2018年9月9日(日)スウェーデンで総選挙がおこなわれた。99%開票がおわった段階で、得票率は中道左派連合(社会民主党、グリーンパーティー、左派党)が40.6%、中道右派連合(穏健党、中道党、リベラル党、キリスト教民主党)が40.3%、反移民のスウェーデン民主党が17.6%。
全349議席中(過半数は175)、中道左派連合が144(前回159)、中道右派連合が143(前回143)、スウェーデン民主党が62(前回49)と、わずか1議席差で中道左派連合が中道右派連合をかわした。約1世紀第一党をまもってきた社会民主党は113議席から101議席に議席を減らして過去最低の得票率に沈んだが、連合を組むグリーンパーティーと左派党とあわせて何とか中道右派連合をかわした。
スウェーデン民主党は、一時、第一党になるとの世論調査結果もでたが、選挙終盤に失速し、結局、穏健党(70議席)と8議席差で第3党にとどまることになった。
これからの焦点は、中道左派連合がこれまでの枠組みで少数与党の政権を維持できるかどうか。
2014年の選挙で中道左派連合は今回と同じように過半数を獲得できず、少数与党として政権を発足させた(左派党は閣外協力)。当初は野党が予算案を否決するなど不安定な政局がつづいたが、社民党のステファン・ローベン首相が解散総選挙をおこなおうとすると流れがかわり、結局、中道右派連合はそれ以降、予算案には反対しないという合意形成がなされ、現在まで続く少数与党の枠組みが作られることになった。
問題は、この枠組みがこれからも維持されるかどうか。
ちなみに中道右派連合を形成するリベラル党などはスウェーデン民主党との一切の協力を否定しているため、スウェーデン民主党が閣外協力するかたちで中道右派連合が政権を担う可能性はかぎりなく小さいとみられる。
参考までに触れておくと、スウェーデン民主党は、経済政策としては伝統的なスウェーデン型の手厚い福祉の維持を主張するとともに、減税を主張しており、中道左派、中道右派両方とかさなる部分を有している。フランスやイタリアの反移民政党も福祉の充実と減税をかかげており、共通点が多い(反EUも共通)。
最後に、日本ではいまだにスウェーデンというと高福祉だが経済停滞した国という間違ったイメージが広がっているので正しておきたい。長い間、スウェーデンは日本より高い経済成長を実現し続けており、スウェーデンの中道右派連合の中心穏健党もかつての新自由主義的政策を転換し、現在は手厚い福祉の維持を政策にかかげている。手厚い福祉と経済成長の両立を掲げるのが現在のスウェーデンである。