2010年10月30日の午後9時より、45分番組として放映されました。NHKとしてとても力の入った素晴らしい内容でした。
それに先立ち、28日に朝日新聞の第1面に、全身写真とその解説が大きく掲載されていましたので、その新聞写真を掲載しておきます。
2010年10月30日の午後9時より、45分番組として放映されました。NHKとしてとても力の入った素晴らしい内容でした。
それに先立ち、28日に朝日新聞の第1面に、全身写真とその解説が大きく掲載されていましたので、その新聞写真を掲載しておきます。
皆様からのご意見をお聞かせください。
意見として間違っている箇所もあるかと思います。その時はご容赦いただき、ご指摘をお待ちしています。
千葉県内の里山をどのように再生させるべきかを苦慮している現実もあります。
NHKスペシャルじっくりと見ました。10月30日の午後9時より、NHK特番、これはまさに幸福な至福の時間でした。
80年ぶりにブータンの山奥で発見された、「ブータンシボアゲハ」の群舞には、びっくりしましたが、その生態系の調査経過と、結果からみた個人的な感想を述べます。
調査に参加された方々も70歳前後の方々6名で、名前程度は知ってる方々でもあります。
若い時からの、昔からの、かなりな蝶屋の一人として、自分も今回の隊員の一人として参加をしているというような気分で、その調査のプロセスがまさに冷静に食草を探り、卵や幼虫を探査する、久しぶりに自分でもかかわっている気分になれる、手に汗を握る時間でした。
この蝶は、まさに日本ではジャコウアゲハとよばれるタイプの近似種かと思いました。ジャコウアゲハは、都内�x文京区でも小石川植物園(のみで生息)で少数ですが、毎年見ています。
いままでも、ブータンの人々の顔やその生活ぶりが、日本人のルーツと呼ばれてきたこともあって、改めて良く似ているなと思っています。
まず、里山での生活が、かっての千葉を含めた里山の原風景そっくりです。
その里山の生活に密着しているからこそ、「ブータンシボアゲハ」が、いままで種として継続して生きてこられたのだという事が分かってきたことが大きな発見であり、驚きです。
参加隊員の方々も、てっきり原生林の蝶かと思っていたが、何と人とのかかわりに絡んで生きてきている里山の蝶だと分かって、あらためてという感じでした。
ボルネオなどの原生林で観察される、巨大なトリバネアゲハの系統とは、明らかに異なっていました。
太陽の直射が良くあたる雑木林で、巨大で群生をするウマノスズクサ類(日本種と類似)が発見されました。この蝶がそれを食草とすることが卵の発見と、実際に産卵状況の撮影に成功して確認がなされました。
「ブータンシボリアゲハ」は、里山を生活の糧とする地域の方々が、かっての日本の里山の入会地として森林を大事にしたごとく、森の惠みとして、薪とするクヌギなどの若い木を段階的に切り倒す。その切株から日本の雑木林でおなじみの、ひこばえがどんどん出てきています。また太陽が差し込み明るくなります。そこにウマノスズクサ科の大繁茂が生じて、それに依存して生存する蝶であることが分かりました。
原生林の蝶ではなく、人里の蝶だという事です。ジャコウアゲハもアゲハチョウも日本でも、手入れされた若い木の多い雑木林や住宅地の周りで数が圧倒的に多いとされます。
ウマノスズクサは原生林では、そう簡単に大量に育つ草ではないと理解しています。
アオタテハモドキという熱帯性の蝶(日本では沖縄等)と、ミヤマモンキチョウらしい蝶が撮影されていて、高山蝶が、一緒に同居している不思議さが強調されましたが、それ以上にブータンシボリアゲハは、ブータンの文化が生み出した稀有な里山の蝶であったという事が驚きであり、さすが秘境の国ブータンは国民総幸福量(こくみんそうこうふくりょう)を掲げる国として、いま最も有名な國だけのことがあるなと感じいりました。
なぜなら、少なくとも数千年の歴史的な経過がなければ、この様な世界でどこにもいない特徴を有した稀有なチョウが存在できるはずがありません。
この里山での生活が少なくとも数千年以上も連綿と続いてきているというらしいと想像されるような発見こそが、実は驚きそのものなのです。
日本の里山のありようは、まさにそのルーツがブータン及びその周辺国に今でも現存しているの雄だという感覚をも感じました。
この蝶が、その地域ではごく普通の身近なアゲハチョウに過ぎないらしいこと。その素晴らしい蝶の柄を生かして、地域の織物にはそれと思しき柄を縫い込むという事も放映されました。
このNHKスペシャルの中で見聞きすると、ブータンの持つ底深い文化的な背景がものすごく重要なこととわかり、さらに驚きでした。
かっての日本の子供たちがそうであったように、地域の子供たちのきちんとした挨拶、そして環境を守る若者たちの立ち居振る舞いも立派で、改めてしっかりと教育がなされたすごい国だと感じとりました。やはり、そういう里山の国が生み出したシンボルとして、「ブータンシボリアゲハ」は、日本の黒蝶「オオムラサキ」に負けない、まさにそれ以上の価値ある蝶であるなと感じた次第です。
まっこと、ブータンの「国民総幸福」指数については良く聞かされてきました。今回その本物ぶりを、改めて垣間見た感覚でもあります。