すずめ休憩室

日々のこと、好きなこと、飼っていたペットのことなどなど・・・。
気の向くままにつづってみました。

読書メーターまとめ

2013年05月20日 | 漫画・本
夜さんに教えてもらって、先週分の読書メーターのまとめを作ってみました。

防備録にもなるし、いいですね。
ありがとう~夜さん!!

読書メーターでは字数制限上、簡単な感想しかかけないので、気に入った本は別に漫画の重みで床が抜けたらどーする?!で個別に紹介したいと思ってます。


ただ問題は何処までできるか・・・だな(滝汗)

動物奇想天外と歌川国芳

2009年04月16日 | 漫画・本
漫画や本の感想を別ブログ「漫画の重みで床が抜けたらどーする?!」に分けてからやや暫くたちますが、あちらで紹介したあの本から江戸時代の動物絵に興味が沸いて、買ってみたのがこちら

江戸時代の絵って言うと、「浮世絵」を思い浮かべるけれどそれだけでなく、ここに書かれている絵は毛のフワフワ感が伝わってきそうな写実的なものがあり、デフォルメされて漫画ちっくなのがありとさまざまで面白い

伊藤若冲の今にも飛び出てきそうな迫力のある鶏もいいけれど、猫好きな私としてはどーも歌川国芳に心惹かれてしまう

猫好きで知られた歌川国芳

彼の描いた猫絵はそれを見たネズミも逃げると言われたほどなのだとか・・・
しなやかで迫力のある猫から、擬人化した猫、あるいはコミカルに洒落っ気たっぷりの猫まで、彼の描く猫達はどれも素敵で面白い
彼のセンスは現代の漫画にも通じるんじゃなかろーか


 名作「猫のすずみ」

暑い夏、涼を求め川遊びにやって来た芸者(猫)
手を差し出す船頭(猫)のニヤけた目と芸者猫のしゃなりしゃなりとした柳腰がたまらん


 「金魚づくし百物語」

水を飲むふりをしながら、鉢の中の金魚を狙う猫と猫の思惑などっくにお見通しで臨戦態勢の金魚たち
横で慌てふためいている小魚にも笑える

あとこんなのも・・・
「猟人にたぬき、金魚にひごいっ子」

♪たんたんタヌキのキ○玉は~風もないのにぶ~らぶら・・・の8畳敷きのタヌキのキ○玉です(爆)
ちゃんと子タヌキも隣でぶらぶらしているのがまた可愛い


金魚は???と思ったら、この絵を黒く塗りつぶすと
なんと、なんと・・・・





金魚が現れるんですよ~
遊び心が満載でしょ??

なんか、コレ見てからますます歌川国芳に興味が出てしまって、でもこの手の美術本はお高いんだよな~(苦笑)

ひまわりっ 健一レジェンド

2008年06月12日 | 漫画・本


「ひまわりっ 健一レジェンド」 東村アキコ 講談社

美大を卒業した、林アキコ。だが世間の風は冷たかった・・・就職が決まらなかったアキコは父・健一が勤める宮崎の南九州テレホンへ電話オペレーターとして勤めることとなった。職場では「出来る上司」として認識されている健一だか、家族にとっては先が読めなく、突拍子のない健一の行動に振り回され続けたきただけあって、アキコは一抹の不安を抱えながらの仕事となるのだが・・・・


東村アキコさんが漫画家としてデビューする前のことを題材にした漫画。
弟で漫画家の森繁拓真さんも工業大学在学の弟「タクマ」としてしっかり出ています。tooruさんトコロで漫画大賞のことが話題になっていて、ノミネートされている漫画で未読だったので買ってみました。さすが、取り上げられるだけあって面白かった~宮崎が舞台と言うのもこれまた旬だし(笑)
それにしても・・・個性が強くて、爆笑モノの父・健一の伝説と言える行動が殆ど事実だというのも恐ろしい

当の東村さんのあとがき曰く「忘れたいのに忘れられない実話」なんだそうですが

考えても見てください・・・

子供たちが楽しみにしているXmassケーキを自転車の前のカゴに横にして突っ込んで(当然ケーキが偏りグチャグチャ)帰ってくる父を・・・
トロピカルフルーツを愛するあまり左遷じゃないと行かないような営業成績が悪い沖縄支店へ転勤希望を出してしまう父を・・・。
そして接木したドラゴンフルーツの生育状況が心配だからと言って、娘に毎日スケッチをさせ、それをFAXで自分へ送るように強要する父を・・・

父・健一の行動言動も面白いんですが、脇を固めるキャラたちもこれまたユニーク。
野球しかしらない男・興梠(こおろぎ)健一(通称「健一2号」)、何故かお笑いを目指す副主任、アキコを師とあおぐ漫研の2人・・・そして何より健一2号にホの字のブリっ子&二重人格、ある意味女の敵ともいえる節子。特にこの何かにつけてアキコを目の敵にする節子が入ったことにより、お笑いに走りがちな内容のこの作品にピリリとしたアクセントとなり、作品が引き締まった感じがします。

それにしても東村さんって確かIKKANさんの奥様なんだよな~

IKKANさんといえば新井祥さんの元旦那さんで、なんか濃ゆい人たちに囲まれて暮らした人って惹かれあうのかしら??とふと思ってしまったのでした。

あっ・・・実在の出来事を漫画にしているってことは健一2号との事は・・・いやいやこれは内緒

そーいや、何処の家庭でも親に関わるレジェンド(伝説)ってありませんか?
ウチの父の場合、「ご飯だよー」と言われ、テーブルについたのにテーブルの上にオカズがない・・・子供心に不思議に思っていたら、炊き上がったばかりの炊飯ジャーの中から丸○ハンバーグのレトルトパックが出てきたことが!!
本人曰く、光熱費節約のアイデアらしいのですが、熱でビニールがヘロヘロになってましたがな

そして何故か「封を切っていない羊羹は腐らない」と根拠の無い絶対的自信をもっている(爆)
ウチにもうとっくの昔に賞味期限が切れた練羊羹があるんですが、捨てようとすると怒られます(汗)以前にも捨てようとしたのが見つかり「羊羹は封さえ切っていなければ腐らないんだから」と言われ、それからまた数年経過・・・でもいつ食うんだ?その羊羹(ビンテージワインじゃないんだから・・・爆)

あと、夜勤のとき、自転車に乗って出勤したと思ったら、ものの10分もしないうちに頭から足の先までずぶ濡れで帰ってきたことがあったな・・・なんでもチャリこいでいてバランスを崩し、横の川(幅2Mほどの排水溝みたいなトコ)に自転車ごと落ちたそうなんだけど・・・(爆)
それでもシャワー浴びて着替えて、ちゃんと間に合うように職場へ行ったのには感心しましたけど

こんな親ってウチだけかしら・・・

きょうの猫村さん

2008年05月27日 | 漫画・本


「きょうの猫村さん」 ほしよりこ マガジンハウス


或る日、村田家政婦という家政婦派遣所のチャイムがなる。出ていると1匹の猫がそこにいた。かつて2丁目のお屋敷の飼い猫だったというその猫は飼い主とソリが合わずに家を出たそうで、家政婦としてここで働かせて欲しいと言う。「求人広告」を出したはずなのに「猫」?!と驚きつつも、家政婦としてバリバリに働けるその猫は「猫村さん」として、村田家政婦の一員としてそこに住むこととなる・・・


一時、大ブームになった「きょうの猫村さん」
読んでみたいなーと思いつつ、新刊だと1冊1200円ほどするので手が出せずにいました。
そんな時、ネットで知り合ったてのさんのところでこの「猫村さん」のレビューを見て、自分と漫画の趣味が似ている、てのさんのお奨めならハズレはないだろうと思い、手を出してしまいました

いや~納得

最初、この落書きのような絵(←失礼)に躊躇いはあったものの、読み勧めていくと、これがいい脱力系の癒しになっているとわかりました。
人間の言葉を喋って、料理、掃除などの家事をはじめマッサージまで出来ちゃうお手伝いの猫・・・実際にはいないんでしょうけど(笑)もし同じ内容を人間のキャラでしたしたらここまでの癒しは出来ないと思う。
「ありえない猫」という設定が、お手伝いさんと言う他人のプライバシーに入りがちな役がする、ともすれば「おせっかい」のような行動を押し付けがましくしていない気がするんですね。
そしてその猫村さんを通して「歪んだ現代の家族像」をさりげなく抉り出しているというか

昔の良き人情みたいなものがここにはあります

ネットや書籍では猫村さんが作っていた「ネコムライス」のレシピが公開されているそうですし、誰もが自分の近くにも「猫村さんがいてくれたら・・・」と思っているのかもね

これを読んで癒しを感じるというのはそれだけ今の人間関係が乾燥しているのかもしれないなぁ・・・

ちょっとお疲れ気味の時、読んでみるのがお奨めです!!

とめはねっ!3巻

2008年05月20日 | 漫画・本
  

「とめはねっ!」河合克敏 小学館 ~3巻

私立鈴里高校に入学したちょっとガチャピン似の男子高生・大江縁(おおえ ゆかり)は担任の先生に言われ、荷物を教室へ運ぶことになったのだが、そこの教室の中では書道部員が着替えの最中で、縁はノゾキと間違えられてしまう。部員数に悩む書道部は口止め料として縁を書道部への入部を強制させてしまうのだが、縁は帰国子女(男)、筆など持った事はない・・・
そんな時、縁が密かに憧れていた女子柔道の期待の星・望月結希の投げ技に巻き込まれ、腕を骨折してしまうというアクシデントが発生。
責任を感じた結希は縁のいる書道部に期限付きで入部することとなるのだが・・・


柔道、競艇とマイナー競技にスポットを当ててきた河合さんの新作。

実はプロフでも公開していますが、たれぞ~さんは高校時代に書道部に在籍しておりまして、もうツボくすぐられまくりな作品だったりします(笑)

書聖と言われた王義之(おうぎし)などの昔の書の達人の書を真似て書くのを「臨書」というんですが、臨書に関するウンチクもさることながら、河合さんのキャラ設定がしっかりしてて、地味・暗いと言われ続けた文化部の代表「書道部」をこれでもかーと楽しく表現してくれてます。

この3巻ではタイトルにもなっている書道における「とめ」「はね」についても書かれていますが、私が懐かしいなーと感じたのは手本の見方
楷書では区別がつきにくい漢字の書き順ですが、行書、草書となるとこれがとても重要になってきます。
字のバランス、そして筆運びの流れが美しさを現すことにも繋がるので、正しい書き順でその流れを切らないように書くことがとても大切

手本となる字の個性を表現しつつ、この「流れ」を切らさないように書くのが難しいのです・・・
勿論、書き順が違えば流れも変わるので、「美しい字」とはかけ離れてしまうから、先生の見かたも当然厳しい。
そんな臨書の原点を初心者の主人公を通して読者にもわかりやすく、丁寧に教えてくれていますね

そして
「大切なのは自分が興味を持って取り組むこと・・・」

作中で三浦先生の言ったこの言葉が全てにおいての原点のような気がします
「好きこそものの上手なれ」と昔の人は言ったもんだけど、やっぱり好きだと情熱が違うもんね(笑)

キャラクター構成といい、書道を知っている人にも知らない人にも楽しめる作品を作り上げられるのはさすが河合さんの技量ですね。
そして巻末では「篆刻」の話も出てきてましたが、う~んマニアック。
勿論、書道部の私も自前で作りましたともさ。

ここまで漫画でやっちゃうのもやっぱり河合さん(笑)

少女漫画

2008年04月24日 | 漫画・本
「少女漫画」 松田奈緒子 集英社クイーンコミックス


「ベルサイユのばら」「ガラスの仮面」「パタリロ!」「あさきゆめみし」「おしゃべり階段」・・・誰もが知っている王道少女漫画を題材に、それぞれに微妙にリンクしつつ現代に生きる女性を映し出したオムニバス形式の漫画です


派遣と正社員との労働格差の中で、会社へ変革を求めるようと動き出すOL
周りからは美人で才女と謳われながら、それに甘んじることなく常に努力を怠らない女子アナウンサー
パタリロ似の赤ちゃんを抱えながら「本当の育児」「子供の為の育児」を考える母親
結婚願望は無い、恋愛は軽いほうがいいと言いながら、嫉妬苦しむに女性
セレブを目指して奔走するも、本当の幸せは身近なところにあると知ったモデル


そしてやはりこの漫画の真髄は最終章「少女漫画家たち」の部分
これが無かったら、ただの漫画を題材にしたオムニバスで終っていたものが、ここで一つに結びつくというか、全ての少女漫画に通じる何かがあらわになるというか

作画技術とセンスは素晴らしいが人物に魅力を感じないと酷評された売れない漫画家・俵あんは気がつきます
自分に何が足りなかったのか?
そして子供の頃に自分が少女漫画に何を求めていたのかを・・・


あなたにも伝わるだろうか
育ち方も考え方も感じ方も違うのに

私は何も持たない子供だったけど
少女漫画があれば平気だった
それほど強い夢だった

あの頃の自分に恥ずかしくない物語を描きたい
私もあなたを励ましたい

想像以上に
厳しい世界だけど大丈夫

少女漫画はいつだって
私を励ましてくれるから


その言葉に私たちを虜にしてやまない少女漫画と言うものの本質を見た気がします。

さてさて、でっかい瞳の表紙とタイトルに惹かれて買ってしまったこの漫画ですが、この瞳なんか見たことあると思いませんか?
松田さんが「少女漫画をイメージして描いた瞳」だそうで、特に誰かを意識して描いたわけではないそうなんですが、なんか見たことあるよーな気がしてならない

案外それが皆がイメージする少女漫画の瞳というものなのかもしれないですけどね~(笑)

やさぐれぱんだ

2008年04月20日 | 漫画・本
「やさぐれぱんだ」 山賊 小学館文庫

ひぃさんのトコで紹介されていた文庫の漫画です。
なにやら怪しい(←オイ)雰囲気をかもし出しているので買ってみました~
だって「パンダ=可愛い」が昔からのイメージなのに「やさぐれ」ているんですよ。これはもう怪しいでしょう(爆)

元々webで公開されていたというこの漫画、作者の山賊さん(いえペンネームですよ、本当の山賊ではありません)と、どうみても大きさが間違えているようなパンダの掛け合い漫才のような、いやただの会話のようなダラーっとして雰囲気がなんとも言えずユルくていいです。ところどころシュールな部分がいいアクセントになっているし。
爆笑と言うより、失笑というんでしょうか・・・「くすっ」とくる笑いですね

今までこの存在すら知らなかったのですが、一部では有名らしくDVDもでているらしい・・・

 

堺雅人<青年>×生瀬勝久<ぱんだの声>×堀部圭亮<脚本・監督>だそうですよ


って堀部さんって勝俣くんの相方ですよね?!
こんな事までしていたんだー
なんか興味そそるわ

ツボにハマる人にはとっても面白いですが(私的には鬼の親分が某有名歌手のトコで吹いた・爆)、ハマるかハマらないか、はっきり分かれそうな感じかな??
興味のある人、チャレンジしてみます??

「杖と翼」番外編がPG誌6月号に掲載

2008年04月19日 | 漫画・本
「杖と翼」の番外編が2年ぶりに、しかも掲載誌をフラワーズからプリンセスGOLDに代えて5/16発売の6月号に発表されます

今回も革命初期のリュウとファーブルの逃がし屋事件簿ということで、
もしや以前のフラワーズに掲載された番外編の再録かと思って検索したところ

フラワーズに掲載された番外編は「薔薇に影射す」(50p)
今回のタイトルは「月下のフーガ」(60p)という事なので、まるっきりの新作のようです

以前の番外編は単行本にも文庫にも掲載されていない未収録品なので、これらが纏まっていつか1冊のコミックスとして出るのかもね
ファンの方、しばしお待ちを~!!

それにしても「本誌初登場」のロゴみて驚いた!!
秋田書店から「純金の童話」とか「銀昌水」古くは「アンジェリク」なんかが刊行されているけど、「プリンセス」や「ビバプリンセス」でGOLDは初めてだったのね

配達あかずきん

2008年04月16日 | 漫画・本
「配達あかずきん」 久世番子 新書館

杏子はお客のおばちゃんの意味不明な説明を聞いても希望通りのタイトルを言い当てれる凄腕の書店員。そんな彼女をはじめ「成風堂」には色んな人が働いている。
或る日、1人の青年が杏子に声を掛けてきた。寝たきりとなった知り合いの老人に頼まれた本を探し出して欲しいというのだが、そのヒントが「あのじゅーさにーち いいよんさんわん ああさぶろうに」と意味不明なモノだった。かつては本好きで数々の本を読んでいたというその老人の真意とは・・・


大崎梢さんの小説「配達あかずきん」漫画化。
久世番子さんといえば「暴れん坊本屋さん」でも知られる本屋で働いていたスペシャリスト。そんな彼女が送る本屋を舞台にしたちょっと心温まるミステリーものです。

「金魚屋古書店」が漫画好きの為の漫画なら
この「配達あかずきん」と「暴れん坊本屋さん」は本の種類を問わず、本屋に行くと「ほぇぇぇぇ~」と和んでしまう本好きの人の為の漫画というのかな?(笑)
題材として扱われている本も文庫から漫画、そして雑誌まで多種多様。
そして所々に出てくる本の名前が実際にある本のタイトルというのも結構そそる(笑)

もともと久世さんが元々本屋で働いていただけあって構成というんでしょうか?まるで見てきたかのような書店のお仕事の話に毎回本屋にちなんだ一話完結の謎解きが絡んでいい仕上がりとなってます

いやーそれにしても「暴れん坊本屋さん」しか読んだことなかったから、こういう少女マンガな絵も描けるんだーと変なトコで感心してしまった私。

お奨めです

モンキーターン

2008年04月02日 | 漫画・本
「モンキーターン」 河合克敏 小学館 全30巻

波多野憲二は野球部に所属する高校生。運動神経はバツグン良いが、小柄な体格が災いして大切な試合でスクイズを外され、チームは惜敗してしまう。自分の体格では野球の世界でNo1になれないと知り、方向性を見失っていた憲二だが、野球部監督でもある担任にある1人の女子卒業生を紹介される。その人こそ、女子競艇界でトップを走り続けるで萩原麻琴だった。熱く激しい競艇の世界を垣間見た憲二は自分の体格も活かせるこの世界に飛び込み事を決意する。


「帯をギュっとね!」「とめはね!」などの著者で知られる河合克敏さんの作品。

水上のモーター格闘技とも言われる「競艇」ですが、私は「ギャンブル」と「横山やすしさん」程度のイメージしかありませんでした(苦笑)
私に限らず、そんな人が大半かもしれませんが、この作品は初心者でもわかり易く競艇のあれこれを教えてくれます。

私も以前偶然に深夜番組で競艇レースの結果を見ていた時、1番から順に並んでいなくて不思議だったのだけど、これを読んでルールというか、スタートの合図前から目に見えぬ駆け引きが展開されていると知りました。

競馬とかは騎手と調教師という風に役割が分担されていますが、この競艇という競技は選手がただ与えられたボートに乗り速さを競うのではなく、運転技術もさることながら、ボートの分解・・調整・整備といったメンテナンス、そして勝敗に大きく関わるプロペラの選択や調整などすべての事を選手個人でしなければならないというのも面白い。
なんか奥が深い競技だなーと感じます。
あの熱狂はギャンブルが絡むという事の他に、こういう奥深さがもたらしているのかもしれないね。

そして何より感じたのは作者・河合さんの取材の緻密さ。
マイナーともいえる競艇にスポットを当てていつつ、どんな立場の人が読んでも面白く、そして傷つけない配慮がいいなーと。

例えば、競技人生を左右してしまう怪我のシーンにしても、緻密に経過などを描かれていて、漫画などではありがちな「そんなに簡単な治らないでしょ~」という様な事がない。
実際に競艇選手が読んでも真実味を感じさせ、そして同時に厳しい世界で戦う彼らに対する配慮が凄く感じる作品です

またこれは勝負という他に、人間としての成長を描いている作品でもあるように思えましたね。
勝負師というと、孤高のイメージがありますが、孤高の天才・洞口雄大に対し、ちょっとお人よしにも見える天真爛漫な主人公の憲二を通して、人との繋がりの大切さ、仲間がいるという事は何にも勝る力になるという事を伝えてくれます。
天才に勝つには仲間の力なんだと・・・

各巻の表紙内側に河合さんが実際に取材したことや作中のキャラが出る4コマ漫画風に紹介しているんですがこれもなかなかいいんですが、でも私が印象的だったのが最終巻に書かれていたあとがき

それは河合さんがある競艇選手に取材をしていた返ってきた言葉
「危なかった場面?事故とか?自分は危ないと思ったらそれ以上はいかない。
危ないかも?なんて思いつつイチかバチかなんて、あやふやな判断でレースをするから事故になる。そんなヤツがいたら自分はそいつを叱りつける」の一文

一歩間違えば生命の危険がある。

だからこそ本当の勝負師たちは「命をかけて」なんて安っぽい事は言わないんだと、実感した一言であり、そしてそれが作品の全てのシーンに、その競艇に関わる人たちが思っていることが込められていたのを再確認したあとがきでした

ギャンブルとは違う競艇の真の姿、是非味わってみてください

あっあと、既読の人にしか判らないかもしれないけど、洞口親父けっこう好きです(笑)
ラスト青島ちゃんに「誰もやったことのねえことをするんだ、苦労するんだろうな。でも10回悔しい想いをしても11回目で上手くいけばすべて報われるだろ」と激励する親父にしびれました
ハゲ頭でもがカッコよく見えちゃったわ(←やはりオヤジ好きがここに・笑)

きのう何食べた?

2008年03月24日 | 漫画・本
「きのう何食べた?」 よしながふみ 講談社

弁護士事務所で働く筧史朗は43才独身。眉目秀麗、仕事も出来る彼だが、実はゲイ。美容師である恋人の矢吹賢二とマンションで同棲生活を送ってる。男2人の生活だが毎食の食事は旬の食材を使った史朗の手作りだったりする。
身近にある食材で毎日の食卓を綴るよしなが流「美味しい生活」


お料理漫画って数々ありますが、やはりよしながさんは外せないですね
グルメ漫画と言うより、毎日の生活ってトコがいいのです。

「男の料理」というと材料を厳選して、時間と手間を掛けた趣味の料理を思い浮かべるけど(←失礼)史朗さんの作る料理は主婦の目線。スーパーでよく見かける安い食材を節約の為に底値で買い、しかも1話ごとに史朗さんが作り方を心の中で反芻する形でレシピの説明をしてくれる、そしてそれがどれも難しいものではなく、読者が本を読んで思い立って作れそうなものばかりなのがいい

1巻では・・・

・鮭とごぼうの炊き込みごはん
・いわしの梅煮
・たけのことがんもとこんにゃくの煮物
・栗ごはん
・トマトとツナのぶっかけそうめん
・鶏肉のオーブン焼き
・ナスとトマトと豚肉のピリ辛中華風煮込み
・いちごジャム

の作り方が載ってます。
またメインの料理に加え、野菜中心の副菜も必ず2~3品も載っているトコがまた親切なんだなー

登場人物同士の会話の面白さもさることながら、「幸せってこんなトコにあるんだなー」思わせてくれる漫画です
1円10円に拘る主婦が共感できる生活感と、そして何より男×女じゃなく、男×男ってトコがよしながさんらしくていいのよね

私も買った小粒のイチゴが甘さが足りなかったので、ジャム作ってみましたよ~!!

いちごジャム初体験

ちょっと煮詰めすぎちゃって色が濃くなっちゃったけど、実がゴロンとしていて美味しい~


それにしても「結局さ、四十過ぎて男の『カッコいい』って、ほぼ『痩せている』って事なのよ」ってセリフ・・・
これって女にも共通するのでは?!

このムニムニとつまめるお肉がヤバすぎます~(滝汗)


いっしょにあるこうね

2008年03月18日 | 漫画・本
「いっしょにあるこうね 盲導犬コディ」 篠原烏童 双葉社

1匹の薄茶のゴールデンレトリーバーの子犬が生をうけた。「コディ」と名づけられたその子犬はパピーウォーカーの元で数ヶ月過ごしたあと、盲導犬となるべく訓練を受け、その後1人の盲目の男性と共に暮らすこととなる・・・。


pe-さんのブログで盲導犬お話が出ていたので・・・・
漫画好きで数々の漫画を読んできましたが、「自分に子供がいたら絶対に読ませたいな~」と強く思ったのがこの漫画。
盲導犬となった1匹の子犬を通して、盲導犬の一生、そして健常者が盲導犬を連れた人にあった時、気をつけなければならない事などを優しく教えてくれています。

私は動物好きで犬でも猫でも飼い主さんが「いいですよ~」と言ってくれたら触りたくて仕方がない人なので、ついワンコが歩いていると微笑ましくなって見つめてしまいがちなんですが、盲導犬にとってはこれもタブーなんでね~

盲導犬にとってリード(盲目の人が掴まる部分)を背負っている時は警察犬なんかと同じく「お仕事中」なんですよね。ついそんなことを忘れそうになりますが、犬は元々デリケートで人間が好き。人に見つめられるという事は仕事中の犬の気を散らしてしまうことになってしまうんだそうですよ・・・知らなかった(汗)

篠原さんの書く漫画には色んな動物が出てきますが、読んでて思うのは「この方はほんと生き物が好きなんだな~」と感じるほど、愛らしく愛情たっぷりに書かれていること。

この本もそんな篠原さんの優しい目線でとても愛らしく、そして盲導犬に馴染みがない人にもわかりやすく肝心なポイントはしっかり書かれています。
また売り上げの一部は盲導犬協会へ寄付されているそうです。

目が見えることが当たり前として生活している私達ですが、そうでない人がいる事、そしてその人たちを支える盲導犬にはさまざまに人が陰で関わっているという事をこの本を通して考えてみるのもいいかもしれませんよね。

暴れん坊本屋さん

2008年03月11日 | 漫画・本
  
「暴れん坊本屋さん」久世番子 全3巻 新書館


漫画家・久世番子、彼女にはもう1つの顔がある
それは・・・本屋で働く店員さんだったのだ。
自分のコミックスを大量注文したり、大量の本のビニール掛けをしたり、そして売れなかった本を泣く泣く返品したり・・・
久世番子が実体験を元に送る「本屋さんの裏側全部見せます的エッセイ」ここに誕生!


ご存知の方も多いですが、私も漫画好きを自称するだけあって本屋さんにはお世話になってます(笑)
最近はネット書店というおウチに居ながら本を買えるという便利なものもあって、それらもかなり利用してますが、それでもあの本屋独特の雰囲気が好きで良く行きます。特にガイドブックや専門書などは見てみないと感じがつかめないから。
自分が求めるピッタリの本を選ぶのにはやっぱり直に見れる本屋さんが一番ですね。

なのでもし自分がアルバイトをする事があるなら本屋さん(しかもコミックス担当)がいいなーと漠然とし思っていましたが、なんかこれを読むと思っていたより大変・・・と思いつつも「ますます面白そう!」とも思ったり(笑)
とかく「業界のウラ話」というのは面白いもんです、うん(爆)

発売予定の新刊があの本屋に置いていなかったのはこういう訳?!
小説を買うと店員さんが優しく「カバーかけますか?」と当たり前の様に聞いてくれるけど、その心のウラにはこんな事があるとは!・・・・って感じです

本好きの人もそうでない人も楽しめる漫画です
特に本屋で働いていた人には絶対お奨め!

でも面白い漫画なのに全3巻で完結とは・・・ここにもなんらかの出版社の意図が絡んでいるのだろうか・・・(←考えすぎ?爆)


3月のライオン

2008年03月05日 | 漫画・本
「3月のライオン」 羽海野チカ 白泉社

或る日突然、家族を事故で失いたった一人になったしまった少年・桐山零。彼は自分の居場所を得るために将棋を選びプロ棋士となる。内に深い孤独を抱え、人との摩擦とトラウマで他人との交わりが苦手になっていた零だったが、下町で暮らす3姉妹と出会い、少しずつではあるが失っていた何かを取り戻していく・・・。

大ヒット作「ハチミツとクローバー」の作者、羽海野さんの最新作です。
あれほどのヒットの後、何を持ってくるんだろうと期待して手に取りましたが、まず感じたのが「コレはハチクロを超える作品になるかもしれない」と思ったこと。

ユニークなキャラ設定と一見雑めのタッチ、ところどころに折りこまれるギャグというか笑い部分に意識を取られがちになりますが、この方の書きたいモノの根本は「人」なんですよね~
今回もそれが前面に出ています
ハチクロの時もつぶやくようなセリフ回しが相まって、情感を書くのが上手いなーと思ったけど、今回はさらにそれに磨きがかかっているように思えます


僕はカッコウだ・・・
おしのけた命の上に立ち
春をうたえと呼ぶ声をきく

そして思う

いっそ本当に鳥だったらと

そうしたら
こんな激しい痛み
知らずに済んだのにと


深い深い悲しみが伝わってくるセリフです

そこまでも自分を責め続け孤独を抱え続ける主人公・零と零を取り巻く人達のほんわかとした小さなエピソードがページを読み進めるごとにまるで縦糸と横糸のように重なり合い、癒しという色をまとい、物語という1枚の布を織り上げているかのようです。
傷ついた人を癒し、救うのはやはり人なんですよね・・・
羽海野さんの手によって紡がれた糸がどんな作品に仕上がるのか・・・とっても今後が楽しみの新作です

※二階堂クンを見た時、確か同じような病気を抱えていたこういう孤高の棋士さんが居たよなーと思っていたら、その方がモデルだと知ってちょっと嬉しかった、私
でも二階堂くんには早世はしないでほしいな・・・だって可愛いんだもの(笑)