大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

世界各地で景気後退・減速を示唆するデータが出始めた

2018年09月07日 | 日記

 先日の台風では関西の広域で大きな被害がでた。

 その先に今度は北海道の大地震。

 被災された方々にこころよりお見舞い申し上げます。

 

 ところで世界各地で景気後退・減速を示唆するデータが出始めて心配している。

①南アフリカ

 欧米各紙は、通貨下落が続く南アフリカ2四半期連続でGDPが前期比でマイナスとなり景気後退に入ったと報じている(第1四半期が-2.6%、第2四半期が-0.7%)。

 一般に、2四半期連続でGDPがマイナスになると景気後退と判断される(ちなみにアメリカや日本のように、他の各種指標を組み合わせて景気後退を判断する場合もある)。

②オーストラリア

 またフィナンシャルタイムズは、オーストラリアで住宅ブームが終焉と報じている。

 同紙によると、今週発表のデータによればシドニーの住宅価格は前年比で-5.6%、全国の住宅価格は同-2%となった。

 オーストラリアでは過去5年で大都市の住宅価格は70%上昇し、GDPに対する家計負債割合は過去最高の120%に達したが、その勢いが世界的な金融引き締めの影響でしぼみはじめた形だ。

③ドイツ

 ドイツでは今年に入って工場受注額(前月比)の減少が続いており、ブルームバーグは、海外からの受注の落ち込みのほか貿易摩擦への懸念などからEU内でも投資をためらう動きが広がっていると分析している。

④インド

 トルコ、アルゼンチンの通貨下落は、他の新興国通貨への伝染(contagion)がひろがっている。

 FT紙は、とくに貿易赤字をかかえるインドや南アフリカの通貨が売られており、今週木曜日、インド通貨ルピーは対ドルで最安値を更新したと伝えている。

 これが一時的な景気の踊り場なのか、本格的な景気後退・減速の始まりなのか今の段階で判断は難しい。

 過去5年間、さまざまな経済危機(ギリシャ危機、イタリア危機、チャイナショック、バーナンキショック、シェール危機など)があったが、いずれも一時的なもので終わった。

 今回も同じように一時的なもので終わる可能性が高いと思われるが、金融引き締め期に入っているという点で今回の危機はこれまでのものとは性格が大きく異なるところもある。

 慎重に状況の推移を見守りたい。

 ちなみに、今後、世界的な景気後退が明らかになった場合、日本政府にはどのような対応策が残されているのであろうか?

 国債やETFの買い入れはいまでも限界だと言われており、残された政策手段は多くない。心配されるところである。