東北本線,東海道本線沿線 全線全駅歩き旅のブログ

旧東北本線と田沢湖線,花輪線,釜石線,八戸線,山田線、北上線、東海道本線、奈良線、大船渡線沿線歩き旅の記録。

線路沿いを歩く旅 花輪線 その3

2016年06月17日 | JR花輪線 歩き旅

線路沿いを歩く旅 花輪線 その3
2016年5月30日
平舘駅をあとにして厳しい日差しの中を北を目指して歩く。
田植えが終わった水田の向こうに岩手山の姿が映える。



さて次は北森駅だが、たしかあのあたりに駅があったはずだが、、
記憶では田んぼの中にプラットホームだけの駅があるはずなのだが、その場所には大きな建物が建っている。



「なぜ人家の少ないこの地区に大きな駅を造ったのだろう?」と思いながらよく見ると、駅のある場所に八幡平市の市役所が建っているのだった。
その市役所と駅とがつながっているのである。



公民館や地区の集会所などと駅舎を合体させるのはあちこちで見たが、市役所と駅を合体させるというのもなかなかよいアイデアだと思った。

駅は片面のプラットホームだけで無人駅だが待合室も新しく作られていてとてもきれいだった。





時刻はちょうど12時。



この待合室でおにぎりと自宅から持ってきた水だけの昼食にする。

ここから今日の目的の駅である安比高原駅までは10キロメートル、登り勾配である。
疲れもあるし強い日差しの暑さもこたえるのだが、なんとかあと10キロ歩きとおしたい。

ひとやすみしたら歩き出す。

赤川を渡る。





この川は松尾鉱山からの鉱毒がまじっていたので以前は水の色が赤茶けていた。





その水は北上川にそそいでいたため北上川も赤く濁っていたものだった。
いまは中和施設があるのだがそれでも川の石は赤いままである。





松尾八幡平駅まで来た。



時刻は午後1時。



この駅も最近改築されたようでこぎれいである。





現在はプラットホームは片面だけだが、以前は2面あったのだろう駅舎内の時計の下に「1番線」のプレートが貼ってあった。







写真を撮ったらすぐ歩き出す。

途中にあった土壁の農家。



昔の田舎ではこのような土壁の住宅が普通だった。さびてしまったホーロー看板が哀愁を誘う。

山道にさしかかる。



川の音がするので下をみると澄んだ水が流れていた、実に涼しげな光景だ。

気温は26度、風はほとんどなく暑い。汗でシャツがぐっしょり濡れている。



歩道がないので車が来るたびに脇によけなくてはならない。
さほど急な上り坂ではないがだらだらと長い坂が続くというのもしんどいものだ。
息を切らせながら登っていくと右手に地球儀のようなものが見えてくる。



ここは北緯40度と東経141度の交差する地点なのだ。これはそれを表すモニュメントである。



車では横目に見ながら通り過ぎるだけだが今日は近くで見てみよう。



1990年に建てられたとあるから26年前経っている。そのためだろう地球儀の日本の形がかすれてまっていた。

白樺の林をバックに空を見上げると爽やかな青空と白い雲、まさに高原の風景だ。



わたしはこの風景を見て映画「ドクトル・ジバゴ」の一場面を思い出した。
ロシアのパステルナークの原作を映画化したものだが、ロシアの長い冬が終わり春がやってくるシーンがある。
北国では冬からいきなり春になる。青い空に真っ白な雲、野には花がいっせいに咲き白樺の林は輝きだす。そんなシーンがあったと記憶している。

道路の向こう側に滝のようなものが見えるので行ってみると、



規模は大きくないがきれいな滝であった。



道路は安比スノーシェルターへと入っていく。



だがこのシェルターには歩道は無い。
車がびゅんびゅん飛ばすシェルターの中を歩くのは危険が伴う。
見るとシェルターの脇にも道路があるようだ。



舗装はされていないが歩くには差し支えなさそうである。
雑草が生えている道をシェルターに沿って歩く。
シェルターの反対側まで歩いて振り向くと私の後から自転車であの坂道を登ってきた人がいるのだった。



どうやら外国人のようである。
追い越されるときに「こんにちは」と声をかけたのだが、中年の白人の方だった。テントなどの荷物は持っていないようだがいったいどこまで行くのだろうか。



やっと安比高原スキー場への交差点までたどり着いた。
奥のほうに安比グランドホテルが見えている、あそこが安比スキー場である。



スキーを楽しんでいたころはよく来たものだがもう20年ほどご無沙汰している。

白樺の林を抜けていくと安比高原駅がある。





私のような昔の人間には「龍ケ森駅」言ったほうが馴染みがある。
最近は「○○高原」というような名称にするのが流行りだからなあと独り言。
駅前にバス停があるのだけど「7月下旬から8月下旬以外のバスの運行はありません」と案内にある。



さらに「夜の運行もありません、ホテルに電話して迎えに来てもらいなさい」と親切に書いてあるのだった。


駅舎の中には英語の案内もあって、こちらもホテルに迎えに来てもらいなさいという内容である。



宿泊先も決めずにここまで来る人はいないんだろうな。





時刻は午後3時。今日は約7時間歩いた。



距離はぴったり25キロメートル。



駅にあるキロポストが「25」になっている。





好摩駅までの列車は午後3時26分発。駅のまわりにある白樺林を眺めて過ごす。風の音と鳥の声しか聞こえない静かな高原の駅である。





車がやってきてテニスラケットを抱えた若者が二人降りてきた。どうやらテニス合宿の帰りでペンションの人が送って来たようだ。

「高原とテニス」の組み合わせは定番中の定番だからなあ。

車内で車掌からきっぷを買う、500円だった。




好摩駅に着いてから駅の待合室を見るとここにも石川啄木の歌碑があった。
その脇にある好摩駅の駅名票の上の日付を見て「あれ、今日は5月31日だっけ?」



今日は5月30日である、どうやら駅員さんがフライングで明日の日付を出したものらしい。












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線路沿いを歩く旅 花輪線 その2

2016年06月15日 | JR花輪線 歩き旅
線路沿いを歩く旅
花輪線 2016年5月30日 その2

次の駅を目指して歩き始めると列車がやってきた。



さっきまで曇っていて気温は低めだったが太陽が顔をだしてきた。



とたんに気温がぐんぐん上がっていく、羽織っていたウィンドブレーカーを脱いでディパックにしまう。



水田は田植えの終わったところもあれば、まだのところもある。鮮やかな緑が目にまぶしい。





八幡平市のマンホールの蓋を撮影。



なんのデザインかなとよく見たら岩手山の山の形がぐるりと描いてあるのだ。





大更駅が近づいてきた。



一時期スキーを楽しんでいたので安比高原へは数え切れないほど行っている。

いつも車で行くので駅に寄ることはなかった。
大更駅を見るのは今日が初めてである。

かなり古そうなマンホールの蓋。



大更駅に到着だ。時刻は9時50分、好摩駅から1時間半ほどだった。







駅のベンチで10分ほど休憩する。






休憩を終えたらまた歩き出す。



15分ほど歩くと石材店の前にさしかかった。
道路に向けてウルトラマンが堂々とした姿で立っている。





脇にはバルタン星人もいる。子供たちが喜びそうだ。

石材で作られているせいかやや太めだけれどよく出来ていると思う。

もちろん本業は仏像や石塔、墓石だ。
大きな石灯籠があったのだが、よく見ると



スフインクスが乗っかっている。



さらには大黒様も乗っかっていた。



大黒様やスフインクスはお墓には似合わないと思うが、庭などで使うのだろうか。
石材店でこのようなウルトラマンやドラえもんなどの“作品”が店頭に並んでいるのを見かけるのだが売れるものなんだろうか? いったいどのような人が買うんだろうと気になってしまう。



田沢湖線沿いに秋田県を歩いたときは街道沿いに道祖神をよく見かけたものだが、岩手県ではまず見かけない。



奥羽山脈にさえぎられているとはいえこのような文化の違いは面白いものだ。
もうすっかり文字が消えて読めないこの石は昔の道標だったのだろうか。

途中スーパーマーケットに寄って昼食用におにぎりを買う。





日差しが強くなってきた。風はあるのだが体中から汗が噴き出す。

平舘駅に到着。ここまで約3時間かかった。





無人駅だが最近立て直したのだろう随分ときれいな駅だ。



プラットホームに文字のかすれた乗り換え案内板がある。
ほかの字は読めないが「寺田方面」と書いてあるのがわかる。
はて? 花輪線は単線だしこの駅から分岐している路線は無いはずだ。

帰宅後調べてみると1972年まで松尾鉱山鉄道というの路線があったのだが、分起点は大更でありしかも寺田という駅はないのだった。
よくわからないがもしかしたらバス路線の案内なのかもしれない。



駅舎の入り口上の部分に額に入ったものがあった。



「停(本屋)一號」と書いてある。これもなんなのか私には見当がつかない。

古い駅舎にあったものを額に入れて記念として残したのではないかと想像するのだが、そもそも書いてあることの意味が分からない。

駅舎のとなりにトイレがあるのだが、そこにツバメの巣があった。



昔はなぜか駅にツバメが巣を作っていることが多かった。
ポスターに「ツバメの糞に注意」と書いてある駅もあった。駅舎が建て替えられるとツバメの居所は無くなってしまったのだが、まだ駅舎に住み着いているツバメもいたんだなあ。
そういえば「つばめ」の愛称のついた特急列車もあったけなあ。







平舘は石川啄木ゆかりの地ということで歌碑が4つあるのだそうだ。




つづく
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線路沿いを歩く旅 JR花輪線

2016年06月11日 | JR花輪線 歩き旅
線路沿いに歩く旅

JR花輪線 その1
2016年5月30日

5月18日に田沢湖を一周20キロメートルを歩いたので「もう少し長い距離を歩きたいなあ、できれば線路沿いに・・」という思いが出てきた。

盛岡駅を起点としては北は青森駅、南は東京駅、西は秋田駅まで歩いてしまっている。

東方面は沿岸の宮古市までの山田線が残っているが、昨年(2015年)12月に発生した土砂崩れから復旧していなくて不通のままなのだ。
もともと運行本数が1日4本しかない路線なのでJRも真剣に復旧させようと考えていないのではないかと思う。
列車を走らせれば走らせるほど赤字が膨らむ路線なのである。
できればこの事故をきっかけに廃線にしてしまいたいというのが本音だろう。

山田線がダメならば別の路線を・・と考えていたら、なんと身近なところに魅力的な路線があったのだ。
盛岡市の好摩駅と秋田県の大舘駅を結ぶ花輪線である。
距離は107キロあり途中は険しい山道のコースだ。
安比スキー場のある安比高原駅への上り坂は蒸気機関車の時代は難所だったからSLの3重連も見られたところだ。

地図を見ると好摩駅から安比高原駅まではちょうど25キロメートルである。
わたしが歩きたいと思っている距離だし長い上り坂があるので自分の脚を試すのにちょうどよい。

自宅から日帰り出来るコースなので思い立ったらすぐ出かけることにした。

いつもより少しだけ早起きしてバイクで出発駅である好摩駅まで行く。
ちょうど通勤時間帯で道路は混みあっていたが午前7時45分には好摩駅に到着した。



この好摩駅も盛岡市にあるのだ。以前は玉山村だったのだが2006年に盛岡市と合併したのである。

好摩という地名をワードで入力すると最初に「仔馬」が表示される。
まあ、好摩という地名を知っているのは岩手県の人だけだろうしなあ。





そんなわけで駅舎にはひらがなで「こうま」そして「啄木」と書いてある。
「啄木」とは石川啄木のことである。明治時代の詩人で歌集「一握の砂」で有名だ。彼は現在の盛岡市渋民の出身なのだ。

電化される前の好摩駅は、北へ向かう東北本線が奥中山駅(現在の奥中山高原駅)までの上り急勾配、そして花輪線は龍ヶ森駅(現在の安比高原駅)までの上り急勾配のためこの駅で機関車の増結をしていた。



そのため駅構内はかなり広い。
花輪線もSLの三重連が普通だった時代は1970年代初頭までで、その後はディーゼルが取って代わりSLの時代が終わると好摩駅も閑散としてしまった。



新しくなった駅の自由通路から見ると以前は駅構内だったところに住宅が建っているようである。

駅前にはこのような古い建物も残っている。



ここは以前は食堂だったようだ、昔は駅前に食堂や旅館が立ち並んでいたものだ。



その賑わいは消え去って静かな駅前を歩く。

1キロほど行くと左手に公園らしきものが見えてきた。

夜更森公園である、ここには啄木の歌碑がある。





公園の脇を通り八幡平市方面を目指して歩く。花輪線の線路に沿うようにして道路があるので道を迷う心配はない。
踏切を渡る。好摩駅から1K891Mとあった。




しまった! 好摩駅でゼロキロポストを撮影してくるんだった。


八幡平市に入る。



このイラストには岩手山が描かれているのだが、そのなかに白い鳥の絵が描かれているのが分かるだろうか、これは春になると岩手山の残雪がちょうど鳥の絵のように見えるのを表しているのだ。
私たちは岩手山にこの鳥の模様が浮き出ると「ああ、やっと春がきたな」と実感するのである。

この「踏切あり」の標識はなかなかシブイ。



パイプと踏切注意のパネルのさび具合、そしてSLの絵が実によい雰囲気をだしている。
さらにこの蟹沢踏切も枯れた味わいがある。



柵の汚れ具合といいパネルが斜めになっているところなど、啄木なら一句浮かぶだろうか。

「好摩駅 錆び浮ける踏切に立ち カッコウの鳴くを聴く」とかね。

「岩手山 蒸気の音の蟹沢踏切で われ泣きぬれて蟹とたわむる」とか(笑)


実際のところはこの岡村踏切のように真新しいものが多いのだけどね。



東大更駅に到着だ。







ちいさな待合室だけの駅だった。





つづく
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