べても最速です。

(時間は私の手元の時計ですので、あくまでもいい加減です。)

 以下、第2楽章から第4楽章まで、最速のレコードを塗り替えていきます。
 しかし、第5楽章は、8分38秒。
 最も遅いのです。
フレーズの中で誇張するのではなく、もっと大きな視点で捉えているのです。

 この「速さ」だけでロッセン・ゲルゴフの考えがわかる気がします。

 まだ30歳の若さ。大きな振りでオケを引っ張っていきました。

  

交響曲第6番 ロ短調 "悲愴" op.74 
 
"悲愴"と言えば、古今東西の交響曲の中でも名曲中の名曲の一つに数えられます。

それぞれ、my"悲愴" があり、それと比較しながら聴くので、なかなか高い評価が得られないのでは・・・。

私には、サバリッシュがN響を指揮した演奏が忘れられません。


まずは、演奏時間だけを検証してみましょう。

あくまでも、手元の概算ですが、

第1楽章 18分46秒
 平均的。カラヤンに近いか、より遅め。

第2楽章 6分56秒
 これは速い!4分の5拍子のワルツの良さが、イマイチ消されているような・・・。 

第3楽章 8分1秒
 2楽章の延長で、これも必然的に速くなりました。

第4楽章 10分20秒
 やや遅めか。
 2,3楽章が速かったために、より遅く感じられます。
 GPで、十分時間を取っていました。
 緩急の差が大きいといえるでしょう。

というわけで、3番と同じように、全体の構成を、終楽章を謡いたいために組み立てたような印象です。

第1楽章では、名手のFgがやや崩れました。その動揺が木管に伝わったのか、ややアンサンブルが乱れてしまいました。

しかし、私には、プレイヤーのせいではなく、指揮が見にくかったと思えました。
つい、演奏者の視点で指揮を見てしまうのですが、指揮を見てあれっ?と思った瞬間、Fgの音が躊躇い(ためらい)音のようになってしまいました。

しかし、2楽章ではアンサンブルは持ち直しました。
先ほどもふれましたが、速すぎるために曲の良さが引き出されたかどうかはわかりません。

終楽章は見事だったと思います。
これまでの3番を含めた全9楽章のまとめのように感じました。


マーラーの9番の時に、お客さんのマナーが良かったと書きました。

今回もそう思っていたのですが、なんと、最後の最後に、コントラバスの弓が降りる前に拍手を始めた人がいたのです。

やめてほしい!
みんな息を止めて、指揮棒や弓が降りるのを待っているのに、一人がぶち壊してしまいました。


サバリッシュの時を思いだして感じるのは、"悲愴"を振るには、指揮者としての年輪がいるのかもしれないということです。

今日のロッセン・ゲルゴフの20年後、30年後の"悲愴"を聴いてみたいと素直に思いました。

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