住民主体で新たなまちづくり 京都で土地区画整理事業始動

2017-06-29 10:53:44 | 地 geography
 京都府長岡京市下海印寺の下内田地区で、地権者による土地区画整理事業に向けた準備が進んでいる。市内では、住民主体の土地区画整理事業は2例目で、今月13日には済生会京都府病院(長岡京市今里)と新病院の新築移転について協定を締結。早ければ来年度後半にも、造成工事が始まる見込みで、新たなまちづくりが動きだす。

 阪急西山天王山駅から徒歩5分ほど。京都第二外環状道路(にそと)・京都縦貫道沿い、青々とした稲の苗が育つ水田が広がる。一部は畑になっており、男性が農作業に汗を流していた。

 土地区画整理事業が計画されている下内田地区(約1万7千平方メートル)では、古くから農地として住民たちが稲作などを行っていた。だが、2013年に開通したにそとで様変わりした。

 もともと短冊状の細長い土地が多かった上に、にそとの建設用地にかかり、三角形や狭い農地ができてしまったという。同地区の土地区画整理準備組合の山本啓司理事長は「西山天王山駅も開業し、道路に面している土地はいずれ買い手が付くかもしれないが、形の悪い狭い土地は単独で売ることも貸すこともできない。地区一帯で開発することが必要だった」と話す。

 山本さんら農地を所有する地権者27人は、10年秋から勉強会を開始。土地区画整理事業について学ぶとともに、視察や意向調査のアンケートなども行ってきた。

 当初はなかなか意見がまとまらなかったというが、地権者のうち専業農家は1人だけで、多くは高齢化し農業を継ぐ子どもたちもいない状況。「にそとができることで、固定資産税が上がる。高価な農機具を買って米を作っていても、小さい面積ではとても採算がとれない」(山本理事長)。地権者の代替わりなどもあり、少しずつ事業への理解が深まり、昨年4月に土地区画整理事業に向けて準備組合が立ち上がった。

 準備組合では当初、借地方式で大型家電量販店やマンションなど民間施設を誘致することを検討していた。だが昨夏、済生会京都府病院から移転先として考えたいとの申し出があった。「24時間救急車が来るのは困る」という地権者もいたが、最終的に、病院側の提案を受け入れ、土地は借地ではなく、病院側が希望する約1万3千平方メートルの売却で方向がまとまった。

 今後は、来年夏ごろの正式な組合設立に向けて、今後地権者の土地を区画整理後に地区内のどこに割り振るかを大まかに決める仮換地や事業資金などの計画を立てる。また、病院の移転は決まったものの、建物の大きさや地区内のどこに建設するかなどは未定で今後、病院側と詳細な交渉を行う予定だ。

 山本理事長は「これからが本番。地権者にとっては思い入れがある土地なので、今の地権者たちの世代で事業が成功するよう、十分協議していきたい」としている。

【 2017年06月28日 11時48分 】



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