最後の晩餐・・・ "裏切り者がいる" ・・・しかし、すぐユダが晩餐会場から出て行き、混乱もなく終わったようです。
最後の晩餐の後、イエスは夜中だというのにオリーブ山の麓(フモト)で、ユダヤ教の指導者たちが捕らえに来るのを待っています。
弟子たちは裏切者の話には関心がないようです。
イエスは死を覚悟するが恐ろしい、神に助けの祈りをする間、弟子たちに目を覚ましていろというが、・・・弟子たちは皆、寝こんでいます。
そしてユダがユダヤ教の指導者たちを連れて現れ、イエスは逮捕されます。
イエスは、この逮捕は予言の成就のためであると言います。
これを見たイエスの弟子たちは、皆、師を見捨てて逃げてしまいましたとあります。
どんな所に連れて行かれたのでしょう・・・
レンブラント・ファン・レイン作 1644年 キリストと姦淫(カンイン)の女
これはイエスが逮捕される前の話で、姦淫の罪で訴えられた女を石打ちの刑に・・・と、イエスにユダヤ教指導者が論争を仕掛けている場面。当時の祭司たちは、一段高い豪華な祭壇の前にいます。
・・・こんな所だったのでしょうか・・・
スポット光線の先にイエスと女性、ラビ、取り囲む群衆。明と暗、暗闇のグラデーションが素晴らしい作品です。
レンブラントは宗教画も大変多く描いた有名な画家ですが、もう一人、光と影の演出家、カラヴァッジョも後程に。
逮捕されたイエスは、真夜中にユダヤ人指導者のもとに連行されました。
アンナス元大祭司の尋問→次に→カイアファの邸宅
①カイアファ大祭司を議長とした裁判が夜を徹して開かれた、この時間に証人を呼ぶが、罪人の証拠が出ず、議長がイエスに対し神の子・メシアであるのかを尋ねます。
・・・イエスは自らメシアであることを認めました。→
大祭司達は、イエスの言葉は神への冒涜(ボウトク)だとして死刑を宣告します。
・・・死刑執行の権限は、ローマから派遣されている総督の承諾が必要だった。・・・
そこで、夜が明けたころ、
②総督ピラトの邸宅へ→(帝国ローマにとってユダヤ人の宗教上の争いはどうでもいいことだった)・・・調べたが、死刑の理由が無い→
③出身地を管轄するヘロデ・アンティパス(イエスはガラリア出身)がエルサレムにいたのでこれ幸いとイエスを送る。(ユカ福音書)→イエスはヘロデに奇跡を見せてみろと言われても・・・無言→ヘロデは怒り、イエスを侮辱し総督ピラトに送り返す。→
④再び総督ピラト邸宅・・・(祭ごとにピラトが一人の囚人を許してやることになっていた。ユカ23章17)・・・彼を鞭打ってから許してやることにしよう・・・しかし、
群衆は「その人(イエス)を殺せ、バラバを許してくれ」と一斉に叫ぶ。(バラバは都での、扇動と殺人の罪で死刑)→
ピラトは、もう一度呼びかける・・・しかし、
彼らは「十字架につけよ、彼を十字架につけよ」と言い続けた。→
ピラトは三度目に彼らに向かって言った、「彼はどんな悪事をしたのか、彼には死にあたる罪は認められない、鞭打ちで許してやることにしよう」・・・→ところが
彼らは大声をあげて詰めより、イエスを十字架につけるよう要求した。そしてその声が勝った。・・・・(ユカ福音書23章23)・・・バラバは釈放された、こうしてイエスの十字架刑が決定した。
何とこの当時の時間が推定されているとか?
夜中に逮捕・・・引き続き、裁判・・・総督ピラト邸が夜明け・・・そして、AM8時頃十字架刑が決定
・・・イエス、十字架を担いで刑場(ゴルゴダの丘)に送られる。磔(ハリツケ)時間はAM9時。
聖書のPR パンフレットは・・・①唯一の神、②人の罪、③降誕(コウタン)、④福音(フクイン)・・・⑤十字架、⑥贖罪(ショクザイ)と続きます。
当時、イエスが逮捕され、磔刑になるまでのエルサレム市街地の推定コースです。
左端、塀の外のゴルゴダ(されこーべ)の丘は、その後、聖墳墓教会(ローマ皇帝コンスタンティヌスの母、ヘレナが建てた。聖遺物:聖十字架の破片とイエスの墓を発見したとして、サン・ピエトロ大聖堂に聖ヘレナ像がある)が建てられ小聖堂の祭壇場所が、イエス十字架の場所と言い伝えられている。
ヴィア・ドロローサ(悲しみの道):イエスがピラト邸からゴルゴダの丘まで歩いた約500mの道を言う。
そして、この教会も今ではエルサレム旧市街地の中心部に位置し、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教と根を同じくする一神教グループが参拝し、鍵はイスラム教徒が管理している。
磔刑図、キリストが中央、左右は強盗(盗賊)犯
モントレファーノ 磔刑図 イタリア・ミラノ サンタ・マリア・デッラ・グラッツェ教会付属食堂壁画、
中央がイエス、その十字架の下で赤い衣装の人物がマグダラのマリアと言われる。
サンタ・マリア・デッラ・グラッツェ教会と付属食堂(展示室)外観
下図は、食堂内の雰囲気を残したいと思い、作成したものです。
入口から直角に左を向くと、壁に大きな「磔刑図」がライトアップされています。
そして反対側、少し遠くの右側の奥に・・・ありました、修復の終わった「最後の晩餐」が・・・
両作品ともRが付いた柵が作品から数メートル離れた所にあり、15分間、無言で離れて鑑賞することが許されています。
さてイエスの磔刑図は数多く描かれている。
身体を十字の形に:左右に手を広げ各々の手の平に釘1本、足先を伸ばして左右の足を重ね、太い釘1本・・・こんなマンガの世界が主流でした。
左右に伸ばした手首をロープで固定してもY字にはなります。肩を固定するか、腰を固定するか、・・・多くの磔は腰を固定するために縦木に小さな腰掛を取付け、体がずり下がらないように細工がされていたようです。
両手首を横木に固定して、手に釘を打つ。腰を腰かけに載せて膝を曲げ足先を固定していたようです。そんな絵も多少あります。
・・・・・ さて、ナザレのイエスは、「ユダヤ人の王」として誕生し、自分はメシア(救世主)と発言していますが、「神の子」は何の目的でこの世に降誕したのだと思いますか?・・・・・
既にユダヤ教が完成し、律法では預言者といえども人間であって神ではないとしています。
ユダヤ教の指導部が、自称メシア・神の子 発言しているのを、うさんくさいと思うのは当然で、裁判の場でも証明しないのですから、律法に反したとして死刑は当然でしょう。
考えられる3つの目的
①ユダヤ国の独立!(ローマ帝国の支配から、戦って独立する救世主として降誕した)
②ユダヤ教を全てのユダヤ人のために!(中・上層部の人々のために特化してきた指導部を一掃して、新ユダヤ教にするために降誕してきた)
③ユダヤ人の神・ヤハウェのみを崇拝させる(一神教が守られていない、神の存在を再認識させるために降誕してきた)
****また勝手に解釈しよう*****
ナザレのイエスは、弱者から崇拝されるようになると、突然「神の子」発言を始める。
しかし、ユダヤ教の指導者の反発を買いトップになれないことを悟ると、殺されるよりは名誉の殉教者の道を模索し始める。
何のために殉教するのか?・・・思いついたシナリオは、自分が十字架刑になって3日後に復活すれば皆が驚いて、イエスは「神の子」だった、ありえない復活!、神の子説を信ずるだろう。
私への崇拝、そして名誉も永遠だ・・・神の子は、こんな些細(ササイ)なことしか思いつかなかったのでしょうか・・・
自分の使命が、ユダヤ国の独立でもなく、ユダヤ教の誤りを正すこともなく、神への崇拝を説くことでもなかった。白旗を上げて、自滅した・・・、(但し、殉教するのにひとつの賭けをした。・・・後程・・・)
・・・自称「神の子」イエスは、降誕した理由を皆に説く絶好の機会が数多くありました。
・・・なぜ沈黙したのでしょうか?・・・(復活したとされる後の行動もなさけないものです)・・・
ローマ総督ピラトの前で、沈黙から一転自らの教えを群衆に説いて、奇跡を起こしたら「神の子」の存在を皆が認め、そして歴史は変わっていたでしょう。
現実は、天使も悪魔もそして聖霊さえも呼ぶことはできず、異常現象も起こせない
では教えだけ群衆の前で説いたとしたら、・・・群衆は勝手に「神の子」を名乗る、自称「ナザレのイエス」との思いが残っているから、群衆の怒りに油を注ぐのが目に見えていました。
イエス死後、キリスト教最初の殉教者、ステファノのように群衆を前にして、堂々とユダヤ教指導者を糾弾し、神殿批判をしたように、イエスも堂々と群衆に説き、最後に神の子は復活する!と宣言し、その結果、磔刑にされるか、群衆に石を打ちつけられて殺害されれば、また歴史は変わったことでしょう。
・・・沈黙・・・
PM3:00 イエスは大声で「エロイ、エロイ、レマ、サバクタニ」(我が神、我が神、なぜ私をお見捨てになったのですか)と絶叫して息絶えた、とあります。
シナリオは・・・復活に全てを賭けていました。・・・
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