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パイドロス|プラトン 紹介

2021-08-23 06:10:32 | 哲学の窓

より パイドロス|プラトン 紹介を紹介します。

ここから https://www.youtube.com/watch?v=ZFyW9OAOXVE

※関連した過去動画
西洋哲学史 古代ギリシャ哲学解説【プラトン】① 〜イデア論・善のイデア〜 https://youtu.be/cbAuGHu64ao
西洋哲学史 古代ギリシャ哲学解説【プラトン】② 〜洞窟の比喩・魂の三分説〜 https://youtu.be/380PhfEu70Q
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動画の書き起こし版です。
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【パイドロス】はソクラテスとパイドロスという知識人との対話編です。 パイドロスは【饗宴】や【プロタゴラス】にも登場しますね。 かれは弁論家であるリュシアスを大変に尊敬しており、 彼が書いた恋についての物語に感銘を受け、ソクラテスにそれを聞かせます。 その物語では【恋】を徹底的に否定します。 恋とは狂気であり、狂気は人を不幸にする悪いものだから恋は悪いものだ。 従って、パートナーを選ぶ際には自分に恋している人間ではなくて 自分に恋をしていない人間を選ぶ方が良い。 突拍子もない理論にも思えますが、 リュシアスはその弁論術を巧みに利用しこの理論に正当性を持たせます。 これを聞いたソクラテスが『恋は良くない』立場の説得と、 『恋は良い』立場の説得を一人二役でやってみせることで 恋についての本質、さらには弁論術の本質について明らかにしていく。 これが本書の構成です。 この動画ではプラトンがソクラテスを通して語った【恋】と【弁論術】について 概要だけ説明させていただきます。 まず【恋】について。 リュシアスは恋を狂気だと見做し、悪いものだと断定しましたが ソクラテスは『狂気とはそもそも何か?』について定義します。 この定義にはイデア論が深く関わりますので ご存じない方は概要欄のプラトン解説をご覧ください。 まず、前提として不死なる魂という存在を想定します。 ソクラテスは不死なる魂を『翼を持った二頭の馬とその手綱を取る馭者』のイメージで表現します。 完全な翼を持った魂は宇宙を巡り、真実在(イデア)の世界にたどり着きます。 しかし馭者が操る二頭の馬は全く正反対の性質を持っています。 片方は資質も血筋も美しく良い馬。もう片方はその真逆の性質を持つ馬です。 この二頭の馬を正しく従えることができないと、イデアにはたどり着けず宇宙をさまようことになります。 そして、堕落した魂が肉体に住み着くことによって我々が生み出される。と考えます。 神々の魂を引く馬はその性質も善良なものですので確実にイデアにたどり着けます。 神々に従う軍勢はイデアにたどり着けるもの、そうでないものに分かれます。 この中で、一度でもイデアにたどり着けた魂が後に人間の肉体に入るといいます。 人間の徳に差があるのはこのような違いによるとプラトンは考えていたようです。 そして、イデア界にて直観する様々な真実在の中でも 飛び抜けて印象が強いのが『美のイデア』です。 あらゆる概念(正義・節制など)は直視することができませんが 美だけは視覚で捉えることができるため、 強烈な印象が魂に残るということですね。 イデア論において『想起する』と表現される真実在の認識は このような魂の記憶を思い出すことを示しているのです。 ソクラテスは狂気を『神から授けられたもの』と表現します。 つまり、イデア界での記憶を想起し表現することは 現実世界では狂気として扱われるというんですね。 そして、その最たるものが【美】に対する狂気であり、 それこそが【恋】であると捉えたのです。 このことから、恋とは狂気であり、狂気とはイデアの直観であり、 それすなわち真実に一番近い状態のため、 恋は素晴らしい行為であると結論づけます。 この理論にすっかりやられてしまったパイドロスは 尊敬しているリュシアスの理論について 「あれはなんだったんだ」 と疑問を持つようになります。 物語の後半では、パイドロスの疑問をスタートに 弁論術とはどうあるべきか?について語られます。 ソクラテスは、発言すること、ものを書くこと自体に罪はないといいます。 現在の弁論術の問題は、魂を間違った方向に誘導することであり、 しかもその発言をする人間が、徳(本質)について何も理解していないことにあると。 何かを語る人、ものを書く人は、本質がどのようなものであるか十分に知り 自分の発言した(書いた)内容に責任を持ち、その言葉が非難にさらされたときに 自らそれを証明することができる必要があると主張します。 結びにソクラテスはこういいます。 「これを【知者】と呼ぶのは、パイドロス、どうもぼくには、だいそれたことのように思われるし、それにこの呼び名は、ただ神にのみふさわしいものであるように思える。むしろ【愛知者(哲学者)】とか、あるいは何かこれに類した名で呼ぶほうが、そういう人にはもっとふさわしく、ぴったりするし、適切な調子を伝えるだろう。」 パイドロスでは【恋】という一つの本質を探究する過程で 本質を追究するとはどういうことなのか?についても提示しているといえます。 同じテーマでも解釈を180度変えることができるという体験 本質を探るための方法論 イデア論のイメージ的理解 このあたりにご興味がある方には非常におすすめです。 哲学書の中では平易な部類ですし、 150ページほどとボリュームも短めです。 個人的にはプラトン作品の中でもとびきり好きです。 ぜひ参考にしてください。
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