哲学チャンネルより 読書について|ショーペンハウアー 5分でざっくりと要約を紹介します。
ここから
https://www.youtube.com/watch?v=1UB-Lct5TW0
※関連した過去動画 【ショーペンハウアー①】西洋哲学解説【表象】【意志】 https://youtu.be/WYtA_zI5Ub0
※書籍 読書について 他二篇 (岩波文庫) https://amzn.to/2QvhLIf
とっつきづらい哲学や心理学の内容を、出来るだけわかりやすく完結に お伝えすることを目的としたチャンネルです。 チャンネル登録、高評価、拡散、ぜひぜひ宜しくお願いいたします。
Twitter https://twitter.com/tetsugaku_ch
動画の書き起こし版です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ショーペンハウアーの哲学に関しては、過去に解説した動画がありますので 概要欄のリンクなどからチェックください。 簡単にいうと、人間は生への逃れようのない欲求を持っていて、 それが原因で人生は苦痛にまみれている。 だから、哲学的理解によって生への欲求を捨て去って、 苦痛から解放されよう。と説いた哲学者です。 同時代のドイツ観念論者であるフィヒテ、シェリング、ヘーゲルの 難解な哲学を徹底的に批判していたことでも有名です。 彼の主著である【意志と表象としての世界】の注釈書にあたる 【余禄と補遺】に収録されているアフォリズム形式の文章を カテゴリーごとにまとめた書籍の一つが【読書について】です。 岩波文庫版では東大の文学部教授だった斎藤忍随さんが翻訳をしていて 読書についての他に【思索】【著作と文体】が収録されています。 【思索】では『自分で考える』とはどういうことか?について書かれています。 これは【読書について】の相補的な内容になっていますので 必ずセットで読むことをオススメします。 【著作と文体】では、ショーペンハウアーが生きた時代の 出版情勢についてひたすらディスる内容です。 主に、やたら難しい言葉を使いたがる哲学者(ヘーゲルなど)への文句、 古き良き言語を崩壊させようとする不勉強な著者に対する文句、 などが100ページにわたって繰り広げられます。 そして【読書について】 なんと、20ページほどしかありません。 そんなに短い主張が、150年経った今も語り継がれているわけですから その内容には何かしらの大きな意味があると考えられますよね。 【読書について】の主な主張は2つあります。 一つは『自分の思想については、自ら考えて作り出していくべきである』です。 本書で一番有名な一文といえば 『読書とは、他人にものを考えてもらうことである』 でしょう。 ショーペンハウアーは、考えなしに読書をすればするほど、 他人の意見に毒されていき、自分でものを考えることをしなくなると言いました。 得た情報だけで自分の精神が構成されているというのは 食べ物を食べていることによって生命が維持されているのだから 人間にとって口が一番重要である。と言っているのと同じだと主張します。 食物が消化によって初めて生命の糧になるように、 情報も、消化してはじめて精神の糧になると考えたのです。 また、読書ばかりをして自分の考えを持たない人のことを 旅行のパンフレットを多読してその土地について詳しいと豪語する人に例えました。(思索より) 本当にその土地に詳しいのは、その土地で暮らした人であって そういう人だけがその土地を真の意味で『知っている』のだと。 つまり、読書は無益だと言っているのではなく、 その姿勢を間違えると読書が悪いものになる可能性があると言うんですね。 だからこそ、何かの情報を取得する際には 自分の考えという軸をしっかりと持った上で その情報があくまでも自分の思想を補填するための材料でなくてはいけない。 自分で考えるという行為を明らかに読書の上位においた考え方です。 2つ目の主張は『古典を読め』です。 ショーペンハウアーはこう言います。 『良書を読むための条件は、悪書を読まぬことである。 時間と力には限りがあるからである』 本を買うという行為は素晴らしいが、 同時に本を読む時間も買わないといけない。 このようにも書いています。 人間には限られたリソースしかないのだから、 悪書に時間を費やしている暇はないと。 悪書に惑わされることなく、天才が書いた良書だけを読めと。 では、どのようにして悪書を避けて、良書と出逢えば良いのでしょうか? そこで出てくるのが『古典』です。 古典は過去から長い期間をかけて語り継がれている書物です。 長い期間人々に必要とされているということは、 結果的にそれが良書だということを証明しています。 だから、そのように時間的実績がある古典を読みなさいと言うんですね。 一方で、彼が悪書と設定しているのは、流行本一般です。 その時流その時流で、売れるために作られた本には なんの価値もないと切り捨てます。 もちろん、その中には後世に語り継がれる良書があるかもしれません。 しかし、毎年発売される本の99%は10年もしないうちに 人々の記憶から消えていくような存在でしかありません。 その中から宝探しをする時間があるのならば、 すでに評価が出ている古典を読むのが最適解でしょ。 そう理解して良いと思います。 つまり【読書について】の主張をまとめると、 流行っている本などに惑わされずに古典を読みなさい。 そして古典を読む際には、自分の考えをしっかりと持って 他人の意見に毒されないようにしなさい。 それが人生において最後に頼れる自分の思想を形作ってくれるから。 そのような内容だと解釈しています。 本書で使われる『読書』を『ネットの情報』などに置き換えて読んでみると、 我々の日常にも非常に関連性の強いメッセージと見ることができます。 あなたの意見は、本当にあなたが考えたことで生まれたものでしょうか? 誰かの意見がそのままあなたの意見になっていないでしょうか? 本書を読むことで、それを自問するきっかけになると感じます。 とても短く、読みやすいのでぜひ手にとって読んでみてください。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
このブログでの哲学関連サイトは・・・
「レーニン」とはどんな人物?思想やトロツキーとの関係も紹介 ここからTRANS.Bizの他の記事に入れます。