すずめ休憩室

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気の向くままにつづってみました。

そして謎は残った

2007年09月26日 | 漫画・本
1924年まだ人類が未踏の地だった世界最高峰のエベレストの頂点を目指したマロリーとアーヴィンの2人の男達。彼らは頂上を目前としていた姿を仲間のオデールに目撃された後、忽然と姿を消した。
彼らは果たして世界最高峰の山を征服したのか?それとも・・・

山に登る理由を問われ「そこに山があるからだ」という有名な言葉を残した登山家ジョージ・マロリーの行方を75年ぶりに厳寒の地で探し出した米国調査隊の手記

「神々の山嶺」を読んで、物語の中軸にもなっていたマロリーのカメラとマロリーとアーヴィンの行方が気になり買ってみたのがこちら。
翻訳本独特の読みづらさに加え、活字嫌いの脳タリンな私の頭はシバシバ睡魔に襲われ、中々読み進められませんでしたが、ようやく完読・・・ふぅ長かった(苦笑)

表紙にも使われているこの写真、この打ち捨てられた壊れかけのデパートのマネキンみたいなのが実はマロリーその人なんですよ。8000メートルを超える高地では75年経っても人は土には還らないんですね・・・

でも私には一瞬、マロリーが魅入られたこのエベレストと言う山を自身の思いを込めて全身で抱きしめているようにも見えた。

実際にはこのポーズは滑落防止体勢(両手を開いて、全身の摩擦抵抗で滑落を止める体勢)と言うそうで、この姿でいるという事は類いまれな登山技術を持っていたマロリーですら、なんらかの原因で誤って滑落したという証拠でもあるんですが、発見時に捜索隊になんとも言えない厳粛さをもたらせたというのが判る気がします

少し離れたところで相棒のアーヴィンの遺体も見つかってはいるんですが、色んな状況証拠を照らし合わせても、2人が登頂を果たしたかどうかはやはり未だに不明みたい。

現在の登山家の間では今では考えられない軽装な衣服、そして鉄鋲の登山靴などの装備などを考えても「登頂は無理だった」と考える人が多いようですが、私は個人的には登頂を果たし、下山する途中にこの不幸に襲われたと信じたいな。

だって私たちが思う以上に昔の人は強靭だったと思うから・・・
自動車ですぐ目的地に着く現代と違い、一歩一歩自分の足で目的地まで歩くことが当たり前だった時代、現代人よりはるかに足腰は強くて、尚且つ高度順応とかも出来ていたとも思うから・・・。

厳寒のエベレストに登るとは思えない軽装だとも言われるけど、それでも同じ時代に南極だって踏破しているし・・・

謎は謎のままだけど、マロリーの魂と彼の愛する妻と家族の写真はエベレストの何処かに埋まっていると信じたい。

本の半分はこの謎に挑もうとした有志からなるマロリー捜索隊が結成され、その計画の実現化、そして現地に趣くまでの苦労などが書かれて読みづらいところもありますが、やはり「神々の山嶺」と合わせて読んでみると、谷口さんの漫画のシーンがありありとそのまま蘇る1冊です。
余裕があればチラ読みでも是非ご一緒にどうぞ。