大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

英議会、離脱案の骨格を承認。

2019年10月23日 | 政治

 2019年10月22日(火)、英議会(下院)は329対299でジョンソン首相がEUと合意した離脱案の骨格を承認した。

 EU離脱案が議会で承認されるのはこれがはじめてとなる(メイ首相のEU離脱案はすべて議会で否決されている)。

 労働党からも19人の賛成者が出た。

 しかしそのすぐあと、10月24日(木)までに関連法案を成立させるという英政府のスケジュールは、322対308で否決された。

 これにより10月31日までのEU離脱は困難になった。

 ジョンソン首相は離脱案が認められなければ解散すると主張しているが、解散には下院の2/3の賛成が必要なため実現は難しいように思われる。

 結局、2020年1月31日まで離脱期限が延期される可能性が高くなっている。

 普通に考えれば、この後、時間をかけて離脱関連法案の審議、修正がおこなわれ2020年1月31日にEU離脱となるが(ただし最低でも2020年一杯は移行期間として従来どおりの制度を維持することが予定されている)、予想どおりにならないのがイギリスの政治。

 一部には修正が終了後に離脱案を再国民投票にかけようとする動きもあるようだ。

 EU離脱の動きを引き続き注意してみていきたい。

 

英政府、今週中のEU離脱案可決を目指す 2019/10/22

英ふたたび、EU離脱の国民投票か? 2019/10/18

英保守党、最低賃金を5年で1420円に引き上げると発表  2019/10/8

英議会、強硬離脱禁止法案を可決 2019/9/5

英保守党、支持広げる  2019/9/4

EU、英離脱期限を4月12日に延期 2019/3/22

英議会、EUに離脱延期を求める決議を可決: 今後の焦点は、EUの対応 2019/3/15

イギリス、合意なし離脱の場合、輸入品の87%を無関税に 2019/3/13

英メイ首相、明日、不信任投票 2019/1/16

英メイ首相、信任投票の結果 2018/12/13

英保守党、過半数を失う: 若者の投票率が大幅上昇 2017/6/10

英下院選挙、保守党が大勝か? 2017/6/8

英メイ首相、在宅介護をうける人に自宅売却を義務化で支持率低下 2017/6/4

イギリスの最低賃金 2016/9/22

イギリス、EU離脱の出口調査の誤り 2016/6/24

イギリスがEUを離脱したら 2016/6/19


英政府、今週中のEU離脱案可決を目指す

2019年10月22日 | 経済

 2019年10月19日(土)、英議会はEU離脱にかかわる諸法律が成立するまでEUと合意した離脱案の採決を延期する動議を過半数の賛成で可決した。

 これに対しジョンソン首相は、10月24日(木)までに超特急で関連法案を成立させ、離脱案の採決をおこなうことを目指している。

 フィナンシャルタイムズなど複数のメディアは、ジョンソン首相はさまざまな働きかけにより(労働党内の離脱派に対しEU労働指令を受け入れる約束をするなど)過半数の支持を確保したと伝えている。

 一方、労働党は慣例を無視した関連法案の拙速な採択に反対。修正案を提出するなどして抵抗する構えをみせている。

 今週、EU離脱法案の採択があるかどうか、あるとしたらその結果はどうなるのか今のところまったく予想できない。

 英議会の動きを注意してみていきたい。 

 

2019/10/23追記

 2019年10月22日(火)、英議会(下院)は329対299でジョンソン首相がEUと合意した離脱案の骨格を承認した。

 しかしそのすぐあと、10月24日(木)までに関連法案を成立させるという英政府のスケジュールは、322対308で否決された。

 これにより10月31日までのEU離脱は困難になった。

 ジョンソン首相は離脱案が認められなければ解散すると主張しているが、解散には下院の2/3の賛成が必要のため実現は難しいように思われる。

 

英ふたたび、EU離脱の国民投票か? 2019/10/18

英保守党、最低賃金を5年で1420円に引き上げると発表  2019/10/8

英議会、強硬離脱禁止法案を可決 2019/9/5

英保守党、支持広げる  2019/9/4

EU、英離脱期限を4月12日に延期 2019/3/22

英議会、EUに離脱延期を求める決議を可決: 今後の焦点は、EUの対応 2019/3/15

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英保守党、過半数を失う: 若者の投票率が大幅上昇 2017/6/10

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イギリス、EU離脱の出口調査の誤り 2016/6/24

イギリスがEUを離脱したら 2016/6/19


中国の融資平台の債券発行、過去最高に

2019年10月20日 | 経済

 先日、中国の第3四半期のGDPが前年比6.0%の増加になったというニュースがあったが、ウォールストリートジャーナル(2019/10/6)中国の地方政府が外郭団体をつうじて発行する債券の販売過去最高を記録しそうだとする記事が掲載された。

 中国の地方政府は融資平台(LGFV)と呼ばれる外郭団体を通じて資金集め、投資をおこなっている。

 WSJ紙によれば、LGFVは今年これまで2.37兆元(36兆円:1元=15円)の債券を発行。

 これは昨年同期より38%多く、このままのペースで発行が続けば3年前につけた2.56兆元(38.5兆円)の最高記録を超える見込み。

 ただし、WSJ紙はその多くは借り換えだとしている。

 同紙によれば、今年償還をむかえるLGFV債券は2.1兆元(31.5兆円)。純粋な投資増に結び付く債券発行はそれほど多くなさそう。

 なお、中国では今年、民間企業が発行する社債デフォルト(債務不履行)が多発

 今年これまでのデフォルトは、昨年同期より35%増加の1223億元(1.8兆円)となっている。

 LGFVでもデフォルトが発生しているが、WSJ紙は比較的安全とされるLGFV債に買いが集まり、利回りは低下しているとしている。

 

中国の地方政府の負債、一部でデフォルト  (2019/9/8)

中国、債務不履行が増加: 中国民生投資、550億円の債務不履行 (2019/7/20)

中国の19銀行、いまだ2018年の決算発表できず: 包商銀行は公的管理に移行 (2019/6/11)

中国の地方債発行、昨年比70%増?: 景気テコ入れなるか? (2019/4/27)

中国の自動車生産、販売台数が前年を下回る: 世界経済に大きな影響 (2018/11/10)

中国、2兆円規模のあらたな減税を発表 (2018/10/22)

中国で新規の銀行貸し出しが増加 (2018/10/18)

中国、インフラ投資に特化した地方債を大量発行(2018/9/28)

中国、大型の個人減税を発表 (2018/7/4) 


英ふたたび、EU離脱の国民投票か?

2019年10月18日 | 政治

 2019年10月18日(木)、インディペンデント紙などはイギリスのEU離脱について再び国民投票がおこなわれる可能性が高まってきたと報じている。

 すでに広く報じられているように、ジョンソン首相は2019年10月17日(水)、EUと離脱協定案について合意した。

 しかし、保守党に閣外協力するDUP(北アイルランドの民主統一党)は、合意案をメイ首相がEUと合意した内容(北アイルランドがEUの規制を受け続ける)とあまりかわらないと批判

 10月19日(土)に予定されている議会投票では、合意案が否決される可能性が高くなっている。

 その場合、労働党はEU離脱について再国民投票を求めるとの方針を決定。

 しばらく前に保守党を除名された15名前後の議員も、合意案が否決された場合は再国民投票に賛成することを決めたと伝えられている(合意案には賛成票を投じるとされている)。

 こうしたことからインディペンデント紙などは、ふたたび国民投票がおこなわれる可能性が高まっているとしている。

 ふたたび国民投票がおこなわれた場合、もう一度EU離脱が過半数の賛成を得るのは難しいとする報道も多い。

 もっとも、イギリスの政治はほんとうに魔訶不思議で、さまざまな人、団体の思惑が交錯し予想どおりにことが進まないことがままみられる。

 はたしてどのようなことになっていくのであろうか。注意してみていきたい。

 

2019/10/20追記

 2019年10月19日(土)、英議会はEU離脱にかかわる諸法律が整うまで合意案の採決を延期する決定を過半数の賛成でおこなった。

 

 

英保守党、最低賃金を5年で1420円に引き上げると発表  2019/10/8

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英保守党、支持広げる  2019/9/4

EU、英離脱期限を4月12日に延期 2019/3/22

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GMとUAW、暫定合意

2019年10月17日 | 経済

 2019年10月16日(水)、GMとUAW(全米自動車労組)は4年間の労働協約について暫定合意にたっした。

 ロイターなどによると、合意内容は以下のとおり。

(1)期間従業員(temporary workers)は3年勤続すれば正社員として雇用する。<日系移転工場をまねてビッグ3の自動車工場では賃金や福利厚生が正社員にくらべて大きく見劣りする期間従業員の雇用が増えている>

(2)リーマンショック後に採用された労働者は、それ以前に雇用された労働者より低い賃金が適用されている。勤続とともに賃金は徐々に上昇するが、リーマンショック前に雇用された労働者と同じ賃金になるのに8年かかっている。この期間を4年に短縮する。

(3)正社員に11,000ドル(120万円:1ドル=110円)、期間従業員に4,500ドル(50万円)の労働協約締結一時金を支給する。

(4)2年目と4年目に3%の賃上げをおこなう。1年目と3年目に年収の4%に相当する一時金を支給する。

(5)純利益に連動して支給する利益分配金(ボーナス)支給上限を撤廃する(これまでは扶養家族ありで1.2万ドル<130万円>という上限があった)。

(6)有給休暇取得の自由度を高める。GMでは、リーマンショック後に採用された労働者は、採用時に1週間、1年後から5年目までは2週間、5年以降は2.5週間の有給休暇が付与されるが、工場の計画停止がある場合、その時期に有給休暇を取ることが義務付けられていた。これを、1週間分の有給休暇については個人が自由にとることができるように改める

(7)GMとUAWが共同で運営してきた教育訓練センターを売却する。現在、訓練センターを通じた組合役員の汚職について大規模な捜索、裁判が進行している。

(8)2020年1月に閉鎖予定だったハムトラック工場に30億ドル(3.3千億円)の投資をおこなう。

(9)ローズタウン工場を含む3工場を閉鎖する。同時に、ローズタウン工場の近くに電動車用のバッテリーセル工場を新設する。

 このあと、組合員全員によって労働協約の批准を認めるか否かを問う投票がおこなわれる。

 GMで労働協約が締結されると、次はフォードあるいはFCAで労使交渉がはじまることになる。

 

2019/10/18追記

 10/17日(木)、本部に集まったGM支部長は労働協約が組合員投票で可決されるまでストライキを継続することを決定した。

 組合員投票は2019年10月19日(土)から25日(金)にかけておこなわれる予定になっている。 

 

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