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国連 国際組織犯罪防止条約

2017-03-04 06:07:34 | 雑学雑考
国連の国際組織犯罪防止条約とは?

外務省のページから見てみましょう。

 ここから http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/soshiki/boshi.html

次のように説明されています。
我が国において,国際組織犯罪防止条約を締結することにつき,2003年5月に既に国会の承認が得られましたが,条約を実施するための国内法が国会で未成立のため,この条約を締結するには至っていません。

我が国以外の全てのG8諸国を含め187か国もの国・地域(2016年12月20日現在)がこの条約を締結済みです。

我が国がこの条約を締結することにより,深刻化する国際的な組織犯罪に対する国際的な取組の強化に寄与することができると考えています。

国際社会からの要請も踏まえ,早期にこの条約を締結することが,我が国の責務です。


これを読む限りその通りです。

1 背景 を見てみましょう。
 近年,交通や通信手段の高速化,金融,ITサービスその他のネットワークの広がりに伴い,急速に複雑化,深刻化している国際的な組織犯罪に効果的に対処するために,各国が自国の刑事司法制度を整備・強化し,国際社会における法の抜け穴をなくし,国際的な組織犯罪の防止のための国際協力を推進する必要性が高まり,国際的な規範作りが求められるようになりました。

これも理解できます。

では、なぜ日本は締結できないのでしょうか?

法務省のサイトでは次で説明しています。
 http://www.moj.go.jp/houan1/houan_houan23.html

この条約は,国際組織犯罪対策上,共謀罪などの犯罪化(注)を条約加入の条件としています。しかし,我が国の現行法上の罰則には組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪の共謀行為を処罰する罪がない

日本には、「組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪の共謀行為を処罰する罪がない」のです。
となれば必要でしょう。

さて、マスコミは何を問題にしているのでしょうか。

今朝の朝日の社説です。
「かつて国会に提出された共謀罪法案をめぐっては、市民団体や労組の構成員も摘発されるおそれがあるとの指摘があった。そこで政府は、「重大な犯罪の実行を目的とする組織的犯罪集団」との要件を追加し、不安の解消を図ったと説明する。一方で、正当な活動をしていた団体でも性格が一変すれば、当然、対象になるという。

 問題は「一変」と判断する根拠であり、その証拠をいつ、どうやって集め、捜索などの令状を出す裁判所に説明するかだ。ここがあいまいなため、ふつうの人にも幅広く監視の網がかかることに変わりはないとの批判が出ている。しかし金田法相は「捜査を始める時期は一概に言えない。疑いの程度次第だ」という答えに終始している。

 性格が一変した例として首相が挙げるのがオウム真理教だ。

 ならば、ヨガのサークルから始まった集団の性格が変わったと認定できるのは、ふり返ってどの時点か。いかなる証拠や事実からそう判断できるのか。あるいは最後まで認定は難しいのか。新法の下ではどんな展開があり得るのか――などを、具体的に説明してもらいたい。」

これは屁理屈です。
反対のための反対です。

中日は、もっと理論的です。
「実際に明らかになった原案には、テロの定義もテロの文字もなかった。これでは看板と中身が一致しない。しかも、目的は国連の国際組織犯罪防止条約の締結であるから、どう考えても共謀罪である。

 国連が求めるのは、国境をまたぐマフィアなど組織犯罪対策だ。金銭的・物質的な利益を得る犯罪、つまり麻薬や人身売買、マネーロンダリング(資金洗浄)などが念頭にある。国連の立法ガイドには「目的が非物質的利益にあるテロリストグループは原則として含まれない」と記していることからも明白だ。

 日本の場合、共謀罪を創設しなくとも、マフィアや暴力団などの犯罪に対処できる国内法は十分に整っている。とくに重大な犯罪については、十三の共謀罪、三十七の予備罪も持っている。つまり現行法のままで条約を批准できる-。そんな議論によって、過去三回、この法案を阻止・廃案にしてきた経緯がある。」

「現行法のままで条約を批准できる」とあります。
しかし、ならばどうして締結できていないのか?
そこを解説してほしいものです。

「国際組織犯罪防止」は、みんなでやらなければいけません。

その前提の上で、マスコミには解説を願いたいものです。











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