みなさん、こんにちは!
さて、山の神【やまのかみ】という言葉を聞いたことがありますでしょうか?
日本の神道では『八百万の神【やおよろずのかみ】』とも言われまして、ありとあらゆるものに神様が宿っていマス。
お米の一粒一粒にも、台所にも、トイレにも神様がおられますので、もちろん炭坑の神様もいらっしゃいます。
炭坑は鉱山の一種ですが、鉱山の神様が、そのまま炭坑【ヤマ】の神様にもなりマシタ。
日本神話における山(鉱山)の神様は『オオヤマツミ』で、イザナギとイザナミの子どもです。
このオオヤマツミを主祭神にしているのが、愛媛県今治市大三島にある『大山祇神社【オオヤマヅミジンジャ】』でして、全国にたーくさんある「大山祇神社・大山積神社・三島神社・山神社」などの大山祇信仰の総本社になってイマス。
炭坑では、小さな祠【ほこら】から大きな神社まで、大なり小なり山の神が奉られておりまして、安全を祈願するため炭坑関係者の信仰を集めておりました。
しかし、炭坑がなくなるとそれらの山の神も自然消滅してしまい、残っているものは少ないのが現状デス。
そんななか、田川郡川崎町に、山の神を集めてある神社があると聞きまして見に行ってまいりマシタ!
場所は川崎町池尻にあります、宮地神社の境内の中です。
この宮地神社は、筑豊の炭坑王の一人である『上田清次郎』の弟で、同じく炭坑経営者であった『上田米蔵』氏から1億円の寄進を受け、その金利で運営されているそうデス。
そのためなのか、上田一族が経営していた炭坑の山の神が、本殿の隣に移設され、現在も奉られています。
なおこの上田米蔵氏は、国会議員や馬主として華やかな経歴を持つ兄清次郎氏とは対照的に、あまり記録の残っていない人物なのですが、昭和32年に赤十字の福岡高等看護学院(現在の日本赤十字九州国際看護大学)の設立の際にも多額の寄付をされている篤志家で、その後も看護学生向けの奨学金の設立なども行い、九州の医療と看護師の発展に寄与された人物として尊敬を集めているそうデス。
本殿の横、『山之神社』と書かれた鳥居の奥に、4宇【う】の祠が置かれています。
実際に炭坑の山の神として置かれていたものを、このように一箇所にまとめて保存し、奉られていイマス。
祠には全て、下記の写真のようなマークが掘られています。
これは『折敷【おりしき】に三文字』と呼ばれる神紋【シンモン】でして、大山祇神社のものデス。
三島にあるから三文字なんですかネー。
当館からクルマで10分チョイの場所にありますので、博物館にお立ち寄りの際は、ぜひ、山の神にもお参りしてみてくださいマセ♪