科学と人間 野依 良治
中日新聞の夕刊は、実にクオリティが高い。
これはいつも言っていることですが、今日(平成25年2月4日)の夕刊には、野依教授のコラムがさりげなく語っていました。
「紙つぶて」です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/2a/f8ef766de5cf7b4fc319d3c4ebd71d11.jpg)
これは、まさに野依哲学。
データとして再掲します。
科学と技術はもともと違う。科学技術基本法など公用語の「科学技術」は「科学及ぴ技術」を意味する。一方、一般社会では「科学知識を活用する技術」として定着している。真理を探究する科学とは異なり、技術は人類が自然と対峙して生きるために編み出した技。石器など道具の発明にさかのぼり、車輪を考え出して活動範囲を広げた。エネルギー源には水力、風力、火力を用いたが、牛馬とともに多大の肉体労働も必要だった。
人間の五感と能力を使ったかつての伝統技術は、宗教や習俗を含む文化とも深く関わった。紀元前二六〇〇年ごろのクフ王の大ピラミッド、二千年にも及ぶ万里の長城の建造を思うとき、先人の偉大な構想力と高度な技術力に敬意を表さざるを得ない。
自然科学の発展で二百五十年にわたる現代文明は「科学技術」を選択。科学知識を組み合わせて電力利用、自動車、水の供給、高度医療などの技術システムを生み出した。近代農業の食糧生産が七十億の世界人口を支え、先進国の平均寿命は四十五年から八十年に伸ぴた。情報通信機器をはじめ多様なエレクトロニクス、コンピューター技術は人々の生来の五感、身体能力を拡大した。
グローバル文明は速やかに伝わるが、恩恵とリスクは表裏一体。エネルギー枯渇は最も深刻な問題だ。米国民一人当たりの年間エネルギー消費は一万㍑の原油、百三十人分の肉体労働に匹敵するという。便利な生活様式を選択したが、迫り来る危機に責任を回避したまま。現代人の価値観に問題があることは明白だ。(理化学研究所理事長)
「科学と技術はもともと違う。」
短いコラムですが、人類への警鐘の確かな軌跡として、ここに記録しておきます。
中日新聞の夕刊は、実にクオリティが高い。
これはいつも言っていることですが、今日(平成25年2月4日)の夕刊には、野依教授のコラムがさりげなく語っていました。
「紙つぶて」です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/2a/f8ef766de5cf7b4fc319d3c4ebd71d11.jpg)
これは、まさに野依哲学。
データとして再掲します。
科学と技術はもともと違う。科学技術基本法など公用語の「科学技術」は「科学及ぴ技術」を意味する。一方、一般社会では「科学知識を活用する技術」として定着している。真理を探究する科学とは異なり、技術は人類が自然と対峙して生きるために編み出した技。石器など道具の発明にさかのぼり、車輪を考え出して活動範囲を広げた。エネルギー源には水力、風力、火力を用いたが、牛馬とともに多大の肉体労働も必要だった。
人間の五感と能力を使ったかつての伝統技術は、宗教や習俗を含む文化とも深く関わった。紀元前二六〇〇年ごろのクフ王の大ピラミッド、二千年にも及ぶ万里の長城の建造を思うとき、先人の偉大な構想力と高度な技術力に敬意を表さざるを得ない。
自然科学の発展で二百五十年にわたる現代文明は「科学技術」を選択。科学知識を組み合わせて電力利用、自動車、水の供給、高度医療などの技術システムを生み出した。近代農業の食糧生産が七十億の世界人口を支え、先進国の平均寿命は四十五年から八十年に伸ぴた。情報通信機器をはじめ多様なエレクトロニクス、コンピューター技術は人々の生来の五感、身体能力を拡大した。
グローバル文明は速やかに伝わるが、恩恵とリスクは表裏一体。エネルギー枯渇は最も深刻な問題だ。米国民一人当たりの年間エネルギー消費は一万㍑の原油、百三十人分の肉体労働に匹敵するという。便利な生活様式を選択したが、迫り来る危機に責任を回避したまま。現代人の価値観に問題があることは明白だ。(理化学研究所理事長)
「科学と技術はもともと違う。」
短いコラムですが、人類への警鐘の確かな軌跡として、ここに記録しておきます。