論文紹介 佐渡鉱山と朝鮮人労働者(1939~1945)広瀬 貞三
ここから https://cc.nuis.ac.jp/library/files/kiyou/vol03/3_hirose.pdf
1月28日に次の記事を紹介しました。
佐渡金山についての一次資料です。
広瀬氏の論文を、上記の資料と重ねながら読みました。
多くの資料からまとめあげたすぐれた論文です。広瀬先生には敬意を表します。
ただ、朝鮮資料研究会で報告した論文が元になっており、朝鮮側の期待に合ったものになっている感はぬぐえません。
例えば次の表現です。
佐渡鉱業所では「佐渡鉱山鉱夫扶助内規」が設けられていたが、これが朝鱒人に適用されたかどうかは不明である。
「内鮮の区別なく」と書かれているの・・・
佐渡鉱業所では「継続就労手続修了者ニハ対シテハ適当時期二各個二個人表彰状ト相当ノ奨励金ヲ授与」することで、朝鮮人の就労「継続」を計った。これらの事実は「募集」形式でありながら、実態は強制労働であったことをよく示している。
「個人表彰」「奨励金ヲ授与」することが、実態は強制労働であったといえるのか?
AはB。だからC
一次資料により「AはB」の部分がほぼ同じであることが確認できます。
「C」が違うのです。高鳥氏と広瀬論文は真逆なのです。
広瀬貞三氏は、現在福岡大学 人文学部東アジア地域言語学科 教授です。学位は、文学修士(碩士)を大韓民国・高麗大学大学院史学科で取っています。
もちろん、当時から朝鮮人に対する差別があったのは事実でしょう。
佐渡に限らず、私の住む地域でもよく聞いた話です。
ただ、それは、現在の韓国での日本たたきと違い、少なくとも公の機関を挙げてのことではありません。
もう一度冷静に読み込みたいのは、組織として「強制動員」があったのかを、感情論を切り離して考えてみたいと思います。