昨年、重要文化財に指定された近代茶道の修養道場「松殿(しょうでん)山荘」(宇治市木幡南山)を会場に今春、さまざまな催しが企画されている。 設立者で茶道の山荘流流祖、高谷恒太郎(宗範、1851~1933年)が長い期間をかけて築き上げた思いに触れてほしいと子孫は期待している。
松殿山荘は、高谷が平安時代末期の関白、藤原基房の別荘跡地を購入して整備した本館、茶室、研修施設など広大な敷地に計12棟が点在する建築群。整備には、1919年から高谷が没した翌年の34年まで10年以上をかけた。
建物は高谷の独創的な設計に基づく。「心は円なるを要す、行いは正なるを要す」という独自の「方円思想」を表現した。天井や窓枠など各所に方形と円を組み合わせ、意匠を凝らした造形を見ることができる。
重文指定を記念し、今月21日には大書院で華道と能を楽しめる春季公開講座の花と能「嵐山」があり、華道未生流笹岡家元の笹岡隆甫さんと観世流能楽師の林宗一郎さんのトークセッションもある。
5月3、4の両日は特別公開。1人から申し込むことができ、山荘内の案内がある。
5日は、大書院で今様合が開催される。藤原基房が活躍した時期に流行した歌合の再現を図る。
同26日にも重文指定記念の講演会を大書院で開く。茶の湯に造詣が深かった野村証券創業者の野村徳七(得庵、1878~1945年)と高谷、建築者としての高谷の2テーマで、高谷の功績を振り返る。
道場を所有・管理する「松殿山荘茶道会」代表理事で、高谷のひ孫にあたる平岡己津夫(みつお)さん(69)は「ここで開く茶会を通じ、高谷は人々と交流したいと願ったと思う。今回の催しも、参加した人たちが集い、親睦を深める場にしたい」と話している。
いずれも有料。申し込みは同茶道会0774(31)8043。
【 2018年04月18日 16時30分 】
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