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【孟子②】中国思想解説#7【王道政治】【易姓革命】

2021-08-18 06:10:32 | 哲学の窓

哲学チャンネルより 【孟子②】中国思想解説#7【王道政治】【易姓革命】を紹介します。

ここから https://www.youtube.com/watch?v=RkEJiDUmZRs

※関連した過去動画 【孟子①】中国思想解説#6【孔孟の教え】【性善説】 https://youtu.be/b0_9EcZz6nM
※書籍 孟子〈上〉 https://amzn.to/3pm97fr
 
とっつきづらい哲学や心理学の内容を、出来るだけわかりやすく完結に お伝えすることを目的としたチャンネルです。 
 
動画の書き起こし版です。
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前回、孟子の【性善説】【仁義】について解説しました。 簡単におさらいすると、人間には先天的に善の性質が備わってるが 後天的な環境の影響でそれらを忘れてしまう。 善の心は4つに分類することができて、 それぞれを成長させると最終的には徳に至る。 これらの徳を目指すことで、誰でも偉大な人物になることができる。 ということでした。 孟子は、同じ理論を国家運営にも当てはめます。 あるとき、王から国を強くする方法について問われるると 孟子は『仁者敵無し』と答えたといいます。 君主は武力や利益などではなく、仁義によって国を治めるべきであり そうすれば小国であっても大国に負けることはないと説いたのですね。 孟子は、天下を治めるために必要なのは、民衆の心を掴むことだと考えていました。 民衆の心を掴むためには、民衆の欲しがるものを与え、 民衆が嫌がるものを押し付けないようにすることが重要です。 具体的には、刑罰を軽くし、税金を減らし、耕作に力を入れて民衆の暮らしを安定させる。 ちなみに孟子は民衆に安定した収入をもたらすことと、 国に安定した税収をもたらすことを目的にして 周の時代に行われていた『井田制』を理想的な制度としました。 これは、農地を9等分して、そのうち8つの農地をそれぞれの家族に管理させ 残りの1つの農地は8家族が協力して管理し、その取り分を税収とするものです。 この土地管理制度は、儒教とともに日本に伝わり、 奈良時代に行われた条里制の基礎になりました。 君主が仁義をはじめとした徳を治めた人物であれば必然的に民衆は君主の味方になり それが国を治める最良の方法である。 このような国の治め方のことを【王道政治】と呼びます。 以前に古代中国の解説動画で触れた 『堯舜』の時代がまさにそのような政治を行っていたと考えることができます。 孟子もその時代を理想としていたとされています。 一方で、徳を欠いた武力による政治のことを【覇道政治】と表現し これを激しく非難しました。 今後の動画で解説予定の【法家】や【兵家】などの現実的な政治思想と比べると 孟子の政治思想はかなり理想主義だと言えます。 むしろ、プラトンの国家観と近いかもしれません。 『力を以て仁を仮る者は覇なり、徳を以て仁を行う者は王たり』 さらに孟子はこんなことも言っています。 『民を貴しと為し、社稷之(これ)に次ぎ、君を軽しと為す』 政治にとっては民衆が一番重要で、次に国家、君主は一番軽い存在だという意味です。 絶対的な力を持っていた君主を社会の歯車の一部のように表現した孟子の思想は 当時かなり革新的でした。 孟子は同じように『革命』に関しても民衆の力を強調しました。 古代中国では王の地位は天命によって決められると考えられていました。 古くは堯舜の時代、堯が舜に王位を譲ったのは堯が与えたものではなく 天の意志によって王位の譲渡が行われたと考えるのです。 そのことから、国を治める王のことを【天子】と呼び、 ただの人間王の存在を超える何かとして畏怖の対象になっていたのです。 そもそも『革命』には『天命を革める』という意味がありますね。 基本的には王位の譲渡は世襲制で行われていきます。 しかし、時代の変わり目(王朝の崩壊)の際には 世襲制が崩れ、新たな王が誕生することがあります。 このとき、王の姓が変わることから、 天命が革って王の姓が変わることを【易姓革命】と呼びます。 孟子はこの『天命』には民衆の声が反映されると考えます。 つまり、覇道政治を行う徳のない王は、民衆の声が反映された天命により 最終的には打倒され、易姓革命が起こるのです。 ちなみに、易姓革命には、その方法が二つあります。 一つは禅譲。 これは徳のない王が、有徳の王に王位を譲ることです。 前王が自分の意思で王位を譲るパターンですね。 もう一つは放伐 有徳の王が、徳のない王を武力によって討伐することです。 孔子は放伐については肯定的ではありませんでした。 しかし孟子は状況によっては放伐もやむを得ないと考えたようです。 このような民衆中心の政治観には、 ルソーの社会契約論との類似点が多く見られます。 ルソーが説いた【一般意志】とは孟子においては【天命】と表現できるかもしれません。 人間の『善』をスタートとして思想を展開した孟子と 人間の『自然状態』を根底に置き思想を展開したルソーの哲学が一致を見るのは非常に面白い関係だと感じます。 ルソーは18世紀の人です。 孟子の思想が如何に先進的だったかが見て取れますね。 孟子の思想をまとめた七編の書である【孟子】は 宋代、朱熹によって儒教の重要な経典である『四書』に認定され 孔子と孟子の思想は『孔孟の教え』として儒教の中心に位置づけられることになります。 『五十歩百歩』『余裕綽綽』『似て非なるもの』 『去る者は追わず、来る者は拒まず』 なども【孟子】が起源だと言われています。 ご興味がありましたら、ぜひ手にとって読んでみてください。
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