われ泣きぬれて
蟹とたはむる 石川啄木
久しぶりに大森浜へ行った。
我が家からは車で20分ほど。
啄木が上記の歌を詠んだ場所とされている。
(諸説あるらしいけど)
右手に函館山を望む。
珍しく風のない日だ。
晴れていたが結構気温は低い。
この画像は1週間ほど前。
雪がまだたくさん残っているが2・3日前から
急に気温が上がり随分雪は少なくなった。
ジョギングの公園のレストハウスに咲くシクラメンです。
君かへす朝の舗石(しきいし)さくさくと
雪よ林檎の香のごとくふれ 北原白秋
(桐の花)
林檎の香りっていい匂いですよね。
せつない朝の別れなんですね・・・
私が今練習している書道の詩文は『北原白秋』です。
馬鈴薯の花咲き穂麦あからみぬ
逢ひ引きのごと岡にのぼれば
この叙情的な詩文を情感こめて表現するのに
大変苦労しています。
縦長の大きな紙に書いているが、いつの間にか
元気のいい字になってしまう。
この季節、海辺の風景を見ていると
いつもこの歌が浮かんでくる。
三好達治の処女詩集『測量船』の冒頭の歌です。
伊豆湯ヶ島に滞在中の友人梶井基次郎を
訪ねた帰りに詠んだものと聞いている。
上の画像は今日の函館山、外人墓地からの眺めです。
曇り空が一瞬切れて、西にかげった
太陽の光がもれていた。
『猫の死の なにほどならむと思いしが
その歌いく首得たり 涅槃西風』
荒木八洲男
*涅槃西風は(ねはんにし)と読んで釈迦入滅の涅槃会の頃に吹く
浄土からの迎えの風。
購読している新聞の読者投稿欄で
この短歌を見つけた。
実は、タマちゃんが先月4日に亡くなったのです。
15歳と4ヶ月でした。
誕生日からたった4ヶ月しか経っていない。
具合が悪くなって1週間ほどであっけなく
亡くなってしまい、なかなか現実を
受け入れられずにいました。
わたしにとっては『なにほどのこと・・・』どころか
大変な痛手で、1ヵ月たったこの頃やっと少しずつ
平常心を取り戻しつつあります。
そういうわけで、もうタマちゃんの新しい画像はなくて
撮り溜めたものを思い出と共に少しずつアップする事になります。
鳥籠をしづ枝にかけて永き日を桃の花かずかぞへてぞ見る
山川 登美子
桃の花は春を告げる明るい可憐な花だが、
この歌はなぜか寂しい雰囲気を感じさせて好きだ。
山川登美子は与謝野鉄幹に「白百合の君」と呼ばれた。
美しくて才能があって、それなのに鉄幹への恋を
晶子に譲って30歳で亡くなった。
お正月は、元日も2日もこの歌の通りの
穏やかな朝を迎えたが、
3日になると、雪が降り続き、
またしても雪かきに追われました。
よい年になりますように・・・
しおかおる きたのはまべの すなやまの
かの はまなすよ ことしもさけるや
石川 啄木
先日、初めて野鳥観察会に参加した。
鳥獣保護員の方の指導で双眼鏡の構え方、
鳥の種類や、特定の仕方、いろいろ初歩的な事を教わって楽しかった。
空を飛んでいる鳥の写真など、撮ることが出来るわけもなく、
秋の風景などを写してきたが、花の季節を終えた浜茄子が
赤い実をつけていて、印象深かった。花も実も本当に可憐です。
この実は食べられるそうです。私は食べたことはないけど。
ジャムにも出来るらしいですね。
大空は恋しき人の形見かは
物思ふごとに眺めらるらむ
古今集 読み人しらず
北国は八月も終わりに近く、暑さは続いていても
空の高さや風の匂いに秋を感じるこの頃。
秋は人を恋に誘い、詩人にする。
昔も今も空を見上げるだけで・・・
学生時代、この短歌を机近くの壁に貼って
毎日飽かず眺めていた。
恋に恋する時代を遠く過ぎました。
白き霧ながるる夜の草の園に
自転車はほそきつばさ濡れたり
高野 公彦
この短歌はとても好きで、一度書道の作品に使ったことがある。
一読しただけで,鮮やかに
夜の公園に放置された自転車のイメージが浮かぶ。
NET検索していたら、自分の抱いていたイメージと
あまりに似た写真があったので驚いた。(自転車はなかったけど・・・)
しるべせよ跡なき浪に漕ぐ舟の
行方も知らぬ八重の潮風
(しるべせよ あとなきなみに こぐふねの ゆくえもしらぬ やえのしおかぜ)
この歌は大好きな式子内親王。新古今和歌集です。
萩原朔太郎は友人の話として、この歌を朗吟すると心が誘惑され、
月光の海に人と情死がしたくなる・と言っている。
確かに声に出して読むと鮮やかにイメージが浮かび、
浪の音が聞こえるような気がする。
馬を洗はば馬のたましひ冴ゆるまで 人恋はば人あやむるこころ
(うまをあらわば うまのたましいさゆるまで ひとこわば ひとあやむるこころ)
塚本邦雄「感幻楽」(s44)
塚本邦雄が亡くなった。6月9日84歳。
この歌を初めて目にした時、とても衝撃だった。このリズム。
大岡信によると、これは初句が五音ではなく、七音で起こされ、中世歌謡の梁塵秘抄などの流れを汲んだものらしい。