内藤正一／ものづくり中部の革新者たちⅢ

2022-10-20 06:40:22 | ものづくり・まちづくり

もづくり中部の革新者たちⅢ　より　内藤正一を紹介します。

去る2022（令和４）年９月10日（土）に名古屋都市センター（金山南ビル内）　11階「まちづくり広場・企画展示コーナー」で行われた、第17回パネル展での学びを振り返ります。

ここから　http://csih.sakura.ne.jp/panerutenn.html

今回は、内藤正一　技術者のプライドは高く　ーブランドネームに翻弄されたキャプトン-　

ものづくり中部の革新者たち Ⅲ

内藤正一　技術者のプライドは高く　ーブランドネームに翻弄されたキャプトン-　

■　国産エンジンの製造に着手
1899 (明治32)年、内藤正一は愛知県の祖父江に生まれ、名古屋に出て機械製造の技術を身につけ、1927(昭和2)年に同市内玉船町に合資会社「高内製作所」を設立した。自動車、オートバイエンジンの製造を開始し、 1932年には前輪駆動方式の小型自動車「みづほ」を少数生産発売している。

■オートバイ「キャプトン」の誕生
キャプトン (CABTON) の車名の由来は「Core And Buy To Osaka Naka-gawa」の頭文字で「大阪の中川商店へ買いに来てくだい」を意味している。中川商店は戦前に英車アリエルを輸入販売していた店で、アリエルをモデルとした国産オートバイがキャプトンであった。中川商店は1936(昭和11)年より、キャプトンの製造を内藤に依頼した。内藤は高内製作所を「みづほ自動車製作所」に社名変更して中部地方で最初の国産オートバイメーカーとなったのである。

■ダブルネーム「キャプトン」と「みづほ」
キャプトンは戦前に中川商店から約600台販売された。戦後、内藤はキャプトンの製造を実績に「みづほ (MIZUHO)」の車名で自ら本格的に犬山でオートバイを生産し販売する計画を立てた。しかし、大手代理店から、すでにキャプトンは戦前に大型高級パイクのブランドイメージが定着していて、車名変更はかなわなかった。最盛期は1953(昭和28)年で年間生産台数2万台、資本金 1億円従
業員 800余名と陸王、メグロと並ぶ大型オートバイメーカみづほ自動車出典:名古屋オートバイ王国」に急成長したのである。
内藤は積極的に設備投資をするとともに、東宝映画第一作の「ゴジラ」(1954年) とタイアップするなど広告宣伝に力を入れた。その結果、みづ自動車製作所の名前は知らなくても、キャプトンを知らない人はいないと言われるほどになった。
内藤は売れ続けるキャプトンに対して、どうしても技術者のプライドを捨てきれず、キャプトンのマークに“騎士”と“内藤の語呂合わせで「KNAIGHTLY CABTON」を入れたり、キャプトンマークを小さくしてみずほ大きくして重ねたりした。戦後のオートバイメーカー乱立による競争化で、みづは自動車製作所は大幅な値下げをして薄利多売の販売戦略に出た結果、品質の低下を招き、ブランドイメージが下がり1956年に渡りを出し負債総額9億円かとも言われる大型倒産となった。

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