昭和天皇の貴重な記録が話題になるでしょう。
今朝の社説を見てみましょう。
朝日新聞
・ 名護市議選―地域の意思、尊重せよ
・ 昭和天皇実録―歴史と向き合う素材に
読売新聞
・ 昭和天皇実録 史実解明へ一層の情報公開を(2014年09月09日)
・ 南アジア外交 海洋安保協力を拡大したい(2014年09月09日)
毎日新聞
・ 昭和天皇実録 国民に開く近現代史に NEW (2014年09月09日)
日本経済新聞
・ 「実録」公開を機に昭和史研究の進展を
・ 南アジアとの協力を息長く
産経新聞
・ 昭和天皇実録 「激動の時代」に学びたい
・ 非常任理事国 積極的平和貢献に生かせ
中日新聞
・ 昭和天皇実録 未来を考える歴史書に
・
※ 昭和天皇実録の社説を紹介します。
朝日です。
「昭和の時代が教えるのは、選挙で選ばれていない世襲の元首を神格化し、統治に組み込んだ戦前のしくみの誤りだ。その反省から形成された現代の社会を生きる私たちは、絶えずその歴史に向き合い、議論を深めていく必要がある。」
朝日らしい、重い社説です。
読売です。
「戦後に関しては、「A級戦犯」の靖国神社合祀ごうしに対する感想など、昭和天皇の言葉が具体的に紹介されていない部分が目立つ。宮内庁は「個々の場面で総合的に判断した」と説明するが、肩すかしの感は否めない。
今後、史実の解明をより進めていくためには、実録の編纂に使用した侍従日誌、女官日誌などの開示が欠かせない。」
これは一般的な意見でしょう。
毎日は渾身の一本仕立てです。
「なぜ私たちが昭和史を絶えず振り返り、そこから学び取ろうとするのだろうか。今の時代が抱える大きな課題の根っこが、昭和にあるからだ。政治、外交、経済のみならず、生活様式や価値観まで多岐にわたる。
そして、続けなければならないのは「なぜ、あの破滅的な戦争は回避できなかったのか」という問いかけである。この実録の中でも、開戦前後の事態の推移がとりわけ注目されたポイントの一つだった。しかし解明にはまだ遠い。
まして、国内外に空前の苦難と大転換をもたらした戦争の当事者や体験者が少なくなった今、実録を、昭和に学び、未来に生かす基礎史料として国民に開かれたものとしたい。
あの戦争で、坂道を転じるように、雪だるま式に危機を膨らませ破綻したプロセスは、決して単線的ではなく、その解明は容易ではない。しかし、それは今極めて重要な教訓になるものである。」
これも重く受け止めなくてはなりません。
日経です。
「実録は約1万2千ページ。これまで明らかになっている側近の日記や本紙の「富田メモ」報道など新聞記事のほか、これまで知られていなかった戦時下の侍従長・百武三郎の日記、非公開の侍従日誌なども含め、3千あまりの資料を参考に、宮内庁の職員が編さんした。編さんには当初予定の16年を大幅に超える24年間かかった。
注目されていたのは、即位から戦争・敗戦を経て占領されるに至る時期の天皇の言行に新しい事実があるかどうかだった。実録からは、戦争という国の存亡に関わる事態に直面し、国家元首、統治権の総攬(そうらん)者として日々苦悩する素顔が透けてみえる。」
具体的な内容から論を組み立てる日経らしい書き方です。
注目の産経です。
「昭和21年から29年にかけ、戦禍で傷ついた国民を励ます全国巡幸は約3万3千キロに及んだ。天皇は一人一人に生活状況を聞くなど実情に気を配った様子も分かる。国民が一体感を持ち、奇跡ともいわれる復興を遂げた当時のことを多くの人に知ってもらいたい。」
「24年かけて編纂に当たった関係者の労を多としたい。
平成になって四半世紀余りが過ぎ、激動の時代を身をもって体験した世代も少なくなりつつある。来年は終戦70年の節目を迎えるが、国をいかに守り繁栄させていくかなど、昭和から引き継いだ宿題もなお多い。
貴重な記録が映し出した時代から学び考えていきたい。」
さすがに、最も好意的にとらえています。
中日です。
「大きな戦争の時代を生きた昭和天皇であったために、さまざまな場面での発言が重みを持って伝わる。一九三七年の日中戦争直前、宇垣一成陸軍大将に「厳に憲法を遵守(じゅんしゅ)し、侵略的行動との誤解を生じないようにして東洋平和に努力するように」と語った-。
四一年に対米戦争に踏み切ったときは「今回の開戦は全く忍び得ず」と詔書に盛り込むように希望した-。四五年八月の御前会議では「戦争を継続すれば(中略)国家の将来もなくなる」と終戦の聖断を下した-。戦争に苦悶する昭和天皇の姿が浮かび上がる。
現在の日本国憲法についても「戦争放棄の大理想を掲げる憲法に、日本はどこまでも忠実でありたい」とも述べている。
一方、戦後に昭和天皇が米軍による沖縄占領の継続を希望したと記した米国の報告書も引用されている。「占領は米国の利益になり、日本の保護にもなる」と考えたとされる。果たせなかったが、沖縄訪問を強く望んだのも、天皇が沖縄に抱いた贖罪(しょくざい)の意識の反映ではなかろうか。
来年は戦後七十年を迎える。再び戦争の悲劇を招かぬよう、昭和という時代の歩みを振り返って、未来につなげたい。」
沖縄に最も思いを寄せる中日らしい社説です。
やや読売が一般的すぎた嫌いがありますが、各社とも十分に読み応えがありました。
今朝の社説を見てみましょう。
朝日新聞
・ 名護市議選―地域の意思、尊重せよ
・ 昭和天皇実録―歴史と向き合う素材に
読売新聞
・ 昭和天皇実録 史実解明へ一層の情報公開を(2014年09月09日)
・ 南アジア外交 海洋安保協力を拡大したい(2014年09月09日)
毎日新聞
・ 昭和天皇実録 国民に開く近現代史に NEW (2014年09月09日)
日本経済新聞
・ 「実録」公開を機に昭和史研究の進展を
・ 南アジアとの協力を息長く
産経新聞
・ 昭和天皇実録 「激動の時代」に学びたい
・ 非常任理事国 積極的平和貢献に生かせ
中日新聞
・ 昭和天皇実録 未来を考える歴史書に
・
※ 昭和天皇実録の社説を紹介します。
朝日です。
「昭和の時代が教えるのは、選挙で選ばれていない世襲の元首を神格化し、統治に組み込んだ戦前のしくみの誤りだ。その反省から形成された現代の社会を生きる私たちは、絶えずその歴史に向き合い、議論を深めていく必要がある。」
朝日らしい、重い社説です。
読売です。
「戦後に関しては、「A級戦犯」の靖国神社合祀ごうしに対する感想など、昭和天皇の言葉が具体的に紹介されていない部分が目立つ。宮内庁は「個々の場面で総合的に判断した」と説明するが、肩すかしの感は否めない。
今後、史実の解明をより進めていくためには、実録の編纂に使用した侍従日誌、女官日誌などの開示が欠かせない。」
これは一般的な意見でしょう。
毎日は渾身の一本仕立てです。
「なぜ私たちが昭和史を絶えず振り返り、そこから学び取ろうとするのだろうか。今の時代が抱える大きな課題の根っこが、昭和にあるからだ。政治、外交、経済のみならず、生活様式や価値観まで多岐にわたる。
そして、続けなければならないのは「なぜ、あの破滅的な戦争は回避できなかったのか」という問いかけである。この実録の中でも、開戦前後の事態の推移がとりわけ注目されたポイントの一つだった。しかし解明にはまだ遠い。
まして、国内外に空前の苦難と大転換をもたらした戦争の当事者や体験者が少なくなった今、実録を、昭和に学び、未来に生かす基礎史料として国民に開かれたものとしたい。
あの戦争で、坂道を転じるように、雪だるま式に危機を膨らませ破綻したプロセスは、決して単線的ではなく、その解明は容易ではない。しかし、それは今極めて重要な教訓になるものである。」
これも重く受け止めなくてはなりません。
日経です。
「実録は約1万2千ページ。これまで明らかになっている側近の日記や本紙の「富田メモ」報道など新聞記事のほか、これまで知られていなかった戦時下の侍従長・百武三郎の日記、非公開の侍従日誌なども含め、3千あまりの資料を参考に、宮内庁の職員が編さんした。編さんには当初予定の16年を大幅に超える24年間かかった。
注目されていたのは、即位から戦争・敗戦を経て占領されるに至る時期の天皇の言行に新しい事実があるかどうかだった。実録からは、戦争という国の存亡に関わる事態に直面し、国家元首、統治権の総攬(そうらん)者として日々苦悩する素顔が透けてみえる。」
具体的な内容から論を組み立てる日経らしい書き方です。
注目の産経です。
「昭和21年から29年にかけ、戦禍で傷ついた国民を励ます全国巡幸は約3万3千キロに及んだ。天皇は一人一人に生活状況を聞くなど実情に気を配った様子も分かる。国民が一体感を持ち、奇跡ともいわれる復興を遂げた当時のことを多くの人に知ってもらいたい。」
「24年かけて編纂に当たった関係者の労を多としたい。
平成になって四半世紀余りが過ぎ、激動の時代を身をもって体験した世代も少なくなりつつある。来年は終戦70年の節目を迎えるが、国をいかに守り繁栄させていくかなど、昭和から引き継いだ宿題もなお多い。
貴重な記録が映し出した時代から学び考えていきたい。」
さすがに、最も好意的にとらえています。
中日です。
「大きな戦争の時代を生きた昭和天皇であったために、さまざまな場面での発言が重みを持って伝わる。一九三七年の日中戦争直前、宇垣一成陸軍大将に「厳に憲法を遵守(じゅんしゅ)し、侵略的行動との誤解を生じないようにして東洋平和に努力するように」と語った-。
四一年に対米戦争に踏み切ったときは「今回の開戦は全く忍び得ず」と詔書に盛り込むように希望した-。四五年八月の御前会議では「戦争を継続すれば(中略)国家の将来もなくなる」と終戦の聖断を下した-。戦争に苦悶する昭和天皇の姿が浮かび上がる。
現在の日本国憲法についても「戦争放棄の大理想を掲げる憲法に、日本はどこまでも忠実でありたい」とも述べている。
一方、戦後に昭和天皇が米軍による沖縄占領の継続を希望したと記した米国の報告書も引用されている。「占領は米国の利益になり、日本の保護にもなる」と考えたとされる。果たせなかったが、沖縄訪問を強く望んだのも、天皇が沖縄に抱いた贖罪(しょくざい)の意識の反映ではなかろうか。
来年は戦後七十年を迎える。再び戦争の悲劇を招かぬよう、昭和という時代の歩みを振り返って、未来につなげたい。」
沖縄に最も思いを寄せる中日らしい社説です。
やや読売が一般的すぎた嫌いがありますが、各社とも十分に読み応えがありました。