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生まれか、育ちか?|脳と自由意志 #4

2021-09-06 06:10:19 | 哲学の窓

哲学チャンネル より 生まれか、育ちか?|脳と自由意志 #4を紹介します。

ここから https://www.youtube.com/watch?v=dbMZJe8NfCM

※関連した過去動画 【<わたし>はどこにあるのか】の解説をします|脳と自由意志 #0 https://youtu.be/vQltzaI9ZHY 【脳白紙説】脳に先天的な構造は備わっているのか?|脳と自由意志 #1 https://youtu.be/6COUkg3I5GE 脳は先天的に何かの構造を持っているのか?|脳と自由意志 #2 https://youtu.be/NapwMeFIFos 生まれか、育ちか?|脳と自由意志 #3 https://youtu.be/as93k8EPdwE 脳の再編成(脳に司令塔はいるのか?)|脳と自由意志#5 https://youtu.be/3EV16sUSqyc 左脳と右脳は別人格なのか?|脳と自由意志#6 https://youtu.be/udin52liLAw 管理者がいないのに脳が正常に動く理由|脳と自由意志#7 https://youtu.be/bgjQ9ojMoJ0 <わたし>の根源は左脳にある?|脳と自由意志#8 https://youtu.be/APqwL6p3VVI 未来は数式で予想できるのか?|脳と自由意志#9 https://youtu.be/Z7Xocqyb_c8 無秩序から秩序が生まれる仕組み【創発】|脳と自由意志#10 https://youtu.be/vqp-nSezNwE <わたし>はどこにあるのか|書評  脳と自由意志#11 https://youtu.be/HngIjRW8aX4 ※書籍 〈わたし〉はどこにあるのか――ガザニガ脳科学講義 https://amzn.to/34nFlxJ
 
動画の書き起こし版です。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 1974年。ある発見が人類学に激震をもたらしました。 それが400万年前の化石人類である 『アウストラロピテクス・アファレンシス』 【ルーシー】と名付けられたこの化石の特徴は 完全二足歩行にもかかわらず、脳が極端に小さいことを示しました。 それまで、人間は脳が大きくなったことによって知能を獲得し その知能を活かすために二足歩行へと移行したと考えられていました。 しかし、この化石の発見によって『二足歩行が先で、脳の発達はその後に訪れた』可能性が指摘されたのです。 心理学者のレオン・フェスティンガーは 二足歩行を「ほとんど致命的な特徴」と表現しました。 動物であった現生人類において、 二足歩行によって失った運動能力は非常に大きく、 それまで以上に捕食者に対する危険性が増したと考えられます。 同時に、二足歩行によって産道も狭くなりました。 これにより、未熟な状態で子供を出産することとなり、 より自然状態での生存に赤信号が灯ったのです。 普通であればこの致命的な特徴により、 人類は自然淘汰されていたことでしょう。 しかし、人類はそれを克服するために集団生活を始めます。 これが、脳の進化に大きな影響を与えました。 集団で生活することにより、社会性が必要となり 地面から解放された両手は創意工夫で様々な発明を行い そして人類の特徴でもある【模倣】によって生活を激変させていきます。 まさに、人間は知能を武器に生存戦略を組み立てたのですね。 また、集団生活によって食料の安定した摂取も可能になり、 カロリーを大量に消費する脳の肥大化の準備も整いました。 こうして、自然淘汰の力によって脳が大きい個体が生存と世代交代を繰り返し 人間の脳はだんだんと大きくなってきたと考えられています。 しかし、脳は大きければ大きいほど優秀なのでしょうか? かのダーウィンは 「ヒトと高等動物の隔たりはたしかに大きいが、 それはあくまで程度の差であって、種類の違いではない」 と語ったといいます。 つまり、人間の脳と他の霊長類の脳とでは、 違うのは大きさだけであり、機能はほとんど一緒である。 人間の脳が大きいために人間が人間であることができている。 そのような考えが1960年代までは一般的でした。 iPhone3と最新のiPhoneにおいて、一番の違いはそのスペックでしょう。 しかし、スペックは違えど基本的な構造に大きな差はありません。 ダーウィン的な人間と霊長類との違いは、この関係に似ているかもしれません。 一方で、コロンビア大学人類学教授のラルフ・ホロウェイは 人間と他の霊長類の脳にはもっと決定的な違いがあると考えました。 彼は小頭症という病気を例に挙げてダーウィンの説に反論します。 他の霊長類と比べても圧倒的に脳が小さい小頭症患者が 不便なく言葉を操れるのは一体どういうことか? 1999年には人間と霊長類の脳組織の差異が顕微鏡レベルで確認されたことで 『人間の脳と、他の霊長類の脳には大きさ以外に決定的な違いがある』 という認識が浸透しました。 つまり、人間の脳が最新のiPhoneだとしたら、 他の霊長類の脳はポケベルだったのです。 同じ通信デバイスでありながら、スペックの差だけではなく 圧倒的な構造の違いが認められたのです。 諸説ありますが、人間とチンパンジーの遺伝情報は99%一致している。 という有名な話があります。 ちなみに人間とバナナは50%、人間と犬は80%の一致とされます。 このことから長らくチンパンジーと人間は非常に近い存在だとされてきましたが どうやら脳の構造において、チンパンジーは人間よりも他の大型猿人類と近く その構造はむしろ古代の猿と大きく変わらないという結論が導き出されました。 人間の脳は進化の過程で大幅な『再編成』をしたらしい。 霊長類の脳の上位互換と捉えられていた人間の脳は、 実は全く別物の何かである可能性が生まれたのです。 そして、その再編成にこそ【意識】のヒントが隠されていていました。 動物には意識がないという人がいます。 現時点では確かめようがないためなんとも言えない主張です。 しかし仮に人間以外の動物に意識がないのだとしたら その『差』は今回解説した【再編成】にある可能性があります。 つまり、人間は進化の過程で【意識】を獲得したのかもしれない。 では、人間特有の脳の構造とは一体どのようなものなのでしょうか? 次回はそれについて触れたいと思います。

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