東北本線,東海道本線沿線 全線全駅歩き旅のブログ

旧東北本線と田沢湖線,花輪線,釜石線,八戸線,山田線、北上線、東海道本線、奈良線、大船渡線沿線歩き旅の記録。

空港の閉鎖で帰国できなくなった話

2025年02月10日 | 海外の旅
空港の閉鎖で帰国できなくなった話

2008年はタイとマレーシアを旅行をした。

わたしは鉄道に乗るのも大好きなのでタイでは北のチェンマイから南はハジャイを通りマレーシアへ、そして終点のシンガポールまで乗車したことがある。
こんどはタイのカンボジア国境方面への路線にも乗ってみたいなと出かけて行ったのだった。

バンコクからタイ国鉄の東北線でカンボジア国境近くのウボンラチャタニへと行き、そこからはバスでメコン川沿いに北のほうへバスで移動してムクダハーンという町へ、さらにバスを乗り継いでタイ中央部の都市コーンケーンへと行く。


タイは日本のように鉄道路線は発達していないけれどバス路線が発達している。

首都バンコクが中心になるのだけど地方都市間のバスの便がかなりあるのだ。
バスの種類もエアコンのないおんぼろバスからVIPというまるで飛行機のビジネスクラス並みの設備を備えたバスまである。
だが地方都市間のバスにはVIPなどというものは無いようでかなりくたびれた車体のバスしか走っていない。







【見た目はハデだがかなり年季が入っている】


列車だと足も延ばせるしトイレもあるし、わたしにとってはまずまず快適なのだがバスはそうはいかない。
途中の町のバスターミナルでトイレ休憩ができるのだがうっかりすると置いてけぼりにあってしまうこともあるのだ。





【中規模以上の町だとこのようなバスターミナルがあるが田舎町では路上のバス停になるので探すのが大変だ】

ひとり旅だとパスポートや財布はもちろんだがカメラなどもトイレまで持っていくことになる。
バスに5時間以上乗りっぱなしというのはまだ良いほうでわたしは朝の6時から夜8時まで14時間も乗っていたことがある。
乗っていたわたしもスゴイ?けど14時間もひとりで運転し続けた運転手もスゴイものだった。



【まともに閉まらない窓がいかにもタイの田舎バス】

そうして地方都市を回って帰国のためにバンコクまで戻ろうとしたとき暴動が発生したのだ。
反タクシン派のグループが空港を占拠してしまったのだ。

彼らはお揃いの黄色のシャツを着ていた。
バンコクのメインの空港であるスワンナプーム空港とドンムアン空港は彼らが占拠して航空機の離発着が出来なくなってしまったのだ。

軍のクーデターの時のように主要な道路に兵士がいるとかはなかったが地方都市でもデモ行進が行われていた。
バンコクへ戻るためバスに乗り込みしばらく走ると前方の道路にデモ隊の姿が見えた。

「ああ、これではバンコクへ着くのはかなり遅れるだろうな」と覚悟をしたのだが、、
なんとバスは町中の狭い路地へと入り込みデモ隊のいるところを迂回して進んだのだ。

これにはちょっとばかり感動した。

日本ならこんなことは出来ないだろう、決められたコースから勝手に外れて進むなんて許されないだろう。
おかげでバスは順調に走りバンコクのドンムアン空港脇を通る。
バスの窓からは空港を占拠している黄色のシャツを着た大勢のデモ隊の姿が見えた。









【かなりぶれてしまったが、バスからデモ隊の様子を撮影】

空港はデモ隊に占拠されているが空港以外のところは平常のように見える。

無事バンコクに到着したが困ったのは空港が閉鎖されていて帰国のフライトがキャンセルされてしまったことだ。
政府は在タイ邦人のためにウタバオ空港からの臨時便を用意しているとの情報だったが、運賃は高いしそもそも政府関係者でも大手企業の社員でもないわたしを乗せてもらえるとは思えない。

どうしようか、、、
陸路でマレーシアかベトナムへ抜けてそこから空路で帰国しようかと悩む。
その場合帰りの航空券は捨てて新たに購入することになる、ぎりぎりの予算で来ているのでこれ以上の出費は避けたい。
バンコクの安宿で数日過ごしているとなんと空港が再開できるようになったとの情報、本当にほっとした。

航空会社も追加料金とか無しで搭乗日の変更に応じてくれた。
やれやれ、帰国日はずれてしまったが無事に帰国できたのだった。
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旅行中にクーデターに遭った話

2025年01月17日 | 海外の旅
タイ旅行中にクーデターに遭った話


わたしは東南アジアを旅するのが好きで何度か出かけている

きっかけは旅行作家の下川裕治さんの「12万円で世界を歩く」を読んだことだった。



それ以前も旅行は好きだったのだがパッケージ旅行がほとんどで自由な旅とは言えなかった。

本を読んだことで、ああ!こんな旅をしてみたいと強く思ったものだ。

現実の問題としては生活に余裕がないということが大きな理由だけれど、なによりも束縛されない自由な旅がしたかった。

長い休みは取れないからどうしても東南アジア近辺に行くということになってしまう。
なかでも行きやすかったのがタイだった。
当時はまだLCCなどなかったがユナイテッド航空がタイのバンコクとシンガポールまで就航していて比較的安く航空券を買うことができた。

そのころはタイのバンコクに日本人の経営する旅行会社が複数あって、航空券を日本で買うよりもかなり安く買えたものだ。
まだインターネットは十分に発達していない時代で(街中にインターネットカフェがある時代)現在のようにスマホで簡単に航空券が買えるという時代ではなかった。

ユナイテッド航空のマイレージを貯めていたので日本からはマイレージを使ってバンコクへ飛び、バンコクの旅行代理店でバンコク発着の1年オープンの航空券を買ということを繰り返していた。

円が強かった時代だった。
1ドルが110円から130円くらいだったように思う。

それに比べたら今の円安は・・・・と、つい愚痴が出てしまうが。

タイは食べ物も美味いし宿は1泊数百円からあるし、鉄道は運行本数は少ないもののバス路線が発達していて旅をするには良いところだ。


だが油断はできない。

なんと2006年9月、旅行中にクーデターが発生したのだった。

タイの地方都市に滞在していたときのこと、朝ホテルのロビーへ行くとたくさんの人が深刻な表情でがテレビを見ている。



わたしはタイ語も英語も全くわからないのだが、これはなにか事件が起きたなと感じた。



新聞を見るとでかでかと「COUP D‘ETAT」の文字。
え、、「コウプ・デタト」、、、 なんだろう?
戦車の写真が出ているのでやっとクーデターだと分かった。
おお、クーデターってこんなスペルだったのか! と感心している場合ではない。

帰国予定日は2日後だ「これは困った、日本へ帰れるだろうか」

旅行保険は戦争やクーデターでの被害は補償しないのが原則だから帰りの飛行機が運航中止となったら自分でなんとかしなくてはならない。
とにかく急いでバンコクへ行こう。

慌ててバンコク行きのバスターミナルへ行くと、なんと軍事クーデターがあったというのにバスは運行されているのだった。
不安でいっぱいだがとりあえずバスに乗り込むと、なにごともないかのようにバスはバンコクへ向けて走り出す。

「たぶん大丈夫だろうな、もし通行が遮断されているのならバスの運行は無いだろうからな」と、自分に言い聞かせる。

首都バンコクに近づくに従って渋滞がひどくなってきた。
どうやら軍が検問をしているのが原因のようだ。
夜になり周りの状況はよく見えないのだが主な交差点に銃を構えた兵士がいるのが見えた。

さらに進んでいくと戦車がいるではないか。



【暗くてかなりブレたが戦車の写真を撮った】

おおっ! もし止められてパスポートを出せとかなにか質問されるとかという状況になったらどうしようと不安は増すのだが、
よく見ると地元の人と兵士が戦車の前で一緒に写真を撮っている。



【住民が戦車の前で記念撮影中だった】

緊張感がないなあ。

それにしても古い型の戦車だな、第二世界大戦当時のものじゃないか。


バスは遅れたが無事にバンコクへ到着した。
クーデターということで交差点に兵士の姿はあるものの街の様子は普段と変わりないようだ。

ホテルにチェックインするときフロントの女性に「ほら、戦車の写真を撮ってきましたよ」と見せたら「えーっ怖いです」と言われた。

緊張感の薄い軍事クーデターだと思っていたが市民にとっては恐ろしかったに違いない。

このときのタイ首相はタクシンで、彼がアメリカを訪問中に軍がクーデターを起こしたのだ。



後日タイの旅行代理店の日本人オーナーと話をしていたとき、

「どうして軍はクーデターを起こしたんですかね?」と聞いてみた。

彼は「タクシンは自分が〇〇になりたかったんじゃないかなあ」と言ったのだった。

なるほどなあ、、権力という魔物に憑りつかれた人物は国を自分のものにしようとし、それだけでは満足せず他の国も自分の支配下に置こうとするからなあ。

現在のタイの首相はこのタクシンの娘さんだ。

なんと38歳で600億円の資産があるという。
7億円相当にもなる高級時計75個とか高級車23台とかとにかく桁外れな金持ちなのだ。

当然ながら父親のタクシン元首相はそれ以上の富豪だろう。

一家でこれだけの資産と権力を持ちながら「もっと欲しい」と思ってしまうところが人間のサガというものなんだろうな。
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